カルティエの展覧会
「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展― 美と芸術をめぐる対話」(東京国立博物館)へ行きました。
「カルティエ」が日本で初めて原宿のパレ・フランスにオープンしてから50年の節目を記念した展覧会で、パレ・フランスって?聞いたことあるようなないような…
カルティエが入るくらいのところだから、当時はしりのオープンカフェのあるようお洒落なファッションビルで原宿のランドマークだったそうです。
ハイブランドの旗艦店、特に路面店は、外観もデザイン的に凝ったお店が多く中に入らなくても外から眺めているだけで楽しいです。
そんなカルティエに関する展覧会が東京国立博物館の表慶館で行われ、左右対称の表慶館の入りが内から右側は、カルティエと日本に関するものやカルティエのジュエリーを展示
表慶館の左側は、「カルティエ現代美術財団」の財団とゆかりのあるアーティストによる作品を展示しています。
日本を意識した
展示の仕方や会場がカルティエの世界観にとてもよく合っていて、最初の展示物からすぐに非現実世界に引き込まれました。
ミステリークロックは、時を示す針が宙に浮いたように見え、一見どうやって時を刻むのか分からない不思議な時計で、これは神社の鳥居をかたどったタイプのミステリークロックです。
ミステリークロックは、ほかにも何点かありました。
リンゴの木というより、梅の木かと思いました。
動植物は20世紀頃からカルティエに欠かせないもので、梅や桜、藤の花、リンゴの木は、ブランドのモチーフとして使われることが多いそうです。
カルティエスタイルには日本文化からの着想のあるものも多くあります。
これは、日本人に馴染み深い染物の型紙などに見られる抽象的で幾何学的な文様で、こうした和のモチーフが洗練されたジュエリーになるのですね
創業者ルイ・カルティエは美術愛好家であり、日本を訪れることは叶わずとも日本のオブジェや書物を収集したといいます。
今回、手鏡の形からヒントを得た置き時計や、神社の建築を想起させるミステリークロック、印籠をからインスピレーションを受けたヴァニティケース、古い版画に描かれたトンボをモチーフとするダイヤモンドの羽を持つブローチなど多くの「日本」のものから着想源とするものがあり、これらは日本へのオマージュに加えてルイ・カルティエの精神を受け継いだものであると思いました。
カルティエの宝飾品
フランスのカルティエは、世界5大ジュエラーに数えられるハイブランドで、1853年、ルイ・フランソワ・カルティエがパリでジュエリーのメゾンを開いたことが始まりで開業当初から各国の王家御用達のブランドということです。
そのほとんどは雑誌などで目にすることはあっても庶民にはお店に入ることも憚られて実物を拝見することなどありません。
そんな目の保養になる贅沢を極めた宝飾品を紹介します。
プレシャスボックス、ブレスレット、ブローチが1つになったもので、蓋の一番大きな花は、外してブローチとして着用出来ます。
ブラックエナメルにオニキスとダイヤモンドの眩いばかりの宝飾品
パンテールはフランス語で「ヒョウ」を表し、ヒョウはカルティエを象徴する動物でカルティエのCMでもお馴染みです。
「パンテールブローチ」は、ウィンザー公爵がイギリス王室の歴史を変えたといわれる妻ウォリス・シンプソンに贈った伝説のブローチです。
表慶館は、大正天皇のご成婚を記念して開館した明治末期の洋風建築を代表する建物で、設計は、迎賓館なども手掛けた宮廷建築家の片山東熊です。
表慶館という伝統的な建築も重要文化財なので、鑑賞の対象として見るのもいいです。
宝飾品以外にもデッサンなどもあるので、そちらもとても興味深いです。
1968年にメキシコの大女優マリア・フェリックスがカルティエに特注した「スネーク ネックレス」
長さ57㎝に2473個のダイヤモンドをセットし、制作するのに数千時間に及ぶ長い制作時間と熟練の技術が求められる見た目もヘビーなヘビのジュエリーです。
マリア・フェリックスという女優さん、調べたらこのジュエリーに負けない圧倒的な存在感を放つ方でした。
カルティエの手に掛かれは、「釘」だってこんな素敵なリングになるんだ
値段は考えずにダイヤで埋め尽くされ宝飾品の繊細な細工、研ぎ澄まされたフォルム、さりげなさの中にある可愛らしさ、スタイリッシュな造形と美のエッセンスが詰め込まれた作品に酔いしれてしまいました。
最新モードのものではないけれどカルティエの歴史や変遷も分かり楽しめました。
さすがカルティエです。
常設展に匹敵する上質な素材を用いた空間構成で、「商品」の展示会とは一線を画す芸術作品として価値を高める演出をしていました。
日本人アーティストの作品
カルティエは「カルティエ現代美術財団」を通じ、数多くの日本人アーティスト達の作品を海外に紹介したり関係を築いきました。
会場左側の第二部では、絵画、写真、建築、デザイン、映像といったジャンルを超えた財団とゆかりのあるアーティストによる作品を紹介
誰もが知る著名人の作品もあり宝飾品に興味がなくても楽しめます。
表慶館の中心では、今展のために澁谷翔が自ら47都道府県を訪れて毎日、地方日刊紙の1面に現地の空を描いた作品「日本五十空景」50点を展示
歌川広重の「東海道五十三次之内」に倣ったそうで、どこがどこの空か分からないけど作品の右上に「西日本新聞」とか「東京新聞」とか新聞から切り抜いたタイトルが貼ってあり、場所の地図や写真の説明板も脇にあって照らし合わせて見ると面白いです。
1から9までの数字を表示する回転灯で構成される宮島達男のインスタレーション
香取慎吾やビートたけしの作品があり、芸能人で絵の才能がある方が多く、感受性、表現力が豊かなのでしょう
それぞれ「らしさ」が滲み出ていました。
澁谷翔、松井えり菜、村上隆、横尾忠則の絵画、荒木経惟、川内倫子、森山大道の写真、束芋、宮島達男によるインスタレーション、北野武、杉本博司、中川幸夫や三宅一生まで、様々な分野のアーティストの作品が展示されています。
個人的には、カルティエ財団と関係の深い写真家の川内倫子のスライドショーの何気ない日常に生と死を盛り込んだ写真がよくて、本当によいものを作る人は、地に足を付けて技術を磨いているのだと思いました。
しぼり菜リズム
「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展― 美と芸術をめぐる対話」(東京国立博物館)へ行きました。
左右対称の表慶館の入りが内から右側は、カルティエと日本に関するものやカルティエのジュエリーの展示で多くの「日本」のものから着想源とするものがあり、これらは日本へのオマージュに加えてルイ・カルティエの精神を受け継いだものであると思いました。
左側は、「カルティエ現代美術財団」の財団とゆかりのあるアーティストによる作品を展示し誰もが知る著名人の作品もあり宝飾品に興味がなくても楽しめます。
カルティエのジュエリーは、繊細な細工、研ぎ澄まされたフォルム、さりげなさの中にある可愛らしさ、スタイリッシュな造形と美のエッセンスが詰め込まれた作品に酔いしれてしまいました。
最新モードのものではないけれどカルティエの歴史や変遷も分かり楽しめました。
■カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展― 美と芸術をめぐる対話
-
- 会場 東京国立博物館
- 会 期 2024年6月12日(水)~7月28日(日)