「赤い宝石」と呼ばれるさくらんぼの季節を迎え、そろそろ国産の佐藤錦が店頭に並び始めます。さくらんぼの旬は、短くほんの数週間です。
食べても美味しく、カリウム、鉄、リンといったミネラルを含み、カロチン、ビタミンB1、B2、Cなどの豊富な栄養素があり貧血、高血圧、便秘解消、美肌効果あります。
でも、宝石に例えられるようにさくらんぼは他の果物に比べて値段が高いですよね。
適正価格というものがある
「物価の優等生」と言われた卵もで最近は、200円台になりましたが、以前は10個1パックで100円台と私が子どもの頃からほとんど変わりません。
でも実際には 安く作る為に養鶏農家が相当無理をしていたという背景がありました。卵が10個100円という価格設定が安過ぎて農家が疲弊してしまうことを考えると、農産物には「適正価格」というのがあるのだと思います。
卵だけではなく、水より安いと言われる牛乳も1ℓ100円台と設備や手間、乳牛の飼料代を考えると「適正価格」に合っていない思うのです。さくらんぼが高価なのは、この「適正価格」に見合っているからではないでしょうか。
私の最初の嫁ぎ先は、さくらんぼやりんご、洋梨を作る果樹農家でした。そこで、さくらんぼを作っていたので農家の内情はよくわかります。
さくらんぼの価格が、何故高いのか、「適正価格」というものが必要なのかを書いてみたいと思います。
さくらんぼは、手間や経費が掛かる
栽培から収穫まで手間と時間がかかる
剪定(せんてい)、消毒、摘果、色上げなど1年を通した作業が必要なのはりんごなど他の果樹と同じですが、さくらんぼは、実がつくためには受粉が必要となります。
受粉は、人間の手で行われ手間を要します。さくらんぼの花が咲いたら花を摘み、そこから花粉を集めて加工し、それを花に付けて何度も交配します。
収穫前に雨よけをしなくてはならない。
梅雨の時期と収穫が重なり、雨に当たるとさくらんぼの実が腐ったり、割れてしまいます。これを防ぐためにビニールで、雨よけをしますが、鳶顔負けの危険な高所作業となります。
また、スズメやカラスなどの鳥対策のためネットを張ったりし、雨よけのビニールハウスとともに資材代も膨大なものになります。
人手が必要
一気に実ったさくらんぼを収穫から箱詰めまでの作業は全て手作業で短期間にしなくてはならず、人手が必要となり人件費が掛かります。
何百、何千粒のさくらんぼを収穫して時間を置けばすぐに鮮度が落ちるので、多くの労力が必要となります。また、デリケートの果物故、丁寧に扱わなくてなりません。
箱詰めなどの作業は、さくらんぼを美しく見せるための熟練した技術も必要となります。
軽費が掛かる
農薬代、受粉のための蜂(マメコバチ)代、冷蔵庫などの大型設備費、光熱水費、箱代などの資材、運送費などの諸経費も掛かります。
適正価格は、必要
このように手間やコストが掛かるため他の果物に比べて、さくらんぼの価格設定が高くなります。農家が生計を立て採算を取るためにも農産物の「適正価格」というものがあり、それを消費者にも理解して欲しいと思うのです。
値段だけではなく、さくらんぼは店頭で年に、数週間しか出会えないその希少価値も宝石にたとえられるのではないでしょうか。