「行儀が悪い」なんて言わないで!寝ながら食べることで元気になれた父

海

横向きで寝ながら食べられた

ベットに寝ながら食事をするって「行儀が悪い」し体にも悪そうなイメージがありますよね。つい最近まで、私もそう思っていました。

しかも仰向けではなく、横になって食事をするなんでまったく頭になかったです。しかし、私の父は横になって寝ながらベットで食事をして元気になりました。

実は、この方法「完全側臥位法」というちゃんとした食事方法で、嚥下障害のあり誤嚥リスクのある人にとって有効な食事方法なのです。

 icon-arrow-right 「口から食べる」ことをあきらめないで。【完全側臥位法】による食事方法も取り入れる

父は、脳腫瘍の術後、食事が出来なくなり経鼻栄養や中心静脈栄養を余儀なくされ絶食状態が続きました。

しかし、リハビリ病院に入院中、主治医と言語聴覚士の評価により完全側臥位法で、体を横向きになる姿勢で食事を食べることが出来ました。

2月にとろみのついたお茶から始め、ゼリーを食べることが出来ました。5月からは、ペースト食を食べることが出来「食」のバリエーションが広がりました。

側臥位での食事は、どうして誤嚥しにくいのか

完全側臥位法

肺炎や窒息を防ぎながら栄養を摂る方法として比較的重い嚥下障害の人でも食事をすることが出来るのが「完全側臥位法」という福村直毅医師(長野県飯田市健和会病院)が普及している摂食姿勢の1つです。

その方法で、重要なのは摂食姿勢です。従来の摂食姿勢は、上半身を後方に傾けて誤嚥の危険を減らす座位(座って食べる方法)や仰向けに寝て食べる方法などでした。

この姿勢では嚥下障害が重症な人は、うまく食べられないことが多かったのです。

ではどうして、横向き寝て食べる完全側臥位法での食事方法が、誤嚥や窒息のリスクが少ないのかです。

食べ物を安全に溜められる空間が出来る

側臥位での姿勢では体を完全に横に向けるので、横を向いた方と反対側の咽頭部が広くなります。その安全に食べ物を溜められる「空間」に重力の働きで食べ物はいきます。

この空間は喉の片側にあり、一般的な座位よりも3倍もの量を溜めることが出来ます。座位では飲み込めなかった食材が喉に溢れてしまい、その一部は声門を通って気道に流入し肺へいってしまいます。

しかし、完全側臥位法では、飲み込めなかった食材は声門より下の空間に溜まるので声門に入ることがなく誤嚥しません。

肺との分岐点に近づけない

人間の喉は横広で、肺との分岐部(喉頭)はその真ん中あたりにあります。その分岐点に食べた物を近づけないようにすることで、肺へ食べた物が入り難くなります。

上を向いて寝ているよりしっかり横を向いた方が、咽頭から離れた喉の片側の壁に沿って食べ物が通過し食道にいきます。

食材が喉に入ると声門が閉じて気管に入らないようにしますが、声門がしっかり閉じなかったり声門の近くに食材が溜まった場合でも横向きになる完全側臥位では、重力方向が声門から離れる方向に向かうため誤嚥しにくくなります。

食道入口部が開きにくい人も横向きの側臥位の姿勢では、食道入口の開きがよくなりスムーズに食道から胃に食べ物が入っていきます。

完全側臥位法の姿勢が誤嚥や窒息のリスクを減らすのは、喉に食べ物が残った場合でも安全に食べ物を溜めておける場所が出来る、肺に入っていく「危険なゾーン」に食べ物を近づけないなどの役割を果たしているからです。

完全側臥位法は、父のように咽頭機能が左より右の方がいいというように左右に機能差がみられる場合や咽頭部に食べ物が残りやすい場合に効果的なのです。

フィニッシュ嚥下で、より安全に

完全側臥位法で食べる場合は、横向きの姿勢だけではなく、セットで必ず「フィニッシュ嚥下」を行います。

これは、食事の最後にとろみのついたお茶などの「水分」を摂ることをいいます。

完全側臥位法は、喉に食べ残りるという前提があるので、喉に残った食べ物をより安全な水分で洗い流すのです。フィニッシュ嚥下の目的は、食材の喉残りをなくすことなのです。

同じような理由で、食事の合間、合間にもとろみの水分を摂って、喉に残った食べ物を流し込みます。

より安全を確保するために食後の口腔ケア(食べ残りなど口の清掃)と喉に残ったものの吸引を父の場合は行っていました。

攻めのリハビリ

完全側臥位法

完全側臥位法

誤嚥性肺炎や窒息のリスクを恐れて食べなければ、消化管や嚥下の力が衰えて口から食べることが難しくなります。完全側臥位法で食べれば、口から食べるリハビリにもなります。

どんどん食べることが出来るようになり、いい循環が生まれます。父も数か月食べ続けて、転院する頃にはのみ込みの機能が上がりました。

食べることをこのまま続ければ、1日2回の経鼻栄養が1回になるかもしれないというところまできました。

父は口から食べることで体力がつき、歩行器で3メートル歩けるようになりました。顔に表情が出て、肌がつやつやとして会話も増えました。

このように完全側臥位法は、食べるという行為そのものであり、攻めの「リハビリ」でもあるのです。

良好なトライアングル

夏の大三角形

完全側臥位法での食事をするには、いくつかのポイントがあります。まず本人の食べる意欲がないといけません。誤嚥性肺炎を恐れて、食べることを諦めてしまわないことです。

絶食状態の中、父の紅茶が飲みたいという願望から始まり、コーヒーゼリーが食べたい、甘くないおかずが食べたいと食べることに強い願望が食べる行為に繋がりました。

食べることへの意欲を失わなわず、諦めなかったことで願いが叶ったのです。そして、本人の意欲とともに理解ある主治医、看護師、言語聴覚士のどの父を支える大勢のスタッフがいて食べることが可能になりました。

主治医が父の嚥下状態の正確な診断により、父が安全に食べられる方法を評価してくれました。その評価に基づいて、言語聴覚士の現場での適切な対応により安全に食べることが出来ました。

このように主治医や言語聴覚士などの現場スタッフ、本人や家族との連携。良好なトライアングルに、理解や適切な判断があって初めて可能なのが完全側臥位法での食事なのです。

しぼり菜リズム

「完全側臥位法」は、嚥下障害で絶食状態を強いられた父にとっては「一縷(いちる)の望み」でした。食べることは、生きる拠りどころになります。

食べられることで、生活の質も格段に上がります。

ベットで寝ながら食べることは、見た目は行儀が悪いかもしれませんが座って食べるよりも安全なこの方法で幸せになれる人がいることを知って欲しいです。

参考資料:しんぶん赤旗日曜版「嚥下治療上下」福村直樹医師語る

 

 

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2017年現在57才 50代になって体に色々な変化が起きました。 アレルギー、腰痛、変形性膝関節症、脂漏性皮膚炎、手湿疹、眼精疲労、胃腸の不快感、開帳足等々一気に吹き出しました。 このほかに病気以前、未病のものもあるので 自分の体を見つめ直した生活を考えています。 健康、医療、病気、楽しいことも含めた日常生活を綴っていきたいと思います。 認定医療コーディネーター、ホームヘルパー びわの葉療法インストラクターの資格保有