紀行文、滞在記のベスト10です。
ほとんど何十年も前のもので(新しくても10年くらい前か)、いかに最近、本を読んでいないというのが分かります。
ただ読んだ本の記録は 後から振り返ると自分がどういう道を通ったか分かるので面白いです。
今読み直せば、当時の視点とは異なるのでしょうがその頃の感性で書いてみました。
第6位:『日本の川を旅する』野田知佑
川をカヌーで航行しながら、その流れや周囲の景色、動植物、文化、歴史、人々との交流などを記したもので
彼の旅のエピソードを通じて、日本の川の多様性や美しさが伝わり日本の川ってこんなに豊かだったのかと思いました。
1980年代にこの本を読みカヌーで川を下りながら河原で寝泊まりする自由な川旅に憧れたものでした。
川目線で、日本の現状を独自のユーモアを交えて表現する視点も新鮮でした。
第5位:『南ベトナム戦争従軍記』・『続・南ベトナム戦争従軍記』岡村昭彦
ベトナム戦争当時、写真家でありジャーナリストである岡本昭彦がベトナム従軍記者として従軍し、命の危険にさらされながらベトナムの最前線で何を見て何を伝えたかった体験をもとにした記録です。
40年前に読んだこの本を改めて、再読しました。
他にも従軍記を読みましたが、語り口は感情豊かなこの一冊が一番印象に残りました。
真実に迫るには一方的ではなく双方から見なくてはならいという信念のもと、『南ベトナム戦争従軍記』では、アメリカの傀儡政権である南ベトナム政府軍に従軍、『続・南ベトナム戦争従軍記』南ベトナム民族解放戦に従軍という(互いに敵味方となる)両方の部隊に従軍しているジャーナリズム精神も印象的でした。
両方を読んで、米軍側に従軍しているときは、南ベトナム解放民族戦線を「ベトコン」とベトナム共産主義者を侮蔑を含んだ言い回しで呼んでいたけど、解放戦線に従軍しているときは一切、その言葉を使っていないのが面白かったです。
戦場という危険地取材に対して、現在は批判されたり国にパスポートを奪われたりし取材の機会が減らされ報道の蓄積がない分国民の関心も薄くなっています。
その点、岡村氏は、果敢にも民族解放戦線のナンバー2のファット副議長との会談にも挑んでいて
ホーチミンサンダルのよく似合うファット副議長との人肌が感じれれる対談も危険な現地に足を踏み入れたからこそ実現し、ジャーナリストが、現場に行くことで真実を知る機会を得る、日本人が伝えるからこそ国内の関心が高まるのという側面があるのではないかと臨場感のあるこの本を改めて読んで考えさせられました。