前回は、病院を受診したときに掛かる医療費のことを書きましたが、今回は薬代について書きます。
同じ治療をしたのにどうして金額が、違うのか?医療費の「領収書」からわかること。
薬局で、掛かる医療費は4つと加算分
診療行為が終わると処方箋を薬局に出して、薬を調剤してもらいます。
薬局で掛かるのは「調剤技術料」「薬学管理料」「薬剤料」「特定保険医療材料(糖尿病で使うインスリンの針など特別な場合のみに使う材料の値段」の4つです。
薬局で支払うのは、薬代だけではないのですね。
これに各種「加算」が加わります。薬も医療と同じで、点数で算定され1点は10円に当たります。
薬剤料
「薬剤料」は薬そのものの値段です。薬の値段は国によって決められているので、どの薬局でも薬剤料は同じです。
調剤技術料
調剤技術料の中の「調剤基本料」は、薬剤師が薬局で処方せんに基づいて調剤することに対する報酬ですが、薬局の規模や業務内容によって変わります。
どの病院の処方箋でも受け付けている薬局なら41点、門前薬局など特定の病院の処方箋だけ扱う薬局なら25点、チェーン店なら20点と違います。
個室があったり、1日8時間以上や土日にやっていたり、在宅訪問を実施している薬局などでは「基準調剤加算」として32点が追加されます。
このような積み重ねより、調剤基本料が73点や95点になることもあります。
薬学管理料
薬学管理料は、服薬指導、情報提供、在宅医療への薬剤師の取り組みなどに付きます。
薬剤服用歴管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料、在宅患者訪問薬剤管理指導料などがあります。
薬学管理料の中の「薬剤服用歴管理指導料」は、お薬手帳を持参すれば38点、手帳がないと50点になります。
薬局では、薬歴をつけてその記録から薬の飲み方や注意点を伝えているので、指導料としてこの料金が掛かります。
この薬剤服用歴管理指導料がない薬局もあり、その分、安くなります。
しかし、それは薬歴をつけていないということなので、副作用などの安全面が疑問視されます。
加算されるもの
かかりつけ薬剤師を指名すると「かかりつけ薬剤師指導料」というのが掛かり70点加算されます。
かかりつけ薬剤師は、患者に処方される薬をすべて把握するほか、24時間患者から連絡がつくようにすることなどが求められます。
私は、いつも同じ薬を1種類の処方なのでかかりつけ薬剤師の必要性を今のところ感じません。
ジェネリック薬品の調剤に積極的な薬局では、18点などの加算もあります。
その他
病院内で薬処方される院内処方と調剤薬局でも違います。技術料や調剤料が違い、調剤薬局の方が特別な報酬も加わるので高くなります。
院内処方の方が同じ薬でも安くなりますが、「医薬分業」を勧めている国の方針で院内処方をしている病院は減っています。
昔は、病院で薬を処方されることが多く便利でしたが、今はあまり見かけませんね。
私の処方料金①定期的に服用している「エビスタ錠60mg」
私は、3か月に1度、骨粗しょう症治療薬のエビスタを薬局(一般的な薬局)で処方してもらっています。
- 指調剤技術料128点
- 薬学管理料38点
- 薬剤料990点
合計11,560円(本人負担3,470円)と領収書にあります。
指調剤技術料128点は、調剤基本料41点+薬調剤料87点です。
指調剤技術料
指調剤技術料の内訳
・調剤基本料41点
調剤基本料とは、処方せん受付1回につき1回算定できる点数です。
この薬局は町の一般的な薬局なので、41点です。
・薬調剤料87点
薬が、31日分以上(90日分)なので87点となります。
処方日数により点数が、変わります。
薬学管理料
2枚の別の日の領収書を並べてみると、薬学管理料50点と38点と同じ薬を同じ量調剤してもらいましたが12点の差があります。これは、
薬学管理料は、原則50点ですが
- 6月以内に再訪した場合
- お薬手帳を持参した場合
に38点になります。6月以内に同じ薬局を再訪していますが、お薬手帳を持って行かなかったので50点になっています。
このように、薬手帳持って行かないと医療費が高くなるので、医療費の負担軽減のためには忘れないようにしたいものです。
お薬手帳は、薬局で無料で頂けますが可愛いものが市販であります。
こんなのだったら忘れないで、連れて歩きますよね。
薬材料
私の処方されたエビスタ錠60mg 薬価109.2円/錠×90錠なので990点9,900円です。
薬局によって違う
例えば、私の処方されたエビスタ錠60mgを違う薬局で受け取ると、このように支払う金額が違ってきます。
(単位円)
合計 料金 | 3割 負担 | 調剤 基本料 | 薬剤服用管理指導料(薬学管理料) | 調剤料 | 薬材料 | ||
一般的な薬局 | お薬手帳なし | 11,680 | 3,500 | 410 | 500 | 870 | 9,900 |
一般的な薬局 | お薬手帳持参 | 11,560 | 3,470 | 410 | 380 | 870 | 9,900 |
大病院の門前薬局 | 11,520 | 3,460 | 250 | 500 | 870 | 9,900 | |
チェーンの大型門前薬局 | 11,470 | 3,440 | 200 | 500 | 870 | 9,900 |
とお薬手帳持参とないのとで金額が変わり、選ぶ薬局によっても金額が変わって来ます。
特に1回当たりの金額の差は少なくても、定期的に薬を処方してもらっている場合などは年間で支払う金額が違ってくるので、領収書や領収書と一緒に発行してくれる明細書で自分の医療費を確認してみるといいと思います。
私の処方料金②歯科医で処方された薬は、ジェネリックを選んだ
先日、歯茎に膿が溜まり歯科医院で、切開して膿を出したので、薬局で抗生物質と痛み止めを処方されたときの明細書です。
調剤技術料・調剤基本料
調剤基本料1 41点
41点は、処方箋受付1回につき付きます。
調剤技術料・基本調剤加算 32点
個室があったり、8時間以上、土日どちらか開局、在宅業務を実施している薬局などでは「基準調剤加算」として32点が追加されます。
この薬局は、1日8時間以上、土曜日も開局。在宅訪問も行っているので32点が加算されています。
調剤技術料・調剤料
①内服液調剤料10点
内服液は、処方日数により点数が変わります。5点/1日分の2日分で、10点です。
②頓服液調剤料21点
頓服液カロナール錠200は、21点となります。
「内服薬」は、飲み薬全体のことを指し、「頓服薬」とは、朝・昼・夜などと定期的に使用するものではなく、症状が現れたときにそれを抑えるために使用する薬です。
痛み止めのカロナールは、痛いときに服用するので、頓服薬となります。
薬学管理料 50点
この薬局は、普段使わないので6か月以内に再訪していないということで、50点が加算されました。同じ薬局を6か月以内に使えば38点になります。
節約のためにはなるべく、同じ薬局を使うといいですね。
薬材料
今回2つの薬は、後発薬、いわゆる「ジェネリック医薬品」を選びました。セフジトレンピボキシル錠100mg「サワイ」とカロナール錠200です。
①抗生物質のセフジトレンピボキシル錠100mg「サワイ」6錠 22点
薬価35.3円/錠×6錠で、22点2,200円
この薬の一般名は「セフジトレンピボキシル」というもので、主成分や剤形が同じ先発薬の「メイアクトMS錠100mg」といのがあります。
- 先発薬 メイアクトMS錠100mgは、薬価は50.6円/錠
- 後発薬 セフジトレンピボキシル錠100mg「サワイ」は、薬価35.3円/錠
なので、一錠あたり15.3円先発薬が高くなります。
②痛み止めのカロナール錠200錠4錠 3点
薬価7.6円/錠×4錠で、3点300円
カロナールは「アセトアミノフェン」という一般名の後発薬ですが、このアセトアミノフェンは、実は先発薬がありません。
先発がないのに後発?とややこしいのですが。アセトアミノフェンは昔から使われているので、先発薬という概念がないようなのです。
ちなみに骨粗しょう症の薬のエビスタ錠60mgは先発薬で、薬価109.2円/錠です。これを後発薬にすると61円/錠となり一錠あたり、48.2円安くなります。
まとめ
医療機関や薬局がどのような料金を取っているかが「領収書」を見るとわかります。
医療費の薬代は、同じ薬を同じ量もらっても、薬局によって支払う金額が違うことがあります。
薬の単価はどこでも同じなのですが、薬の処方に掛かる「調剤技術料」や「薬学管理料」、各種加算が薬局によって違う場合があるからです。
医療費のコストを考えるならば、選ぶ薬局により料金が変わるので、ジェネリックなど自分に合った薬や薬局を選び、6か月間を開けずに毎回同じ薬局に行き、お薬手帳は忘れないようにしましょう。
薬局では、薬の処方に加えてその薬について、薬剤師が丁寧に説明や指導してくれるのは、単にサービスではなくて報酬として取っていたからなのですね。
サービスが、手厚くなればなるほど金額に跳ね返ってくるということです。