善福寺川の遊歩道をよくウォ―キングしますが、そのときときどき癒しのスポットに立ち寄ります。
坂の上のけやき公園
関根橋を渡り、川沿いに歩いて行くとその癒しのスポットのシンボルが見えて来ます。
住宅の屋根の上冠が見えるのが、善福寺川右岸にある「坂の上のけやき公園」のケヤキの木(通称「トトロの木」)で、この木のある場所が癒しの場所になります。
川の流れている場所が、周辺で一番低く川沿いはこんな階段や坂道が多く、公園は、そんな坂の上の閑静な住宅街の中にあります。
善福寺川の原橋から南へ坂を登っって行きます。
坂のと途中から見えるケヤキの木
公園の東側、下から見るケヤキの木
善福寺川から行くと公園の裏手の階段を登って行きます。
道路沿いに廻り込んで正面からも行けますが、私はこちらから行くのが趣があり好きです。
階段の途中にアジサイが咲いていました。
階段を登るとケヤキの木の幹が見えてきます。
このケヤキは、一本立ちでなく株立ちの木ですね
環境省の「巨樹・巨木林データベース」によるとこのケヤキは、幹周り約550cm、樹高 約20m、樹齢 約200年の杉並区内でも有数の巨樹です。
ケヤキの木は、200年前というと江戸末期で、明治維新前からこの街の様子を見てきたのですね。
杉並区には「保護樹木」という制度があり、貴重な庭木、サイズの大きい木は「保護樹木」とし、その中でも大きくて特に貴重なものについては「特別保護樹木(貴重木)」と指定して、このケヤキの木も「貴重木」に指定されています。
木を保護するために木の周りに囲いがあり木には近寄れないが、根元には小さいピンクの花が寄り添うようにひっそりと咲いています。
木に黒いバンドが何箇所か巻かれていて、これは、以前、台風で裂けた木をサポートするための巻かれたようです。
その後も樹齢200年もの老木の樹の状態が芳しくないようになるも樹木再生士の方の手により元気に再生されたようです。
屋敷林のように綺麗に枝打ちされているような木ではなく、この木は、幹が分かれて大きく広がっているので包容力を感じさせます。
守られたケヤキの木
このケヤキの木は、地域のランドマーク的な樹で「トトロの樹」世呼ばれ親しまれいますが、2008年には、伐採される危機にありました。
この土地の所有者が土地を売却し、ケヤキを伐採してマンションを建てる計画が持ち上がったのです。
しかし、こんな立派な木を伐ってしまうのはもったいないと近隣住民がケヤキ保存を求める署名運動を始めました。
区内外から8千人を超える署名が集まりそれを区に提出したところ、区が土地を購入し公園として整備することになりケヤキは伐採を免れたのです。
(そのときの署名が入ったタイムカプセルがこの公園に埋めれているそうです)
このときのことを題材にした絵本(『坂の上のケヤキ~キセキの物語~』作天高文 絵みき)があり私も読みましたが、素敵なストーリーになっています。
特に間一髪で、伐採の危機を免れた下りは印象的です。
伐採の危機から2年後に高台にあることから「坂の上のけやき公園」という名称の公園として整備されました。
(夏の暑い日も木陰に入れば、汗が引くようです)
こんな経緯から公園の入口にある『みんなの想い』と題され石碑には
「この見事なけやきは地域の多くの方々の協力により残され、けやきが主役の公園を地域の住民が中心となって育んでいます。地域のシンボルとしてみんなに親しまれているけやきは自然樹形を保ちながら、その姿も守り育てています。(以下)」省略
とあります。
公園自体は、855㎡と大きな公園ではないが、公園のほとんどがケヤキの木が占め、水飲み場とベンチが置かれているだけの遊具もトイレもない公園です。
四季で姿を変え季節の移ろいを感じさせてくれるケヤキの木が大好きな私は、何もなくてもただこの木があるだけで癒され、ときどき公園を訪れます。
公園に来る度に癒されて、こんな素敵な空間を残してくれてた方々への感謝の気持ちで一杯になります。
公園のすぐ向かいにカフェがあり、店の中からケヤキの木が眺められそうなので今度行ってみよう!
〈主な参考文献等〉
- 「すぎなみ ガイドマップ」杉並区役所
- 環境省「巨樹・巨木林データベース」
- 『坂の上のケヤキ~キセキの物語~』作天高文 絵みき
- 史料「史跡見学会 住宅地・杉並はここから 井荻を知る」 杉並郷土史会ほか
■坂の上のけやき公園
所在地 杉並区西荻北4-38-6