薬では、治らない変形性膝関節症
56歳のときに変形性膝関節症になり、歩くことや家事に支障が出始めました。変形性膝関節症は、膝の関節の軟骨がすり減ることで炎症が起きます。このまま、進行すれば行動範囲も狭められ生活の質も落ちてしまうので、膝の状態を改善したいと強く思いました。
整形外科で痛み止めの薬(抗炎症鎮痛薬)やヒアルロン酸注射など勧められました。しかしこれらの効果は、一時的なものです。痛み止めの薬は、繰り返し使うと胃や肝臓、腎臓に負担が掛かります。
ヒアルロン酸は、関節軟骨や潤滑液の役割をする関節液の成分です。主人も変形性膝関節症で、定期的にヒアルロン酸注射をやっていて痛みが和らいだといいます。ただ、効果は長く続きません。
さらにヒアルロン酸注射を長期間繰り返すと次第に関節軟骨が、弱まってきます。薬やヒアルロン酸注射などは根本的な治療にならず、長期的にはかえって関節の状態を悪くしてしまいます。
膝の痛みを改善する方法を整形外科でのアドバイスや整形外科で貰ったパンフレットや書籍などで調べていたらある方法がいいことがわかりました。
それは、実際に変形性膝関節症の痛みや症状が和らいだ、諦めていた旅行やゴルフが再開出来たなど、多くの人が実感している効果絶大な方法でした。
動いて治す膝の痛み
変形性膝関節症の痛みや症状が、劇的に改善する方法が運動療法です。
私もやってみて、効果がすぐに出ました。違和感のある右膝を庇って跛行ぎみに歩いていたのが、運動療法を始めて1か月経たないうちに普通に歩くことが出来るようになりました。
歩き始めのこわばりはありますが、以前より痛みが少なくなりました。現在の私の行動からは、変形性膝関節症とは、わからないと思います。
変形性膝関節症の症状がよくなった運動療法はどれも簡単で、誰でもできるものばかりです。私が行っている安全で効果的な運動療法のやり方は、次回に紹介します。
運動療法が何故いいのか
運動療法には、短期的な効果と長期的な効果の二つの効果があります。
痛みを軽減する効果
短期的な効果は、痛みを軽減されることです。痛みを起こしている膝では、細胞から「炎症サイトカイン」という痛みを起こす物質が出ています。膝の運動療法を行うと炎症サイトカインの生産が、抑えられるのです。
運動療法で、同じように炎症を抑える「抗炎症サイトカイン」という物質が作られるので、痛みを軽減する作用があります。
筋力が強くなり、軟骨が保護される
運動療法による長期的効果は、筋力を強くすることです。
膝に痛みが出ると、足を出来るだけ動かさないようにしてしまいます。すると筋肉が痩せてしまうので、膝への負担が増し痛みが悪化するという悪循環に陥りがちです。運動療法で、筋肉がつくと軟骨が保護され膝が動きやすくなります。
膝が痛む→安静にする→筋力が弱る→膝軟骨への負担増加→膝が傷む |
これが、運動療法により
痛みの軽減→動ける→筋力の強化→軟骨保護→痛みの軽減 |
といういい循環になるのです。
プロテオグリカンを増やせる
さらに、運動療法を行うと関節軟骨の材料となるコラーゲンやプロテオグリカンという成分の生産が促されるといいます。運動療法で、膝の関節液が軟骨の中に入り軟骨細胞に栄養を与え、老廃物が外に出ていきます。
こうして、軟骨細胞の代謝をよくすることでプロテオグリカンが増えます。プロテオグリカンは、関節軟骨の材料となるので、プロテオグリカンを増やせば、軟骨が再生されることも夢ではないのです。
「0」円で、薬より効果の高い運動療法
地球の重力の中で生きていくうえで、膝の変形を完全に止めることは出来ません。ヒアルロン酸やコンドロイチンですり減った軟骨を再生することも出来ません。
変形性膝関節症で薬やヒアルロン酸注射では、根本的な治療とはならず長期的には、膝関節をかえって悪くしてしまいます。しかし運動療法では、痛みを軽減する作用があるので、変形性膝関節症の症状が緩和されます。
運動療法で、膝関節の骨の周りの筋肉を鍛えら軟骨が、保護されます。そして、関節の動きの制限、歩行障害などの機能低下を防ぐことが出来ます。運動療法で、プロテオグリカンが増えるので、関節軟骨が再生されることもあります。
運動療法は、自宅で簡単に出来、お金も掛かりません。薬より確実な効果が得られ、痛みの再発防止にもなるといういいことばかりなのです。
【参考文献】
『安心』2016年11月号 マキノ出版、2017年『明日の友』226号婦人之友社、『きょうの健康』2016年7月号 NHK出版、日本整形外科学会『整形外科シリーズ3』