例大祭
家の前を町内の神輿が通ったこの日は、荻窪八幡神社の秋の例大祭です。
例大祭の日は、荻窪八幡神社で年に一度、二つの社宝が一般公開されます。
太田道灌(おおたどうかん)お手植えの槙のある「荻窪八幡神社」
ということで、見に行きました。
荻窪八幡神社は、普段は参拝客もまばらで閑散としていますが、例大祭の神事のほかに露店の出店や神輿の渡御、盆栽展、演芸などの地元の秋祭りということで境内はたくさんの人で賑わっていました。
見事な盆栽の展示や
私が行ったときは、神楽殿の前で、少年剣道奉納試合が行われていました。
この日は、参拝するのも行列が出来ていていてこれは、初詣以来ではないでしょうか
拝殿周りも色とりどりののぼり旗が立てられお祭り気分を盛り上げています。
勝海舟直筆の大幟と狛犬
目的の二つの社宝を見るために総檜造りの神門をくぐります。
すると左に大きな槙の木があります。
この槙の木は太田道灌が、石神井城主の豊島泰経を攻めるにあたり社前植栽した「道灌槙(どうかんまき)」です。
高野槙の左の回廊内に展示されているのが、今回の目的の一つである3年に1度公開される「勝海舟直筆の大幟」(杉並区有形文化財)です。
勝海舟〈1823~1899年)直筆の大幟(のぼり)一対で、長さ5間(約9m)、巾3尺(90㎝)の大幟で、「奉献八幡神社、明治16年9月吉祥日、上荻窪村氏子中、海舟勝安拝書」と書いてあるそうです。
これは、宮司小俣秀雄氏の祖父金重氏が、長男の誕生祝に作った幟に海舟が「みごぼうき」(を筆代わりに書き上げたもので、この墨をするのに3人で2日掛かったそうです。
小さい箒で書いたからか味がある字!
達筆なのかな?
江戸城無血開城を成し遂げるなど意志の強い印象のある海舟勝だからか、勢いを感じさせる字ですね。
例大祭で公開されるもう一つが、安山岩の宝永7年銘の石造「狛犬」一対(杉並区有形文化財)です。
(「宝永七末年九月 日 八幡宮 荻久保村」と陰刻)
普段は、八幡神社本殿内に奉安されていますが、年に一度例大祭で公開されます。
高さ26㎝、幅26.5㎝と思ったより小さくコンパクトなのは御帳台の覆いの重しに使われたからといいます。
透明なケーズに入って授与所のカウンターに展示されていて、阿吽形式の二体のうち一体は後ろ向きなので顔が見えません。
もう一体の正面を向いている狛犬は、楕円形で口が大きく素朴だけど漫画チックなユーモラスな顔です。
都内の石造の狛犬でも古い方で、ケース越しには見えにくかったが素朴な造形の中に入念な彫像がほどこされて江戸初期の作風が表れているそうです。
荻窪八幡神社は、寛永年間頃から氏子中社殿修復が盛んになりこの狛犬もこれと関連して社殿守護の目的で寄進されたものと考えられるといいます。
この二つの社宝、ほかに誰も見ている人がいなくてちょっともったいないような
私も神社について調べていなかったらこういうのがあるもの知らず、関心がなかったと思います。
別の日
例大祭が終わった境内は、いつものように掃き清められ
再び静かな神社に戻るこの時期は、急速に秋の気配が忍び寄るところですがまだ残暑厳しいです。
しぼり菜リズム(まとめ)
荻窪八幡神社の例大祭で、「勝海舟直筆の大幟」と宝永7年銘の石造「狛犬」一対(杉並区有形文化財)が公開されるでお祭りで賑わう中、見に行きました。
回廊に展示された約9m×巾90㎝の勝海舟直筆の大幟は、宮司小俣秀雄氏の祖父金重氏が、長男の誕生祝に作った幟に海舟が「みごぼうき」を筆代わりに書き上げたもので、この墨をするのに3人で2日掛かったそうです。
宝永7年銘の石造「狛犬」は、思ったより小さくコンパクトなのは御帳台の覆いの重しに使われたからで、素朴だけど漫画チックなユーモラスな顔でした。
■荻窪八幡神社
東京都杉並区上荻4-19-2
〈参考文献〉
-
- 「杉並区探訪」森泰樹著 杉並郷土史会
- 「杉並歴史探訪」森泰樹著
- 荻窪八幡宮HP
- 「すぎなみ ある区マップ 西荻窪・上井草編」杉並区
- Wikipedia「荻窪八幡宮」ほか