コンサート
60才を過ぎてからの音楽コンサートといえば、チケットが、比較的取りやすいクラッシックや東京吹奏楽団のようなちょっとの日常から離れて癒しが欲しいなあと思ったときに気軽に行けたり、誘われてチケットを取ってもらったときに行くくらいになりました。
それまでは、すごく行きたいアーティストがいたり、見たいミュージカルがあったのでファンクラブには入らなものの頑張ってチケットを取ってましたが、今は、行けたらいいなぁくらいのアーティストはいるものの労を費やしてまで行きたいと思えるものがなく、積極的に行かなくなりました。
(行きたいと思っても「面倒くさい」が勝ってしまう)
そもそも旬のアーティストや人気の企画は、以前より先行予約のチケットを取るのも難しいし、転売防止のために複雑になっていたり、一般発売も抽選には外れるし…
コンサート会場でもコンサートが始まったら観客が立っているみたいなものだと途中で疲れてしまい若い人のテンションについていけなくなり、トイレや帰り道や最寄り駅の激混み、入場規制にへとへとになって帰って来るようになり余計億劫になってしまったのです。
(こういうので、歳を感じる)
そういうストレスフリーのデイナーショーもいいけれど、金銭面のストレスで続かない
そんな中、60代半ばの私に優しいコンサートがあり、色々な意味で満足度が高ったのでちょっと紹介ます。
布施明コンサート
それは、布施明のコンサートです。
布施明は、「シクラメンのかほり」がヒットした特に1970年代80年代に活躍した歌手です。
歌手本人は、知らなくても「シクラメンのかほり」や「君は薔薇より美しい」などは色々な人がカバーしながら歌い継がれているので若い年代でも曲に馴染みがあると思います。
現在、ツアー中なので詳しいコンサートの内容は書けませんが雰囲気だけでも分かってもらえればと思いました。
布施明は、特にファンではないけれどたまたま誘われたので見に行ったという感じです。
でも、70才を過ぎていると思われる年齢を考えるとあの歌声が聴けるのは最後になるかもしれない
自分だっていつまで元気でいられるか分からないので、見納め、ラストチャンスを逃さないためにはいい機会だったのです。
会場に行くと私と同世代、というより上の世代が多く、杖を突きながら見に来ている高齢の方もいて女性ばかりか男性シニアも多く何だかホッとしました。
行く前までは、既に全盛期の声は出ていないかもという心配がありましたが、コンサートが始まるとそんな心配は吹き飛ぶほど豊かな声量に圧倒されました。
(力強さだけではなく、ときには温かく、詞に込められた感情の深い表現も素晴らしい)
最初から大熱唱でチケット代は、数曲で回収されすぐに元は取れました。
声の大きさや息切れしない肺活量は凄いのだけど御年78才というのが分かり(17才でデビューいて今年、60周年というこよで)、70代前半かと思っていたのでビックリしました。
プロポーションも維持されて若い頃のままで、何もかも「老人」を感じさせないところが天賦の才能に加え努力を怠らないプロ意識の高さを感じました。
ときどきマイクを胸元に下げてアカペラで歌う部分も声がきちんと届いていて(1階の中央堰でした。2階席まで届いたと思います)全盛期そのままという感じです。
今まで、コンサートに行くとボーカルの声が、ドラムやギターの楽器の音にかき消されるか負けじとやみくもに大声で歌うとか生よりレコーディングしたものの方がいいというアーティストって結構、いたんですが(生歌でがっくりくる歌手)、布施明は、生歌で聴かせまさにコンサート向きの歌い手さんだと思いました。
ミュージカルのような舞台でもブロードウェイのミュージカルの俳優並みにマイクなしでも演じられそうです。
コンサートホールなので、歌っているバックのスクリーンの色が曲に合わせて変わるくらいのセットもシンプルで、派手な演出もなし
バンドも最少人数でバックコーラスやダンサーもいないというあくまで「布施明の歌」がメインのコンサートです。
語りと歌をミックスしたものはあるがMCも少な目で、「歌唱」に特化したコンサートでしたが2時間が短く感じるほど飽きることはありませんでした。
(語りもユーモアがあって面白い)
観客は、ときどき手拍子はするけれど、ほぼ静かに着席したままなので聴くことに集中出来るのはいい
また、大き過ぎないキャパが2000人弱の中規模会場というもほどよく、歌をじっくり聴かせるコンサートにはいいのです。
生歌の「シクラメンのかほり」にうっとり
(日本語の歌詞を美しく歌い、明確な日本語の響きもいい)
日本語の「マイウェイ」は、彼が一番かな
知らない曲も多いけど高音のよく通る声で1曲1曲丁寧に歌い上げ、どの曲も心地よく心に沁み渡ります。
コンサート中に60周年記念コンサートのファイナルを武道館で行うとの発表があり観客が盛り上がり、80近くなっても守りに入るのではなく、新しいことにチャレンジし続けている姿は尊敬に値します。
是非とも紅白にまた出て欲しいですね。
懐かしい曲
「シクラメンのかほり」「君は薔薇より美しい」「霧の摩周湖」…
曲を聴けば、いきなり50年前にタイムスリップ出来るから音楽の力って素晴らしいなあと思いました。
曲と同時にその頃の自分の記憶も蘇り
懐かしさを思うと幸せホルモンが沢山出るような気がします。
もちろん、よいことだけでなく悪いこともあったのでしょうが曲と共に思い出すのはいい記憶ばかりで、年齢を重ねるにつれ不思議と思い出は美化されてしまうようです。
そんな意味でもシニア世代は、幼少期の思い出の曲や若い頃に口ずさんだ青春の歌をコンサート会場に行って聴くのもいいと思った次第です。
しぼり菜リズム(まとめ)
60代を過ぎてからは色々な意味でハードルが高い音楽のコンサートは行かなくなり、年齢に優しいコンサートを選んで行くようになり、今回、布施明のコンサートに行きました。
既に全盛期の声は出ていないかもという心配がありましたが、コンサートが始まるとそんな心配は吹き飛ぶほど豊かな声量に圧倒され、派手な演出はないけどじっくり歌を聴かせるスタイルや着席しながら歌を聴くことのみに集中出来たのがよかったです。
年齢を感じさせない力強さだけではなく、ときには温かく、詞に込められた感情の深さの表現が素晴らしいです。
懐かしい曲を聴けば、当時にタイムスリップ出来るから音楽の力って素晴らしく、懐かしさを思うと幸せホルモンが沢山出るような気がするようなコンサートもシニアの私にとっていいものだと思いました。