脳梗塞
母が、昨年8月に脳梗塞で倒れ、現在も入院しています。
日本で、寝たきりになる原因の1位は「脳卒中」です。
脳卒中は、脳出血、くも膜下出血、脳梗塞に分けられます。
中でも7割を占めるのが、脳の血管に血の塊である「血栓」が詰まるのが「脳梗塞」です。
首から脳に伸びる太い血管は、細い血管に枝分かれしながら脳の奥まで張り巡らされて脳の隅々に血液を供給します。
脳の血管が詰まると、脳の神経細胞に十分な血液が供給されなくなり障害が起こります。
母のように右側の脳血管が詰まれば左半身麻痺、左側が詰まれば右半身麻痺が現れます。
発症後24時間は、障害を起こしている神経細胞の範囲が急速に広がることがあり、範囲が広いほど症状も強く出ます。
症状が発症して神経細胞が壊死するともとに戻らないので、早期発見と適切な治療が命を救い、脳への障害を抑えることにつながります。
時間との勝負
ここ10年で、脳梗塞の治療は進歩しました。
血栓を溶かす「血栓溶解療法(t-PA)」や脳の血管にカテーテルを入れて血管を広げる治療に加え血栓を回収する「血管内治療」の併用で死亡率や後遺障害を抑えられるようになりました。
母は、脳の血管にカテーテルを入れて血管を広げる治療をしました。
母は、発症から10時間以上経ってからの発見、その以降の治療だったけど「血管内治療」が出来て命が救われました。
昨年8月のコロナ禍で、近くの地域拠点病院で断れるも救急隊員の機転で「脳神経外科」のある医療機関を探してくれ、治療可能な脳卒中の専門医のいる医療機関に搬送され治療が可能となりました。
(現在、治療可能な医療機関は、限られているようです。)
救急隊員が、母の症状を見て、すぐに脳梗塞と分かったのもよかったのです。
ただ、t-PAは、脳出血の副作用があるので、発症から4.5時間以内に限られています。
血管内治療も従来は、6~8時間でしたが、発症から24時間と適応が拡大されました。
発症から経過した時間で、治療法が変わるため担当医は、母に付き添った弟に昨日からの母の様子を念入りに聞いていました。
血管を広げる処置のリスクとして、新たな血栓症を発症させたり、血管が破れて出血してしまうことがあるということでした。
でも、脳細胞が完全に死んでしまう前に血流を再開させなくてはならないという一刻を争うものだったので、すぐに手術をお願いしました。
というように脳梗塞の治療は、時間との勝負です。
だから、命を守り後遺症を減らすために、発症のサインを見逃さずすぐに「救急車」を呼び治療を受けることが重要になります。
『脳梗塞』は時間との闘い。【FASTチェック】を知って、後遺症を残さない
3つのサイン
早期治療を開始するためのは、脳梗塞の発症のサインを見逃さないことです。
脳梗塞が起きると「3つのサイン」が突然現れます。
突然、これまでに経験したことがない眩暈やふらつきが起こり、①~③の症状が1つでも起これば脳梗塞の発症が強く疑われます。
①思うように話せない
物の名前が答えられない。
「今日は、雨が降っています」など短い文章が言えない。
➁体の片側が、うまく動かない
掌を上に向け両腕を前に伸ばすと片方が下がってくる。
片足に力が入らずうまく歩けない。
③見え方がおかしい
視野の一部が欠ける。
脳の左側が障害を受けると両目とも右側の視野が欠ける。
母は、これらの症状があったか分かりませんが、発症する数日前から「眠い眠い」と言っていたり、脳梗塞を発症した日中、近所の人に「台所の換気扇に雷が落ちた」と言っていたそうです。
弟にも同じことを言っていたようで、この言動も脳梗塞の発症のサインだったかもしれません。
脳梗塞の前兆
脳梗塞の発症を疑うサインがあっても数分から数時間で症状が、自然に消えることがあります。
このように24時間以内に症状が消えるものを「一過性脳虚血発作」といいます。
脳の血管を詰まらせた血栓が短時間のうちに溶けて血流が再開したため症状が消えます。
一過性脳虚血発作は、本格的な脳梗塞の「前兆」です。
治療せず放置すると3か月以内に5人に一人が脳梗塞を発症し、約半数は、発作から24時間以内に発症するといわれています。
このように症状が消えたからと安心せず、適切な診断と治療を受けることが脳梗塞の発症を防ぐことになります。
しぼり菜リズム(まとめ)
脳の血管に血の塊である「血栓」が詰まるり、脳の神経細胞に十分な血液が供給されなくなるのが「脳梗塞」です。
症状が発症して神経細胞が壊死するともとに戻らないので、早期発見と適切な治療が命を救い、脳への障害を抑えることにつながります。
脳梗塞を発症してからの時間によって、血栓を溶かす「血栓溶解療法(t-PA)」や脳の血管にカテーテルを入れて血管を広げる治療に加え血栓を回収する「血管内治療」が可能になります。
母は、血管内治療で命を取り留めました。
t-PAや血管内治療によって、救命と後遺障害を減らすことが可能となので脳梗塞の発症の早期発見が大切になります。
脳梗塞の発症のサインとして①思うように話せない➁体の片側が、うまく動かない③見え方がおかしいというのがあります。
発症のサインがあったら躊躇せず、救急車を呼びましょう。
発症を疑うサインがあっても自然に消えてしまう「一過性脳虚血発作」とうのもあり、本格的な脳梗塞の前兆となることが多いので、安心せず適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
出典:『しんぶん赤旗日曜版 1月30日号』