父が、回復期リハビリテーション病院を退院した後「在宅介護」をしようと家族で考えていました。
しかし、在宅を断念しました。何故、在宅がいいと考えたか。そして、在宅介護を諦めた理由などを書きました。
在宅がいいと思った理由
リハビリで回復した機能を維持出来る
現在入院している回復期リハビリテーション病院では、脳腫瘍の術後の「急性期」のリハビリを経て在宅復帰を目指してリハビリを行って来ました。
父は術後、長期に渡り安静にしていたことで「廃用症候群」になりました。
起き上がれない、立てない、歩けない、自分で排泄出来ない…など父は、術後、要介護5になり寝たきりになりました。
術前は、食べることが出来ましたが、しばらく「絶食状態」が続いたことにより嚥下障害になり、口から食べることが出来なくなりました。
主治医は、脳腫瘍の後遺症も影響しているかもしれないと言っていました。そんな状態から少しでも自立に向け、機能が落ちないようにと回復期で集中的にリハビリをしてきたのです。
父は、リハビリのかいがあって、車椅子で1時間くらい過ごせるようになりました。ゼリー食やミキサー食を食べられるようになりました。麻痺していた右手も以前のように使えるようになりました。
このように「回復期」のリハビリで取り戻した機能を低下させないように継続して行いたいところです。この(回復期の後の)「維持期」リハビリを行うには、在宅が一番いいと思いました。
医療療養病棟では、極端にリハビリが少なくなります。有料老人ホームでは、リハビリの専門家のST、PO、OTがいてそれなりの金額を出せばやってくれる施設があります。
しかし父の場合、経鼻栄養なので入れる施設が絞られ、その中でリハビリが充実した施設はありません。あるかもしれませんが、月35万円くらい出さないとなりません。
特にお楽しみレベルですが、食べられるようになった父が、「食べる」ことを断念するのは辛いです。
食べる重要性は、以前の記事にあります。
【超高齢化社会】到来。「口から食べる」ことの重要性を広めることが、幸せを守ることに
現在、STに昼食時にゼリーや野菜や肉を使ったミキサー食を食べさせてもらっています。父の場合、誤嚥のリスクが少ない「完全臥位法」という特殊な方法なのでそれをやってくれる施設はないと思います。
「口から食べる」ことをあきらめないで。【完全側臥位法】による食事方法も取り入れる
昼食時に行くとSTがこの食事介助方法を教えてくれるので、それを覚えれば在宅で家族が、リハビリも兼ねた食事介助が出来ます。
また、寝ている時間が多いと、体の機能がどんどん低下しまいますが、在宅だと頻繁に家族や訪問ヘルパーが車椅子移乗させ、離床させることも出来ます。
このように回復した機能を維持させるために条件が、整えば在宅で介護をしたかったのです。病院のスタッフの一丸となった努力に加えて、それに答えて父もやさぐれることなくリハビリを頑張っていました。
ときには、元気になりたい一心で、リハビリを頑張り過ぎて疲れてしまう程でした。そんな父の思いを汲んであげるのは、在宅しかないと思ったのです。
住み慣れた自宅で過ごせる
本人は、施設でもいいと言いますが、やはり父にとって住み慣れた自宅で過ごすことが一番だと思います。好きな新聞を読んだり、テレビを見たり、好きな物を食べたりすることが自由に出来ます。
自宅であれば、家族も集まりやすいです。何よりも、気心知れた家族の介護を受けることは、本人にとって安心感があると思います。
在宅を断念した理由
要介護5の父の在宅介護は、つきっきりの介護になります。
1日5回のオムツ交換(夜中1回)、口腔ケア、清拭、着替え、車椅子移乗、体位変換を行わなくてはなりません。
父の場合、介護に加えて「医療的ケア」が必要になります。朝夕の経鼻栄養と痰の吸引です。それを同居している母が、一人でやるには荷が重すぎます。
高齢の母には、持病があり共倒れになる可能性もありW介護になることも。同居している弟は仕事が忙しく、日中家に居ません。
隣県に住んでいる妹も仕事が忙しく、自宅に通うのは難しいです。私も仕事も止めて実家に介護に通うことも考えましたが、朝、夕1日2往復(又は3往復)するのは家庭があるので大変です。
訪問看護やヘルパーをフルに使えば、自費負担分も発生し40~50万円くらい月に掛かります。特に「痰の吸引」や経鼻栄養を行うことは、ともすれば命に関わります。
病院の医師や看護師も父の場合は、在宅介護は難しいだろうと言うことでした。実家の現状とプロの目から見ても在宅介護は無理なので、泣く泣く断念することにしました。
しぼり菜リズム
「回復期」を卒業すると十分なリハビリを受ける仕組みがないのだと実感します。
リハビリの効果は、「維持期」であっても十分にあると思いますが、それが出来ないのが歯がゆいです。
国の政策は、「在宅」へと移行するよう舵を取っていますが介護資源、医療資源、介護技術が整わないと在宅は、難しいです。家族の介護技術も必要になります。
お金に糸目をつけない、十分な人手があるという場合は別ですが。