水浸法
大腸内視鏡検査困難な私が選んだのは「水浸法」で、この水浸法で検査を行うことにしました。
水浸法は、内視鏡の先端から水を注入する専用の機器を使い、空気の代わりに水を潤滑剤として内視鏡を挿入する検査法です。
空気による腹部の張りや痛みなどが軽減、水が入ることでスコープの滑りが良くなり弱い力で挿入が可能で従来の方法よりも内視鏡が挿入しやすく「麻酔なし」でも痛みがほとんどないといものです。
挿入時間が短く、痛みも少なく、挿入率が高いという画期的な方法で内視鏡困難者でも成功する可能性が高いです。
水浸法の生みの親G先生
この水浸法を考案したのが、今回私が内視鏡を行うG先生です。
G先生は、以前は、自分のクリニックを持っていましたが、現在は、非常勤講師として色々な病院で内視鏡を専門に行うというフリーランスの内視鏡専門医です、
ネットで調べると私にとって救いの神であるG先生の経歴は、ドラマになりそうなほどユニークです。
中学、高校は、引きこもりで不登校、塾に行かず家庭教師もつけず独学で「大検」で大学進学。
物理の勉強をして物理学者になりたいと東工大に入学するも無理だと分かり諦めて、やはり独学で東大理Ⅲに入り直し医者になります。
ここまでも波乱に満ちていますが、面白かったのが協調性のない性格のため人と顔を合わせない、両手で操作する感覚がテレビゲームのようで自分に合っていると「内視鏡専門医」の仕事を選んだことです。
これが天職で、塾に行かず自分で勉強した独学の経験と物理の知識を生かし「水浸法」を開発したのです。
先生は、一つの病院に落ち着くことなく非常勤として全国を股に掛け各地の病院で内視鏡を行っています。
(トラベルドクターですかね)
弟子も大勢いて、ボランティアで水浸法の普及のため各地で実演、講義を行っています。
これから、自身がそうだったように引きこもり、不登校児の支援もし社会貢献したいと抱負も語っていて人の役に立っている究極のおたくのような先生です。
こんなキャリアの先生なので、「引きこもりドクター・人生逆転ホームラン!」みたいな本、誰か、書いてくれたらドラマにでもなりそうで、引き込もりの(希望の)星になれるのではと思いました。
(誰か、本にして!)
細い内視鏡がない
私が検査をする予定のクリニックでG先生は、隔週で週1回しか行わないため、予約が3か月後になり前日は、近くのホテルに宿泊しようやく検査を受けることが出来ました。
今まで、大腸内視鏡検査は少量の麻酔(鎮静剤)をしていましたが今回は、「麻酔なし」か「麻酔あり(完全に寝てしまう麻酔)」かどちらかしかないということで悩んだ末、麻酔なしで行ってみることにしました。
麻酔はやらないことして、もし辛い場合は途中で麻酔をしてもいいということで、静脈注射のルートだけ取ることにしました。
後で、先生のブログを見ると「麻酔希望者には最初から麻酔を使いますが、麻酔を迷っている人も、最初無麻酔でスタートしてもし痛かったら麻酔を使いましょうと言ってスタートして実際に麻酔を使うことはほとんどありません。」とありました。
(そういうことだったのですね)
水浸法の痛みがないということは麻酔をかけるときにも麻酔量が少なくてすみ、麻酔事故のリスクが少なく、痛みがないほど腸管が引き伸ばされていないので「穿孔事故」も起きにくいみたいです。
水浸法は、短い時間で検査が可能なもので、検査に割り当てられた午後の半日だけでも沢山の人の検査をこなすのでこの日は、午後一番の私の後に3,4名の人が検査を待っていました。
今まで、緊張を取り除く(ぼんやりとした状態に意識レベルを落とす)程度の麻酔をしていましたが、初めて麻酔なしで行いました。
検査前にG先生と少し話す機会があり、以前、癒着が酷く通常の内視鏡がS状結腸までしか入らなかった旨を伝えました。
すると9㎜の一番細い径のものは、このクリニックにはないけど11㎜ならあるのでやってみましょうということでした。
11㎜は、ハイビジョンの中径のカメラで、以前入らなかったのは13㎜のスコープなので中間の太さの内視鏡になります。
この時点で、細い内視鏡がないと分かり急に不安になりましたが、「もしかしたら、11㎜だたったら入るかもしれない、ここまで来たらやるしかない。」と祈るような気持ちで検査を受けました。
麻酔なしの検査
麻酔なしでカメラを挿入したので、最初、体に力が入ってしまいましたが、少し慣れてくると力の抜き加減が分かり次第に「無」の境地でいられるようになりました。
が、問題のS状結腸通過する辺りで「ここ、ちょっと我慢してね」と言われと通り、腸を圧迫される感じが強く苦しかったです。
S状結腸までも長く感じましたが、そこから先もなかなか盲腸まで到達する気配がなく、助手の先生と看護師さん二人掛かりで左右からお腹を押さえつけ、横向きや仰向けと体位を変え足を曲げたりしながら進んでいきます。
S状結腸付近は、苦しかったけどカメラの進む過程で先生の高いスキルがあるからか他に痛いところはありませんでした。
しかし、腹部に圧迫を加える箇所で、助手の男性医師があまりに強くお腹押さえつけるのが痛くて思わず「痛い」と言ってしまいました。
そこから先は、「どうか、盲腸まで到達するように。」と祈りながら検査に集中しました。
カメラが無事到達したときは、「成功したのだ!」と心の中で思わずガッツポーズ。
後は抜きながら腸の異変を見ていきますが、「ここからは、もう痛みはないですからね~。」と先生も言葉通り痛みは全くありませんでした。
ただ、1つ気になるアクシデントがありました。
それは、往路で「アタッチメントが取れた。」って2回くらい先生が途中で手を止めたことです。
内視鏡のアタッチメントは、調べてみるとはスコープの先に装着する先端フードで、帽子のつばのようにヒダをめくるよう観察するもののようです。
(見えにくい腸の襞の裏側を観察するものなのですね。)
外れたアタッチメントは、腸の中に置き去りにされたのか、掬って付け直したのか今もって分かりません。
それでも、「全腸」観察しその場で、結果を聞くことが出来ました。
検査が終わってすぐ、先生が看護師さんに「13㎝、15㎝」と言って、看護師さんがそれを用紙に慌てて書きつけて、もしかしたら13㎝、15㎝の大きなポリープがあったの?って一瞬、思ってしまいました。
でも、それは杞憂で何らかの業務連絡で、そんな大きなポリーブがあったら腸が圧迫されて大変なことになっていると冷静に考えるとあり得ないと思いました。
先生の説明では、腸の中は、ポリーブはなく奇麗だった。
でも、S状結腸に僅かに「虚血性腸炎」つまり炎症があるということでした。
これは、何かの病気ではなく、前日、下剤で硬い便が通過したとき凄く痛かったので、そのときに腸に傷が出来たものではないかということでした。
そして、腸が長い「結腸過長症」という欄に〇がついていました。
「今回、11㎜の内視鏡が出来たのは、運がよかった。次やるときは、細い内視鏡もある設備の整ったA病院でやるといい。私は、A病院で水曜日にやっています。」と先生は病院名と曜日を紙に書いてくれました。
スコープが、盲腸まで到達するまで長く感じましたが、後で看護師さんに聞いたら検査時間は、30分くらいだったそうです。
水浸法は、盲腸まで到達する時間が平均5分くらいとあったのでやはり、私は時間が掛ったのかと思いました。
終わってから
今回、11㎜の通常よりやや細めのスコープで検査を行ったので、前回のアナログの細いカメラよりはデジタルなので画像がいいと思います。
だから、がんになっているポリーブなどはなかったと思われしばらくは大腸がんの心配はしなくていいと思います。
便潜血検査でどうして「陽性」になったか分かりませんが、ポリーブは大きくならないと出血しないということでした。
今回は、「水浸法」とG先生のお陰で、検査が成功しました。
G先生は、大げさにいえば私の命の恩人だと思います。
だから、私のような「内視鏡困難者」のためにもこれからも健康に気を付けて末永く現役で、この仕事を続けて欲しいと思います。
内視鏡検査時に胃から腸まで空っぽにするという通常ではあり得ない環境が生じます。
(腸内細菌が、変化するなど)
このため検査後に便通に変化が出るので、整腸剤を処方してもらいました。
大腸内視鏡検査が無事終わり安心したからか、急にお腹が空いてきました。
数日前から食べる量を減らし、前日からほぼ丸1日絶食状態だったので、ふらふらになり、駅までの帰り道、目についたレストランに吸い込まれるように入りました。
そこで食べたのが、これ。
何だと思いますか。
デザートでゃなくうどん(元芸人さんがオーナーのうどん屋さん)で、チーズと生クリームの下はうどんが隠れています。
つい、3,4日の食習慣で「繊維質」がなくて消化のいいもの(チーズと生クリームは、消化はよくない?)を何も考えずに注文しましたが、もう、検査が終わったので、刺激のあるもの以外何でも食べてもよかったのです。
だた、後で見たら「検査後1時間は、水分のみにして下さい」ともらった紙に書いてあり、1時間も経っていなかったけど食べてしまいました。
(でも、大丈夫でした。)