オオセンチコガネ
国立科学博物館「 MANIAC昆虫展」で、生きた「オオセンチコガネ」を見て、「成虫は動物のうんこを食べ、うんこの塊を地中に作って幼虫を育てる」とい生態を知り、オオセンチコガネの展示とともにオオセンチコガネの生態を絵本にした本の原画があり面白そうだと思いその絵本を図書館で借りて読みました。
ムシが嫌いでがない私が「 MANIAC昆虫展」へ行って来ました。2
その本が、舘野鴻さんの『うんこ虫を追え』(福音館書店)です。
(以下、ネタバレあり)
そう、タイトルにあるようにオオセンチコガネは、糞をエサにする糞虫で、いわゆる「うんこ虫」です。
以前「うんこドリル」が流行ったようにいかにも子どもが好きそうなタイトルですね
オオセンチコガネの実物も見たけど緑色っぽいメタリックな色で、丸っこくて手足が短くとっても可愛らしい虫です。
(瑠璃、緑、青、赤と住んでいる地域で色が違うようです)
絵本だから絵が精密で奇麗なのと舘野氏の飼育の奮闘ぶりが面白くて子どもはもちろん、大人の私でも楽しめる内容になっています。
写真だったらNGという生々し過ぎる描写も写実的だけど柔らかなタッチの絵柄なので気になりません。
オオセンチコガネの成虫は動物の「うんこ」を食べ、うんこの塊を地中に作って幼虫を育てることが知られているも卵から成虫になるまでのくらしは謎に包まれていて、その知られざる幼虫の生態を調べて絵本にしようと舘野氏が自宅で飼って観察をを試みます。
オオセンチコガネが動物のうんこを調達してきてそれで塊を作りそこに産卵
卵からふ化して幼虫になりますが、幼虫になっても亡くなってしまい、どうして幼虫が育たないか半ばカンにに近い仮説を立て飼育方法を変えて蛹(さなぎ)から遂に羽化まで成功させます。
絵本で産卵から羽化まで追体験すれば羽化の成功は感動もの
そして、快挙です。
(舘野氏が幼虫の人工育児方法を開発したことって、学術的な発見にはならないのでしょうかね)
でも、ここまでくるのに失敗を繰り返しながら4年の歳月を費やすことになり、本人も最初は、簡単に飼育出来そうと高をくくっていたが一筋縄ではいかずこの試行錯誤の奮闘ぶりが絵本を一層楽しいものにしていて、簡単に結果が出れば、この本はここまで面白くなかったでしょう。
この観察行動は、「何度も失敗を繰り返し成果が出るまで挑戦を続けることで、着実に成功に近づくことが出来る」
という松下幸之助の名言をまさに体現していて、私もそうだけどこれから何かを始めたり、すでに行っている子ども達にも勇気を与えるものではないでしょうか
詳しい飼育の情報もないので、一から飼育装置を作りオオセンチコガネを育てたファーブルも参考にしながらさまざま工夫もしていてそれが独自なもので面白いのです。
その一つに「オレフン」(自分のモノです)を使ったものががあり、それを使おうと思いつく人はいるかもしれないが自分のモノで実践してしてしまうところは只者ではないです。
それにしてもこの好奇心となりふり構わぬ実験によりオオセンチコガネとセンチコガネの生態の違いも解明させ、「オレフン」効果が功を奏したのは本当によかったです。
大人の自由研究さながら、興味のあることを突き詰めることは素晴らしいことと教えてくれた舘野氏の行動とともに感動したのがオオセンチコガネの祖孫を残すための母親の命懸けの行動です。
オオセンチコガネは、天敵から幼虫を守るために深い場所で83㎝の地中にトンネルを掘りトンネルのどん突きに産卵します。
トンネルの一番奥にせっせと地上からうんこを運びフン玉(保育器みたいなもの・「育児塊」と命名しています)を作る様子を自作の飼育箱で観察していて、トンネル堀りから産卵、うんこを調達し運び、育児塊を作りという一連の作業を担うメスが羽化の準備を終える頃には激務のため宝石のような光沢がなくなり前脚がすり減りボロボロになってしまいます。
その満身創痍の様は、我が子を守るための代償で昆虫は、産みっぱなしのイメージがあるのでオオセンチコガネの母性に感動しました。
あとがきに思う
本の「あとがき」で「人間は資源の循環から切り離して、一方的に自然から搾り取るだけの生きものになっている」
「死体やうんこを食べることは、私達が美味しいご飯を食べることと同じ」「本来は、動物のうんこや死体はさまざまないきものの大切な資源」
とオオセンチコガネを飼育した体験から書いていて、私達もほんの前まで生物の排泄したものを肥料にしたり暮らしの中に取り入れて循環させてきたのに今では、自分の排泄物でさえ流して終わり、なかったことにしてしまう傾向があります。
私も「臭いものに蓋をする」感覚で、前記事で「見た目は奇麗だけど絶対、触りたくないでムシ」なんてオオセンチコガネを不潔扱いしたことを本を読んでから反省しています。
最後は、100%安全とはいえない自分で飼育した幼虫を食べて、味や臭いなどについても書いていて、誰もが真似することが出来ないアホな(自分で書いている)館野氏の好奇心と勇気を改めて称えたいと思いました。
オオセンチコガネの幼虫の味と臭いはどんなものかは是非、本を読んで確かめて下さいね。
しぼり菜リズム(まとめ)
「 MANIAC昆虫展」でオオセンチコガを見て興味を持った『うんこ虫を追え』(舘野鴻著 福音館書店)を読みました。
オオセンチコガネは、糞をエサにする糞虫の「うんこ虫」で、成虫は動物の「うんこ」を食べ、うんこの塊を地中に作って幼虫を育てることが知られているも卵から成虫になるまでのくらしは謎に包まれていて、その知られざる幼虫の生態を調べて絵本にしたのがこの本です。
オオセンチコガネの飼育に孤軍奮闘し失敗を繰り返しながら4年の歳月をかけて幼虫の羽化に成功し、「オレフン」を使いオオセンチコガとセンチコガネの生態の違いも発見し、舘野氏の発想と実行力に感心します。