の続きです。
ブルガリ展「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」(国立新美術館)とヴァン クリーフ&アーペル展にて「永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル ― ハイジュエリーが語るアール・デコ」(東京都庭園美術館)に行きました。
ヴァン クリーフ&アーペル展
1925年のアール・デコ博覧会から100周年を記念し、グランプリを受賞したヴァン クリーフ&アーペルの歴史的なハイジュエリー約250点を展示
庭園美術館は、1925年のアール・デコ博覧会を視察した朝香宮夫妻がアール・デコ様式に魅せられアール・デコ様式の内装にしたという旧朝香宮邸なので「建物自体がアール・デコの工芸品」と称され、アール・デコ博覧会で受賞した作品群と空間とがよくマッチしています。
ところで、「アール・デコ」はなんぞや、アール・ヌーヴォーの親戚かと思い調べると
アール・ヌーヴォーは自然の形状や曲線を重視した有機的なデザイン(花や植物、昆虫などをモチーフにした柔らかで流れるような装飾で)、アールデコは直線や幾何学的なモチーフとした工業的なデザインだそうで全く違うのですね。
フランスのアール・デコを代表する装飾家が内装を手掛けたり、壁面や床、暖炉など計算し尽くされたような幾何学的な装飾は、確かにアール・デコの象徴なのでしょう

「絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット」(1924年)
今回のメインである、「絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット」が、100年前のアール・デコ博覧会の受賞作品で、赤いバラと白いバラが交互に並んだ幅広のブレスレットは、バラという自然のモチーフを幾何学的で秩序のある形に意図的に並べてあるからアール・デコなのかは分からないが
プラチナ、エメラルド、ルビー、オニキス、イエローダイヤモンド、ダイヤモンド…貴石、半貴石の輝きを見ているだけでも目の保養になるが、ジュエリーと食堂って親和性がないようだけどこれが花模様のレリーフの壁面の大食堂によく合うのです。
アール・デコ博覧会を視察した朝香宮夫妻もこの輝きを100年前にパリでもきっと見ていたでしょう
花をモチーフしたものが多くあったが、菊の花をイメージしたような「クリサンセマム クリップ」は、「ミステリーセット」と呼ばれる「石を留める爪」を表に見せない技法やピンのないブローチ、ジップを閉じるとネックレスからブレスレットになる「ジップ ネックレス」は、ジッパーから着想を得たというハイジュエリーの技法的なものも興味深かったです。
(ヴァン クリーフ&アーペルは、特許も多く取っている)
ブルガリ展と違い、邸宅なので自然光が入る部屋がありジュエリーに太陽の光が当たり緑、赤、青色の光が反射しとても幻想的でした。
アール・デコ様式の箱を最大限に生かした展覧会は、庭園美術館の得意とするものですが今回は、アールデコの内装が出しゃばらない程度に引き立て役になりジュエリーに寄り添っていたのがよかったです。
ただ邸宅の方は、各部屋を巡るので出入口等に段差があったり、、間口が一部狭かったり、階段を登り降りするというバリアフリーでない部分があったり、順路が分かりにくい所がありました。
二つの展覧会に行って、日本の伝統的な宝飾品は、身近な自然素材を活かしその素材が持つ本来の美しさや質感を楽しむ傾向に対して、ヨーロッパでは、採掘が難しい普遍的な価値を持つ貴石や貴金属が重視されデザインは、権威や富を誇示するような豪華で力強いと思いました。
日本の場合は、長らく着物文化が中心であったので和装小物の装飾が主だったので控えめだけどヨーロッパのジュエリーは、王侯貴族や富裕層が身分を示すために身につけてきた歴史があるので、ゴージャスで煌びやかなのだなあと思った次第です。
どちらもいいのだけどね
しぼり菜リズム(まとめ)
ブルガリ展「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」(国立新美術館)とヴァン クリーフ&アーペル展にて「永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル ― ハイジュエリーが語るアール・デコ」(東京都庭園美術館)に行きました。
ブルガリ展は、ブルガリの得意とする多色な「色彩」がテーマで、元々ヨーロッパの伝統的なハイジュエリーは単色が中心だったが、ブルガリがルビーやサファイヤ、エメラルドといった色とりどりの貴石をミックスしたことで慣習を打破し、それぞれの色は、偶然に任せるのではなく計算して配置されて息をのむような視覚的な効果を得ているのは、まさに「色の魔術師」のようです。
ヴァン クリーフ&アーペル展のメインである、「絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット」は、100年前のアール・デコ博覧会の受賞作品で、赤いバラと白いバラが交互に並んだ幅広のブレスレットは、バラという自然のモチーフを幾何学的で秩序のある形に意図的に並べたアール・デコ調で、ジュエリーと食堂って親和性がないようだけどこれが花模様のレリーフの壁面の大食堂によく合いました。
■「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」
- 会場: 国立新美術館
- 会期: 2025年9月17日(水)から12月15日(月)
■永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル ― ハイジュエリーが語るアール・デコ
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- 会場: 東京都庭園美術館
- 会期: 2025年9月27日(土) ~ 2026年1月18日(日)







