特別展「昆虫 MANIAC昆虫展」(国立科学博物館)に行きました。
夏休みの平日に行きましたが、思ったほど混雑はしておらずじっくりと展示物を観察することが出来ました。
昆虫は、地球上で報告されている生物種の半数以上となる約100万種を占め、体の作りから行動、能力などその多様性と変化に富んでいます。
その中でも今回は、国立科学博物館の研究者によるマニアックな視点とセレクトされたクモやムカデなどを含むマニアックな昆虫標本、最新の昆虫研究を交えた展示をしていています。
「ムシ」が嫌いではない私が覗いたマニアックな世界とは…
見た目が、マニアック
今回の展示は、普段見たことも聞いたこともない昆虫がたくさん展示されていてその昆虫自体が「マニアック」だというものを紹介します。
まずは、見た目がマニアックな昆虫です。
右のカマキリは、「バイオリンカマキリ」という虫で見た目がバイオリンに似ているのも面白いけど「ヨウカイカマキリ科」に分類されています。
「ヨウカイカマキリ科」って、「妖怪」のような見た目だからかと調べると「複眼の間に複眼よりも大きな突起を有する」のがヨウカイカマキリのようで。確かにほかのカマキリと違い真ん中に長い突起物があります。
それにしてもバイオリンカマキリは、マンガチックでまるで作り物みたいです。
パンダそっくりの可愛い虫「パンダアリ」がいました。
実物は、全長1㎝にも満たないとっても小さな虫で、よく見ると体に白と黒の毛並みのコントラストは、「パンダ」そのもの
でもこの虫、パンダでもアリでもない…アリの姿なのだけどれっきとした「ハチ」です。
ハチなのに翅(はね)がないのはメスだけで、見た目が「パンダ」なのもメスだけだそうで見た目の可愛らしさとは裏腹に体長の半分もある鋭い毒針を持っています。
(「奇麗なバラには、棘がある」ならぬ「可愛いアリには毒針がある?!」)
パンダアリは、アリではなくハチであったが、「ヨロイバエの一種」は、甲虫のような鎧を身につけた姿でも正真正銘のハエだといいいます。
ハエなのにどうしてこんな姿になったのか、昆虫の世界は不思議だらけ
う~んマニアック!
ガの「ヤマトニジュウシトリバ」のハネは24枚に分かれていて、6本×4翅=24本で、それが「ニジュウシトリバ」の由来だそうです。
飛んでいるところを見てみたい!
真ん中の「ハナカマキリ」は、幼虫が花に擬態(ランの花によく似た姿)するカマキリで、生きた姿を見たいです。
危険を感じるとダンゴムシのように丸くなる(右側)けどこの虫は、ダンゴムシではありません。
これは、「マンマルコガネの一種」です。
恐ろしく扁平なクモ!!
これは、「ヒトエグモ」で、壁の隙間や柱の割れ目な.どに潜むからか?身体が異常に扁平で、夜間に俳諧して獲物を探すそうです。
クモ続きで
腹部に多数の黒斑を持つ見た目が、テントウムシのような美しいクモは、「ツシマトリノフンダマシ」というというクモで、滅多にない珍種だそうです。
これも見た目がレアな「オオナガトゲグモ」の約110倍の模型(上の写真)と標本(下の写真)です。
大きなトゲを立てている姿が印象的だけど毒は持っていないので、強面な容姿の割に怖くなさそうである。
この大きなトゲは手で触ると刺さると痛そうなほど鋭く、鳥やトカゲが飲み込めないように進化したようです。
最後は、見た目や生態がマニアックなものだけではなく、絶滅が危惧されるこんな虫達も生きた姿を見ることがかなわない「マニアック」な種になってしまうというものです。
石垣島でのみ生息する「イシガキニイニイ」は、ここ何年も見つかっておらずこのまま絶滅危惧種になってしまうようです。
虫の世界でも「日本固有種」が少なくなりつつあるが、南西諸島に分布していた「フチトリゲンゴロウ」も絶滅寸前の状態であることから国内希少野生動植物種に指定され、もうこのような標本でしか見れなくなってしまうのであろう
念入りに見て回ったけど世界に1点しかない「ヤンバルテナガコガネ」の貴重な標本もマニアックなものだろうが、見逃してしまい残念でした。
今回、マニアック過ぎる標本だらけの中でも、特に「世界に1点」しかないものに弱い私なので、やはり見ておきたかったです。
キモイ!マニアック
ムシが嫌いではない私が、見た目や生態が気持ち悪いと思ったマニアックなムシ達がいました。
「チョウ」は、奇麗だけど「ガ」は気持ち悪いですよね
でも、美しいチョウと嫌われ者のガは、本質的な違いはなく同じ「チョウ目」に属し昼間活動する一部の種がチョウと呼ばれているに過ぎないといいます。
(ホモ・サピエンスに見た目で差別され嫌われる不条理をガは受け入れているのだろうか)
リアルにいたら気持ち悪いというか怖いのがこんな大きなムカデです。
体長20㎝以上になる日本最大種のムカデ、リュウジンオオムカデです。
閲覧注意!
予感はしていたが、やはりいたのですね「G」
昔、豊島園に昆虫館があり、そこに生きたゴキブリがたくさんいて(展示でね)それよりは、いいけど
私の記憶遺産【としまえん】。としまえんの「おもいで」で綴りました2
でも、家屋に浸入してくるゴキブリはほんの数種で、ほとんどの種類は人の生活とは無縁の場所で暮らしているそうです。
生態がショッキングで気持ち悪かったのが、「コマユバチ」の寄生です。
コマユバチは、モンシロチョウの幼虫(アオムシ)などに寄生し脱皮をしながら寄主の体を食い破って外に這い出し、小さな繭を作り繭の中で成虫へと羽化するという小さなパラサイトエイリアンです。
寄主アオムシの体内を一気に食い尽くし、体表を破って外に出てくる様子はSF映画にありそうな光景だけどハチの多くは寄生バチの仲間で、知られていないだけでこれだけがマニアックという訳ではないようです。
でも、野菜を食らうアオムシを退治するなら農家にとってはこの寄生ハチも益虫になるのではないかと複雑な気持ちになりました。
(虫の世界も容赦のない世界だけど、これも自然の摂理なのであろう)
オスとメス、ジェンダー?のマニアック
昆虫の中でオスとメスの見た目や大きさの違いがあるもの、オスとメスの特徴が混在しているものが紹介されていました。
オスとメスで異なる模様
「シロオビドクガ」はオス(左上)とメス(左下)で斑紋が異なります。
シロオビドクガのオス(左上)と右のガは、模様が似ていますが、右上のガは全く別のガでシロオビドクガが擬態する「ホタルガ」です。
同じようにシロオビドクガのメス(左下)と右下のガは似ていますが、シロオビドクガのメスが擬態する「ヒトリガ」で、オスとメスで別々の種に擬態した結果で見た目が全く違うのです。
無毒のシロオビドクガが有毒のホタルガやヒトリガに擬態するのは分かるが、何故、オスとメスで擬態の対象が違うのか不思議です。
性的二型
昆虫には、
例えばカブトムシのオスには立派な角があるのに、メスにはないというような種によってオスとメスの間で色、形、サイズなどが大きく異なる種がいることは知っていましたが、これは「性的二型」と呼ばれます。
上の標本は、サイズの大きいオスと小さいメスです。
トリバネアゲハのオス(左上)は金緑色で美しいのですが、メス(中央上)は褐色で地味な色合いとオスとメスで見た目が違います。
ギナンドロモルフ(雌雄型)
昆虫の中に稀にオスとメスの特徴が同居したものが生まれることがあり、これは「ギナンドロモルフ」と呼ばれるものです。
これは「雌雄混在」のチョウで、左右の模様がオスとメスの特徴に半分に分かれています。
この中に雌雄の特徴が混在するギナンドロモルフのカブトムシやクワガタなどがいます。
ムシが嫌いでがない私が「 MANIAC昆虫展」へ行って来ました2へ続く