相田みつを
相田みつををいえば
「にんげんだもの、、、みつを」
銀座にある頃、相田みつを美術館に一度行ったことがあり、インパクト大のこの言葉が忘れられません。
ただ、この後行った映画『マスク』の方が印象に残ってこれ以外は、あまり記憶がないのです。
「にんげんだもの」は、若い頃は、言い訳のように、自分に都合のいい解釈に使っていてちょっとした逃げ道になっていました。
(それは、それで救いになることもありいいのだけど)
あまりにも有名な言葉なので、それで、頭の中に残っていただけかもしれません。
あれから年齢を重ねて、この言葉だけでない相田みつをの言葉にじっくりと触れたいと思い「相田みつを美術館」に行きました。
相田みつを美術館
相田みつを美術館は、銀座から東京駅近くに移転していました。
東京国際フォーラム内の地下にある美術館は、東京駅や有楽町駅から地下直結で来れるようなアクセスのいい場所なので地方から東京に来た方も寄りやすいです。
美術館は、詩人で書家の相田みつをの作品を所蔵し美術館作品や映像展示の他、アトリエの再現もあります。
開館すぐに入館したので、観客も少なく静寂に包まれた空間で作品を堪能出来ました。
相田みつを
日本人で、知らない人はいるのでしょうか
独特の書と人生を深く洞察した詩や文で知られていますが、今回初めて知ったのが、もともとは達筆だったことです。
若い頃は、書道のお手本にような字を書いており、その頃の作品も展示されていました。
ただ、端正な書では心に響く言葉は伝えられないと味のある独自の書体で書くようになり、これが功を奏し仏教の教えに根差した含蓄ある数々の言葉を嫌味なく多くの人に届けることになったのです。
(書道の基本を極めた上でのあの「ヘタウマ」だったのですね)
そんなことを踏まえて作品を見ると墨の濃淡や文字の配置や大きさや余白で、その詩で何を一番に伝えたいのかかが感じられようになります。
文字を解放し躍らせた分、言葉に命が宿り語り掛けてくるように見えるのも不思議です。
(字そのものが、アートになっていますものね)
来館したときは、観覧者が少なかったので、ときどき小さく声に出して読みながら見ると漢字が少なく口語体の詩が心にすーと入ってきます。
作品の横に館長である息子さんの解説や解釈が書いてあり一つ一つの作品の意味がとても分かりやすく、心に沁みる作品はもちろんのこと、クスッと笑える作品もあるので老若男女問わず誰でも気軽に楽しむことが出来ます。
幸せは、いつも、自分の心が決める
今回、相田みつを美術館に行って一番、心を突いた言葉が
「しあわせは いつも じぶんのこころがきめる (幸せは、いつも、自分の心が決める)」です。
相田みつをの詩は、折に触れ見たり聞いたりする機会がありますが、その度に刺さる言葉が変わります。
自分の環境や心の変化や成長で、受け取り方や解釈も違ってきます。
60歳を過ぎて、大病をして「死」を意識したり、当たり前にやっていたことが当たり前ではないという経験をしてから「幸せ」のハードルが低くなりました。
歩けること、ご飯が食べられること、眠れること、どこも痛くないこと…
今は、これだけで、十二分に素晴らしい
悩みがあっても、悩むことが出来ること自体、生きている証と幸せなのです。
『夜と霧』のフランクルは「人生はどんな状況でも意味がある」と説いていて、とにかく生きているだけで儲けものです。
病気をする前と後とで、「幸せ」の感じ方が違うようになり、相田みつをの「幸せは、いつも、自分の心が決める」という言葉のように自分の心次第でいくらでも幸せを引き寄せることが出来るのだと改めて心に留めました。
(詩の解釈は、人によって様々だと思いますが)
「幸せは、自分の心が決める」なんて、凡庸で当たり前のことを書いているのだけどやはり、それがいいです。
年齢を重ねると変わるものですね
以前の私は、この言葉を銀座で見ていても「心」に落とし込むことなく上辺だけなぞって、通り過ぎていました。
相田みつを美術館は、たくさんの素敵な言葉に出会える場所です。
言葉と対面して自分とも向き合える場所でもあります。
ここに来れば、一縷の救いが見つかったり、座右の銘になる言葉にも出会えるかもしれません。
そんな、場所です。
館内の作品数が多いので、1時間ではじっくりは回れず、また機会があったら来館して、相田みつをワールドに浸りたいと思いましたが
ガ~ン!
サイトで確認すると東京国際フォーラムの長期大規模修繕工事に伴い2024年1月28日で美術館は、閉館したということでした。
これからどうなるか未定の旨が書かれていたけれど人気のある美術館なので、再開の可能性は高い思います。
(私の願いも込めて)
しぼり菜リズム(まとめ)
「にんげんだもの、、、みつを」で有名な「東京国際フォーラム内の相田みつを美術館」に行きました。
美術館は、詩人で書家の相田みつをの作品を所蔵し美術館作品や映像展示の他、アトリエの再現もあります。
独特の書と人生を深く洞察した詩や文で知られていますが、もともとは達筆で書道を極めた上であの独特な字体になり、含蓄ある数々の言葉を嫌味なく多くの人に届けることになりました。
そんなことを踏まえて作品を見ると墨の濃淡や文字の配置や大きさや余白で、その詩で何を一番に伝えたいのかかが感じられようになります。
作品の横に館長である息子さんの解説や解釈が書いてあり一つ一つの作品の意味がとても分かりやすく、心に沁みる作品はもちろんのこと、クスッと笑える作品もあるので老若男女問わず誰でも気軽に楽しむことが出来ます。
「しあわせは いつも じぶんのこころがきめる (幸せは、いつも、自分の心が決める)」が今回印象に残りました。
60歳を過ぎて、大病をしたことで、病気をする前と後とで、「幸せ」の感じ方が違うようになり、「幸せは、いつも、自分の心が決める」という言葉のように自分の心次第でいくらでも幸せを引き寄せることが出来るのだということを改めて心に留めました。
相田みつを美術館は、たくさんの素敵な言葉に出会える場所ですが、残念ながら1月で閉館しました。
でも、再開の可能性もあるので、これを願っています。