どれも30年以上前の話です。
当時、山登りが趣味で日本各地の山に行き、そこで起きたこと、ちょっとしたトラブルを思い出しながらまとめてみました。
2位 平ヶ岳ダートな道でパンク
登山口までのアクセスが悪く、山頂までのアプローチが長くて有名な新潟県と群馬県境にある平ヶ岳(2,140m)に20代の頃に行ったときの話です。
自然保護の観点から山小屋や避難小屋がなく、幕営も原則禁止のため往復12時間を日帰りで登山しなくてはならないという難易度が高い山ですが、実は、一般的な山の地図に載っていない最短ルートで登れる「プリンスルート」というのががあります。
「プリンスルート」という名前の由来通り、天皇が皇太子時代に平ヶ岳に登山するために廃道を整備したルートで一般ルートの半分程度の時間で往復することが出来るので、私達二人もそのルートでトライしました。
国土地理院発行の「2万5000分の1地形図」を見ながら銀山平から中ノ岐登山口まで、舗装されている個所はほとんどないデコボコ道を車で走りました。
運転は、高速道路か田舎の真っすぐな道しか運転しない(出来ない)私と免許取って1年未満のI子さんで交代でしました。
(車は、4輪駆動だったけどタイヤは、ノーマルだったような)
中ノ岐沢沿いの落石多い林道は、I子さんが運転し、中ノ岐林道をときどきハンドルを取られながら運登山口まで約40分を運転しそろそろ登山口に着くかというとき、道にあった落石にタイヤを乗り上げてパンクしてしまいました。
登山するときはスペアのタイヤとジャッキを必ず積んでいるので、車に替えのタイヤがあったものの二人とも実際に交換したことがなかったで、車を停めて降り、パンクしたタイヤを眺めどうしようか悩んでいました。
当時は、携帯電話もないのでJAFも呼ぶことが出来ません。
平日の車1台通らないマイナールートでの遭難ゆえ、助けを求める人もおらず、私が車で来た道を戻り銀山平まで歩いて行くことにしました。
歩けば、3時間はゆうに掛かるなあなどととぼとぼと歩き始めるとすぐに1台に車がこちらに向かって来るのが見えました。
一瞬、蜃気楼かと思いましたが、その車は、地元の電力会社の車で電力会社の男性社員二人が乗っていて、蜃気楼などではなかったです。
電気系統の修理か点検で、平ヶ岳に登るということでした。
私から車を止めて助けを求めたかどうか覚えていませんが、若い女性が一人で林道を歩いていたので向こうから声を掛けてくれたかもしれません。
電力会社のお二人がテキパキと馴れた手つきでタイヤを交換してくれて無事に車を動かすことが出来ました。
登山は、無理だと完全に諦めていたけれど山頂まで行くことも出来ました。
この日、山で人に会ったのがこの二人だけで、もし、彼らがここを通らなければどうなっていたか
(泣きながら里まで、熊の恐怖に怯えながら一人歩いていたと思います)
10月だったので、池塘や草紅葉が素晴らしく、別天地のよう
静寂の中、この世に極楽浄土ってあるのだというほどで、奥只見湖や周りの山々も真っ赤に燃えこれを独り占め(いや二人)するのは申し訳なく思いました。
トラブルあってもいい景色