生前の雄mix、ロン君
1年前に猫の「ロン」君が4歳7ヶ月で亡くなりました。ロン君は、義母が飼っていた猫です。3歳で、「肥大型心筋症」と診断され、「腎臓」の奇形も指摘されました。
その後、飼い主の義母が、亡くなりロン君を私達家族で飼うことになりました。
それから左の腎臓の2/3が機能していないことがわかり、白血球や赤血球の異常、一部梗塞を起こし衰弱していきました。
ステロイドや投薬(腎臓、心臓)で衰弱状態から元気になりましたが、治療をしても完治が望めず、長くは生きないと「余命宣告」をされました。
ある日、猫と暮らすようになった
私は、犬は飼ったことはありますが猫を飼ったことがありませんでした。突然、義母が亡くなり、何の予告も心の準備もなく今日から猫と暮らす生活が始まりました。
猫の生態も知らないどころか、足の爪が(引っ掻くので)怖く触ることも出来ませんでした。
幸いロン君は、人懐っこくて警戒心がなく、去勢雄だからかおっとりと大人しく猫らしいところがない猫でした。
猫初心者の私が、初めて背中を撫でることの出来たのが、ロン君でした。ロン君は、私の猫への「恐怖心」を取り除いてくれました。
ロン君の病院通い
重い「心筋症」、「腎臓病」を患ったロン君と暮らし始めてからロン君の病院通いが始まりました。主人と子どもが付き添い月数回の通院です。
動物病院では、検査(エコー、X線撮影、血液、尿)と点滴、皮下注射と投薬の治療です。
私も一度付添ったことがありますが、病気の説明だけでも20~30分掛けて丁寧に説明してくれ、検査も治療も至れり尽くせりという感じでした。
人間でもこのくらい時間を掛けて問診や説明、詳細な検査はしないというほどです。
心臓や腎臓の状態、骨髄にも病変があるとのことで「この状態で、生きているのが不思議だ」と亡くなる1年前に説明され、それから「対処療法」(治療の目標は病気の進行を遅らせること)を続けました。
一時期の衰弱状態から薬がよく効き、普通の生活が出来るようになり、しばらくはロン君の平穏な生活が続きました。
毎回の検査でも急激の変化もなく、一進一退で「投薬」を続けました。
高額医療費の狭間で
対処療法に定期的な検査。いつまで続くかわからない治療には、嵩む「治療費」の問題も出てきます。
動物病院は、自由診療で、至れり尽くせりの治療にはそれだけの治療費が掛かります。
医療費も人間のように健康保険もないので、10割負担になってしまいます。
CT検査のときは、CTを撮るために全身麻酔をして、その麻酔に耐えることが出来るかの検査もしたので、11万円くらい掛かってしまいました。
治療が長引き、先が見えなくなってくると色々なことも考えてしまいます。
「安楽死」などという選択もあるのではないか。
治療しても治らない、予後不良なら「延命治療」ではなく安楽死の方が、猫も苦しまなくてすむのではと思ったりします。
衰弱状態から、ステロイドで一時的に好転しましたが、投薬で苦しい思いをさせて、命のを伸ばしてしまうことにもならないのか考えてしまうのです。
自宅で、看取る
「あと生きて、1か月くらい」と言われた昨年の7月から主人と話して、病院に行くことを止めました。ロン君を一番可愛がっていた子どもは、激しく反発しましたが。
ロン君に残された時間を放置せず、きちんと最後まで向き合い、自宅で出来る限りのことをしてあげるのが一番いいのではないかと考えたからです。
「腎臓病用」のキャットフードも食べられなくなったので、子どもが、これをミキサーでペースト状にして、スポイトで食べさせていました。
日に日に体力がなくなり、ロン君が好きな洗面台の上にもジャンプが出来なくなりました。
胸を濡らす程のよだれに血が混じり強烈な口臭が、家中漂いました。歩くこともままならない状態でも生きようとした姿は、今も焼き付いています。
「生きているのが、奇跡」と言われ、それから1年以上頑張りました。ロン君は昨年の8月に4歳7ヶ月で子どもの部屋で、飼い主であった義母のもとに旅立ちました。
生まれてから人生の半分以上の時間を「病」と闘ったことになります。
その短く凝縮した人生に惜しみなく愛情を注いだのは、子どもです。義母が亡くなってからロン君の世話を全部自分で引き受け、毎回の通院にも付き添い、投薬も全て自分でやりました。
午前3時にロン君の最期を看取ったのも子どもでした。その日は、寝ないで一晩中起きていたのです。
子どもは、この経験で、ペットを飼う重大さや残された手段の中で、何が最善の方法なのかを自分なりに考えたと思います。
ロン君が、縁あって我が家に迎えられて、幸せだったかどうか。
それは、幸せだったのではないかと思います。子どもが、ロン君に通常の猫が生きる15年、20年分の愛情を4年7か月に注いだからです。
私と主人だけでは、ロン君を快適に過ごせるようにしてあげて、義母のもとに送り出すことは出来なったと思います。
ロン君の治療は1年くらいで終了しましたが、延々にこのまま続いたらどうしていたかと思うのです。
「ペット保険」に加入していなかったので、高額の治療費が掛かりました。治療費やタクシー代など1年で「100万円」ほど掛かってしまいました。
治療に100万円掛かり、ペット保険の必要性を痛感しました。家では義母が残してくれた遺産で、この治療費を賄うことが出来ましたが、これがなかったらどうしていたことやら。
猫を飼うのに、車1台分の費用が掛かることを覚悟にして欲しい
「命」と「お金」を天秤に掛けるなと言われてしまいそうですが、生活に支障が出るようなれば治療の中断もあったと思います。
動物病院も自由診療なので、高度な検査や治療をどんどん提案してきます。
もし助かるならば、我が子に可能な限りの治療をしてあげたいと考えますが、出来ない人もいるのです。
ペットの治療は、線引きが出来ない「沼」のようなもので、治療費も限りなく嵩んでいきます。ペットの治療費で、借金を重ねてしまう人もいるかもしれません。
やはりペットは、最悪のことを想定して飼わなければならず、それが出来ないようではペットを飼ってはいけないと思うのです。
義母が、子どもに懇願されて高齢で迎い入れた猫ですが、主人が猫を飼ったことがあり、小さい頃から猫に親しんでいたので引き継いで飼うことが出来ました。
私だけだったら到底飼うことは、出来ませんでした。今では猫も長寿になり、20年くらい生きるので、自分の寿命も考えて飼わなくてなりません。
猫の飼育にかかる「費用」や「寿命」を十分に理解した上で、新しい「家族」を迎え入れてほしいと思うのです。
ちなみに「猫の飼育」に掛かる一生の費用は、餌代、砂代、光熱水費(夏は24時間冷房)、雑貨、ワクチン代、避妊、去勢手術、晩年の治療費など猫の平均寿命15歳で、100万円くらいだといわれています。
でも、うちの場合のように治療費が高額になったり、長寿化して20年くらい生きることもあるので、猫1匹に車1台分掛かると覚悟して飼われた方がいいと思います。
通院用に子どもがロン君を入れて、背負っていた「キャリーバック」です。ロン君は、この中に大人しく入っていたよなあ。
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