以前読んだ新聞の投書欄で、印象に残った記事があります。
受験生でも家事をやる
「受験生」の女の子を持つ母親の手記で、子どもが受験当日の朝もいつものように、自分が担当する「家事」をやってから受験会場に行ったというものでした。
受験だからという理由で特別視することなく、娘さんも日常の生活として自然に家事をこなしているという感じでした。
確か希望の大学には、合格したとあったと思いました。そして、子どもには、家事をやらせてよかったと結んでいました。
自分が生活していけることや学校へ行けること、受験することが出来るのは、誰かが働いて生活の糧を得て、身の回りのことをやってくれる両親なり家族がいるからだということを子どもにも分かって欲しい。
その中で、自分に出来ることをやらせたいというのが、そのお母さんの考え方なのです。
子どもに家事は、やらせたい派
家では、来年大学受験を控えた子どもがいるので、ときどきこの記事のことを思い出します。
この記事は、賛否両論があると思います。受験の当日だけは、やらなくてもいいのではないか、いや生きるために必要なことなので、受験の当日だろうがやらなくてはならないなど。
家庭によっても考えは違うと思いますが私は、この記事にどちらかというと賛成派の方です。
子どもにも家事参加はさせたいという考えですが、ただ子どもが嫌だというのに無理強いは出来ないと思うのです。
子どもが、家事をやるといい理由
私が、投書のお母さんのように子どもにも家事や家の手伝いをやって欲しいと思っていて、その理由はいくつかあります。
①まずはありきたりですが、将来、自立に必要なのは、やはり自分のことが出来ることです。家族への依存度が減り、将来自分の力で歩けるようになるためには、家事は必要です。
他人に迷惑を掛けない、自分の後始末は自分でする。それが出来ないようでは自立は、出来ません。
「勉強さえしていればいい」と育てて家庭で学んでおかないと、後々困るのは子ども自身なのです。
②自分以外の家族ために何かをやることは、人のために働く力になる。無意識に他人のために動くことが出来るようになる。
⓷「してもらう側」から「する側」になり、生活の中で気づいたり、見えてくるものがある。
一歩進んで、社会に目を向けることも出来る。また人に何か「してあげる」ということが、自然に身につき、心も豊かになる。
④自分のことや家族のために動くことは、効率的にタスクをこなすための思考力、実践力がつきその過程における段取りや手順は、勉強や社会に出ても役に立つ。
⑤料理や掃除、洗濯などの家事そのもののスキルが身に着く。料理を親から教わることで、その家の家庭の味を受け継ぐことが出来る。
⑥私も手伝いをしてくれれば、大いに助かる。
(結構、これ大きいです)
学業と家事の両立でもいいことがある
勉強と家事の両立についてもいい面があると思います。
①頭の切り替えにもいい。勉強とは、まったく別なことをやることで、脳も活性化するような気がします。
②勉強に集中できる時間は、限られている。たくさん時間があるよりも限られた時間で効率的にやるスキルも身に着く。
そう、経験あるのではないでしょうか。部活を辞めて時間が出来たからといって、その分勉強しているかといえば必ずしもそうでもありません。
(それは、私ですが)
返って部活をやっていたときの方が、短い時間で集中して出来たなんていうこともありますね。
私は、試験勉強のときなど集中が途切れるといつの間に受験勉強に関係ない本や雑誌などを読んで逃げの空間を作っていました。
それが、息抜きになるのですね。そんなときに限っていつもより、念入りに読んだりして勉強よりも夢中になっていることもあります。
受験だからといってやみくもに勉強している訳ではなく、勉強をしている時間の中にささやかな現実逃避などもしていたのです。
子どもも、よくスマホ見たり、ピアノを弾いています。
なので、言いたいことは勉強の合間に勉強以外の何かをすることはいいと思います。
休憩したり、好きなことをやってもいいのですが、遊んでしまったり眠ってしまうことがあります。
やはり、お勧めなのは、家の手伝いをすることです。家事労働は、勉強とは、別の頭を使うので頭の切り替えになります。
ずっと座ってやる勉強とは違い、適度に体も使い達成感もあるので、脳にも刺激を与える家事は受験生にとってもお薦めだと思うのです。
家族の一員として
家族の一員として子どもの最初の社会参加である家の手伝いをして自分の手で何かをする経験は、将来、必ず役に立ちます。
受験生である前に「家族の一員」という投書者の方の意見にも賛成です。
しかし、受験生だと特別扱いせず手伝いをさせたいと思いますが、やはり、無理は禁物です。本業は、学生です。学業に身が入らなくなっては、元も子もありません。
本人が、嫌がるならあまり無理強いはしない方がいいと思います。子どもが勉強しやすい環境を整えてあげるのも親の役目ですから。
ただ、子どもから手伝うといったときに、せっかく手伝いをしようとしている子どもに「いいから、勉強しなさい」という親がいたら、それは「手伝う」チャンスを 奪うことになります。
そんなときは、子どもの意思を尊重してあげた方がいいと思います。
家族が気持ちよく生活するために、家族の一員が 出来ることをやっていく。投書のご家族ではそんな「躾」を小さい頃からされていたのだと思います。
投書の方のお子さんは、文面から無理にやらされているという感じはなく、生活の一部として自然にやっているように受け止めました。
今まで全然していないのに、高校に入ったからといって、急に手伝いを素直にやるのはやはり、難しですからね。
家の子どもは、私が忙しいときに頼んでも空振りばかりですが、以前より自分のことは自分でやるようになりました。
自分の部屋の掃除、猫の世話、(自分のものを)洗濯する、(自分の)ご飯をよそう、(自分の)食べ終わった食器を運ぶ、使った調味料を元に戻すなどです。
餌やトイレの砂やシートなどの買い物から水やり、エサやり、トイレの清掃など猫の世話は、子どもがほぼ引き受けています。
受験でも動物の「命」が掛かっているので、このまま猫の世話はやらせるつもりでいます。
このように自分のことから始めることが、先へ進む一歩だと思っています。
自分で洗濯をするようになってから、洗剤がなくなれば詰め替えてくれるようにもなりました。
私がインフルエンザになったときも、買い物を快く引き受けてくれました。
【インフエンザ】は、「地獄」と「天国」。私が、インフエンザで経験したこと
子どもが、自ら積極的にやってくれる日もそう遠くないのかもしれません。
しぼり菜リズム
SNSで『#高校生の自分に教えたいこと選手権』という「#」でつぶやくことが流行っているそうです。
今の私が高校生の自分に教えたいことは、正に「家の手伝い、もっとせえ!」「自分で、出来ることくらいやりなさい!」ということです。
私が、高校生だったとき、手伝いはほとんどした記憶がなく何でも母任せでした。
自分の部屋の掃除以外、自分の洗濯も布団干しも弁当作りも母がやっていました。今の自分の子どもよりやってないです。
母が、ときどき泊りがけで出掛けたときに家族の夕食を作ったり後片付けをしたくらいしか家事は、していませんでした。
でも、料理だけは興味があったので本を買って休みの日など気が向くと食材を買いに行って作っていましたが。
こんな風に(お嬢さんではないけれど)「お嬢さん育ち」だったので、20代、30代になっても、知らなくて笑われたことがあります。
必要に迫られたときに、出来なくてアタフタとしたこともありました。
家事は誰かに押し付けるものではなく、出来ることは自分でやるのは当然のことなのです。
こんな自分は何様だったのだろうとという教訓もあり、学生だろうと受験だろうと自分のことはもちろん、家の手伝いや家事は、子どものうちからやらせたいのです。