手打ち蕎麦 じゅうさん
実家の近くにある「手打ち蕎麦 じゅうさん」へ行きました。
2回目の再訪です。
練馬区、中野区、新宿区の境界にあり、私が子どもの頃、祖父母が「十三間(じゅうさんげん)道路」と呼んでいた目白通り沿いにお店があるので「じゅうさん」という名前の由来はここから来ているのでしょう
現在の三代目店主が、店内にある石臼で挽き打った蕎麦が評判になり遠方からも蕎麦好きが来店するような店になりましたが、私が実家に住んでいる頃は、入ったことはないけれど普通の町のお蕎麦屋(「長寿庵」だそうです)だったと記憶しています。
平日の11時半過ぎ、先客は、一人でしたがすぐに満席になりました。
都営12号線の落合南長崎と新江古田と間、西武池袋線東長崎からも10分くらい歩くような決してアクセスのいいお店ではないなのに、人気店なのですね。
店内に入ると以前来たときと内装やテーブルの位置が違い、サイトによると2022年に外装も含めてニューリニューアルしているようです。
一人で行ったので、カウンター席に案内されました。
カウンターの前は、厨房になっていて客席からは立ち上がりがあるため調理している手元までは見えませんが店主と女将さんの姿がちらちらと見えます。
調理場からは、客席がよく見えるのでしょう
照明を少し落とし、楓の一枚板のテーブルなど無垢材を使った椅子や床、漆喰の壁と和のぬくものりのある店内で、ざっと見ると広めのテーブル席は4卓、カウンター席も3席なので最大収容キャパは15名程度といったところでしょうか
調理人である店主と奥様である女将さん二人でやっているようなので、これくらいの人数が丁度いいのかもしれません。
田舎そば
殻ごと挽いた蕎麦が好きなので、前回と同じ数量限定の「手挽き田舎そば」(1,400円)をメニューも見ずに注文しました。
「店内の石白で殻ごと手挽き製粉のため製粉量が少なく数量限定」とあり、早い時間に来たのは、正解でした。
改めてメニューを見ると「十割コース」(2,500円)なるものがあり「せいろそば」「にしんそば」「水小豆」がセットになったもので、このコースを頼んでいるお客さんが多く人気のメニューのようです。
蕎麦のほかに玉子焼き、ニシン、焼き味噌などの副菜やデザートもあります。
すぐに薬味(大根おろし、ネギ)とそばつゆがセットされ、ほどなくして蕎麦が登場
以前、食べたときも感じたが見た目からして量が少なく、3,4口で食べてしまいそうです。
一般的には、田舎蕎麦は太目の麺だけどこちらは、奇麗に揃った細打ちのやや黒い艶がある蕎麦で、挽きぐるもみの特徴である細かなホシ(蕎麦の実の殻)が飛んでいます。
卓上調味料は、塩、醤油、七味があり蕎麦が出て来たときに「お好みで、塩でも召し上がり下さい」と言われたが、まずそのまま蕎麦だけで食べてみました。
蕎麦だけ食べるのは自分で蕎麦を茹でたきに固さをチェックするときくらいですが、この素の蕎麦は、冷水で締まっていて瑞々しくて汁でごまかさなくても十分いけるものです。
「まずは、塩で蕎麦の甘味をお楽しみ下さい」ってどこかに書いてあったようだが、結局、塩だけで食べることを忘れてしまい塩で感じる「甘み」を体験出来なかったが、何もつけなくてほのかに甘く蕎麦の味がとても濃いです。
少しざらっとした舌触りもある田舎蕎麦だけど上品で、ツルっとして口当たりもいいです。
つゆは、醤油味の強い江戸前辛口のつゆです。
つゆに浸けて啜ると旨味があり丁寧に作られたかえしだけど、私にはしょっぱく感じました。
本来は、甘みのあるつゆが好きだけどこれは、これでいいのかな?
ネギや大根おろしを入れ、蕎麦を多めに入れても味が濃かったです。
見た目は、3,4口だが実際は5口くらいで少ない量だと分かっていたので、実家で「ドラゴーネ」のクランベリーパンを食べてから来たのでお腹が膨れましたが、多くのお客さんは、これでは足りないのか玉子焼きや「10割そばコース」(そば2種)を頼んでいるようでした。
やはり蕎麦の量と少々強気のお値段は、本来蕎麦というもの自体高級な食材なのか?とも思わないでもないが、打ち手によって芸術的な域に達する蕎麦は、職人技をプラスαと考えて高くないのかもしれません。
最後に蕎麦湯が出てきました。
麦湯は茹でているときこぼれ落ちた蕎麦の実の殻が沈でいて、底にとろみの残るタイプで、全部は飲めなかったが美味しかったです。
10割蕎麦のピークは?反省!?
このお店は、長野や福井などの日本各地の生産者より仕入れる一定期間寝かせた玄蕎麦を当日使う分だけお店の石臼で挽き、粉の状態に合わせて打ち方、水まわし、水ごねなどを行い蕎麦の風味や旨みをより一層引き立てる工夫をしているそうです。
打ち水はミネラルウォーター、茹で湯は貝殻の化石を加えた軟水と水の使い方にも気を配り蕎麦粉はもちろん水にもこだわっています。
このような紹介が「食べログ」にあり、こだわり抜いた製法が、美味しい蕎麦を生むというのが分かります。
後日、店のサイトやインスタ、特に作り手の書いたブログが大変興味深くそこには「蕎麦を美味しく味わうため」のアドバイスというのがあり、「十割の手打蕎麦は大変伸びやすく伸びてしまうと味わいは半減してしまう」と何度も書かれていました。
出した瞬間がピークで、蕎麦の伸びは、秒ごとに劣化してしまうので一気呵成に一刻も早く食べることで、この店の大盛りではないあの量は、食べている間に美味しさが半減しない量だそうでなるほどと思いました。
少しでもピークを味わいたい。誰よりも美味しく食べたいと思ったら私のように写真なんか撮っている時間なんかないのである。
量が少なければ2枚盛りやコースを頼めばよくて、だから、蕎麦2杯の「十割そばコース」が人気なのでしょう
それと店内を改装したのは、厨房からお客さんの様子を見れるようにしたからで、1枚目を食べ終わったタイミングを見て次を出せるようにしたかったそうで、隣の人のコースの蕎麦の2杯目がとてもいいタイミングで出て来たのは、この阿吽の呼吸によるものだったのですね。
店主は、「何よりも足の先から頭のてっぺんまで、「味」ばかりの作り手は常に考えている」とのことで、自分でも蕎麦打ちをやろうと思い道具を揃え始めたが結局、挫折した身として少しでもそれに応えるべき「蕎麦を美味しく味わう」ための努力をこちらも惜しまないのも蕎麦を楽しむための作法なのかなと反省しました。
今回、「美味しく蕎麦を頂く」ことを意識するようになり、ますます蕎麦が好きになりました。
しぼり菜リズム(まとめ)
「手打ち蕎麦 じゅうさん」で、「田舎そば」を食べました。
一般的には、田舎蕎麦は太目の麺だけどこちらは、奇麗に揃った細打ちのやや黒い艶がある蕎麦で、挽きぐるもみの特徴である細かなホシ(蕎麦の実の殻)が飛んでいます。
この素の蕎麦は、冷水で締まっていて瑞々しくて何もつけなくてほのかに甘く蕎麦の味がとても濃いです。
少しざらっとした舌触りもある田舎蕎麦だけど上品で、ツルっとして口当たりもいいです。つゆは、醤油味の強い江戸前辛口のつゆですが私には、少ししょっぱかったです。
蕎麦の量が、少ない蕎麦だと思っていましたが、10割の手鬱蕎麦は、出した瞬間から伸びて劣化するので「美味しく蕎麦を頂く」ための量で、常の味のことを考えている作り手の思いや折角なら、美味しく食べるために伸びないうちに食べるのがいいのです。
■「手打ち蕎麦 じゅうさん」
- 東京都中野区江原町3-1-4
- 営業時間 火・木11:30 – 14:30(L.O. 14:00) 水・金・土11:30 – 14:30(L.O. 14:00)17:30 – 20:30(L.O. 20:00)
- 定休日 月・日・祝日