ドラマ『きのう何食べた』をAmazonプライムビデオで、見ました。
料理番組として見るドラマ
テレビでは、楽しくてお洒落な『レイチェルのおいしい旅レシピ』(NHK)、3人の女性が作る季節感溢れる『やまと尼寺精進日記』(NHK)、動画では、逆輸入が新鮮な日の料理『Cooking With Dog』などの「料理番組」が好きでよく見ています。
まあ、これらの料理番組は、見るだけで実際に自分で作るということはほとんどなく、ただただ調理する過程が楽しくて、幸せな気分にさせてくれるのがいいのです。
その流れで、『きのう何食べた』はドラマだけど、断然、調理に目がいく番組です。
「調理する過程が楽しくて、幸せな気分にさせてくれる」というのは他の料理番組と同じですが、番組で紹介される料理を自分でも作ってみようと思うのがこのドラマなのです。
主人公のシロさん(西島秀俊)のモノローグの料理の解説は、「料理番組」そのもので、テンポが良くて丁寧でとても分かりやすいのですぐにでもマネして作ってみたくなります。
実際に作る場合には、ネットにもレシピが公開されていて、レシピ本も出ているのでこれを見ながら作ることが出来ます。
お相手のケンジ(内野聖陽)と二人の食費が、月2万5千円に収めるように近隣のスーパーの底値を把握し家計簿をつけて作るところは、主婦目線で参考になります。
麺つゆなど家に普通にある調味料やツナ缶や手に入りやすい材料を使って、時短料理や手軽に作れるものが多くこれなら今晩の献立にしてみようかと思うのです。
献立が和洋中と偏らず、予算、栄養、バランス、体に優しいものを考えて作る家庭料理が、まさにリアルな日常ご飯です。
また家庭で、料理をするよさも存分に伝わり、その食感、温度、香りが画面から伝わって家族のために作ってみようとモチベーションも上がります。
シロさんの料理
鶏もも肉のトマト煮
クレープの生地を焼いたり、ホワイトソースを一から作ってひと手間掛かる料理もあるけど簡単で、栄養のバランスもいい料理は参考になります。
「鶏もも肉のトマト煮」は、フライパン一つで出来て見た目より簡単で、野菜もたくさん摂れる優れものです。
冷凍したきのこを使ったり、トマト缶をゆすぎながら水を入れるところなどさすが「主婦(主夫ではなく)」感覚が優れていると感心。
ハーブは入れていませんが、チーズのコクとトマトの相性は抜群でした。
茄子やジャガイモ入れて、作っても美味しいと思います。
弁護士の仕事のやり甲斐より、買い物をして帰宅後や休日に自宅で品数多くバランスの良い食事を作ることを生きがいにして、楽しそうに料理をするシロさんは、本当に料理が好きなのだなあと思います。
アールグレイミルクティーのシャーベット
小日向さんとジルベールを交えた4人のクリスマスディナーのデザートは、「アールグレイミルクティーシャーベット」
本格的なシャーベットが、簡単に作れてビックリです。
紅茶は、家にあったアフタヌーンティーで作ったけれど紅茶の風味で美味しかったです。
ポイントは、ふんわりしたアイスにするために固まるまでに、何度かかき混ぜて空気を入れることと練乳を1本使い切ることです。
(そのまま固めてしまうとカチカチになって、スプーンですくいにくいです。)
冷たくすると砂糖70gと練乳を1本使っているけど、思ったよりも甘過ぎずさっぱりとした味になっていて、ジルベールが「丼物、一杯食べたい!」と叫ぶ気持ちが分かります。
でも、アイスって余程、たくさんの砂糖を使っているのね。
自分で作る方が安いので、次は、コーヒー味で作ってみようかと思います。
ケンジの特製味噌ラーメン
シロさんが作る料理もいいのですが、ケンジが作った料理・飲んだ後の真夜中のラーメンが美味しそうで翌日、作ってしまいました。
ケンジもシロさんに負けず、バターをたっぷりと入れるとことなど楽しそうに料理をします。(シロさん以上かも)
メインで料理していたのが味噌ラーメンと玉子焼きだけど、この味噌ラーメン作っているときは特に楽しそう。
シロさんのいない大晦日に一人で作った袋麺(サッポロ一番味噌ラーメン)で作った「特製味噌ラーメン」。
バターにニンニクがいい仕事をしていて、付属のスープに中華ダシと味噌を足すというひと手間掛けることで格段に美味しくなります。
野菜など具だくさんで、お腹一杯になり、一人のときにまた作ってみたいと思いました。
でも、飲んだ後の深夜のラーメンって罪悪感もあるけど余計、美味しいのだね。
お袋の味
シロさんのお母さん(梶芽衣子)が、実家で作る「お袋の味」がまたよくて。
お母さんと並んで台所に立って、「あなたが女の子だったら…」と口にする母ですが、「こうして2人で台所にいるのも全然、嬉しくないっていったら、そうでもないんだけど」ってやっぱり嬉しそう。
ちょっとした料理のコツをお母さんが伝授してシロさんが、新たな発見をするのがいいです。
お母さんにとって、シロさんはいくつになっても子どもで、シロさんが帰ってくると子どもの喜びそうな揚げ物をよく作ります。
シロさんは、大抵の料理は上手に作りますが、思い切りがない性格なのでかき揚げが苦手という一面があります。
「鶏の唐揚げ」は、調味料を順番に入れていくのがお肉が水分をよく吸ってお肉を柔らかくするコツなんだそうです。
二度揚げは、必須ですね。
「切り干し大根の煮物」は、砂糖を入れなくても蓋をしないで煮汁を最後まで煮詰めると切り干し大根の優しい甘味が出るということでやってみたいと思いました。
役者さんの演技
料理の魅力に加えて、役者さんの演技もこのドラマを面白くしています。
内野聖陽の相手を思う気持ちやシロさんに思い切り焼きもちを妬くところなど乙女な感情表現が見事で、ケンジって実在している人物ではないかと思わせます。
演技を感じさせないリアルな演技が、素晴らしいです。
最近では、『スローな武士にしてくれ』(NHK)での殺陣も素晴らしいのだけど、情けない役がまた上手くて、これが同じ人?というくらい全く違う役を演じていて振り幅が大きいのかと思いました。
自分の趣向がゲイらしくないことにコンプレックスを抱き、人前でゲイらしさが出ることを恐れるという相反する中途半端な自分に悩むシロさんを西島秀俊がうまく表現していました。
少しづつですが、シロさんの心が開放されていく様子も見れましたね。
普段は、キリッとした紳士でS気質な雰囲気だけど、恋人ジルベール航を前にすると「わたるく〜ん」ととたんに表情が緩んで口調までMっぽく変わる小日向役の山本耕史も芸達者だと思いました。
鋭い横槍を入れる無精ひげのジルベールの磯村勇斗は、パンチの効いたスパイスのように不思議な印象を残しました。
人柄のよさがそのまま出ているシロさんのお父さん役の志賀廣太郎さん、ご病気のためか途中で降板されていてその後、お亡くなりになったと知り改めて素敵な俳優さんだったと思いました。
食事
シロさんが作る料理を「美味しい。美味しい」とケンジの食べる様子は、作った人へ感謝やリスペクトがあり、ケンジのシロさんを想う気持ちがいじらしいです。
シロさんも一人だとついつい炭水化物だけで済ませてしまうとナポリタンを作っていましたが、ケンジがいるからこそきちんと作っていてやはり、愛が、感じられます。
お互いを想い合う姿は、男女の関係を超えて普遍的なのです。
日々のご飯を作って食卓を囲むこと・誰かのために作り、楽しく食べることで、人は優しくなれます。
だから、喧嘩をしても仲直りして、同性愛者が普通に暮らしていく上での障害(人間関係や社会的な悩み)も乗り越えるいけるのだと思いました。
しぼり菜リズム
次は、何、作ろうかな。
決して高級な食材を使わずとも丁寧に出来上がる「今、食べたい」と思わせるお惣菜。
シロさんご飯、今晩の献立の参考になります。
『きのう何食べた』は、主婦目線で見れる料理番組であり、人生模様を織り交ぜたドラマでもあります。