(弟ディエゴをモデルとする肖像群の中の1点「ディエゴの胸像」アルベルト・ジャコメッティ 1955年)
「マリー・ローランサン ―時代をうつす眼」と同時開催の「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 野見山暁治」(アーテイゾン美術館)の続きです。
石橋財団コレクション選
こちらは、石橋財団がコレクションする作品の展示です。
石橋財団は、19世紀後半の印象派から20世紀の西洋近代絵画、明治以降の日本の近代絵画、第二次世界大戦後の抽象絵画、日本および東洋の近世・近代美術、ギリシア・ローマの美術など現在約3,000点の作品を収蔵しています。
このコレクションの中から選りすぐりの作品が展示
国立西洋美術館の絵画のコレクション(常設展)もボリューム満点だけどアーテイゾン美術館も負けていないくらい素晴らしいです。
これなら、手を変え品を変え通年で、石橋コレクション展が出来るのではないかと思うくらいです。
これは、何度も見た絵ですが、同じ絵でも展示の仕方で印象が変わります。
棟方志功が初期に描いた「八甲田山麓図」が、どこかこの絵に似ていてセザンヌの影響もあったのかと思いました。
「世界のムナカタ」になるまで。「生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」
ゴッホは、故郷オランダを思い起こさせるモンマルトルの風車を様々な角度から繰り返し描いています。
晩年の「ひまわり」のような華やかな色合いではないものの、かつてのオランダ時代のゴッホ作品には見られない明るい色彩で描かれています。
美術品の収集家としても知られる20世紀を代表するピアニストのウラジーミル・ホロヴィッツが所蔵し、自宅の居間を飾っていたことのある絵だそうです。
季節や時間とともに変わりゆく光と色彩の変化を生涯にわたって追求した「光」の画家クロードモネの絵です。
『テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ』(国立新美術館)でも見た黄昏の光の描き方が巧みです。
4歳の長女ジョルジェットを描いているからか、モデルの自然体の様子が生き生きと表現されています。
何度か見ていますが、改めて近くで見ると、影が青く描かれているのが分かり新たな発見が嬉しいです。
「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」(アーテイゾン美術館)で見て、独特の色彩感覚が印象に残ったものです。
同展以来の草間彌生やミロの絵とも再会
アーテイゾン美術館は、カンディンスキーなど現代抽象画の作品も多く所蔵しています。
これは、「マティス展」で見ましたが、アーテイゾン美術館の所蔵だったのですね
ランダムに置かれた果物や中央に石膏像を配した構図は、セザンヌの絵画を彷彿とさせセザンヌの影響を受けていると思われます。
三次元的なモティーフと、平面的な装飾モティーフをいかに画面の中でまとめるかという実験のような絵です。
子どもが描いたようなミロの絵は、「ミロ様式」とも呼ばれ、後の抽象芸術や現代美術に大きな影響を与えたそうです。
単純化された世界観と技法は、独自の表現方法なのだけど
太陽は、何となく分かるが…記号みたいなのは何なのかな?
以前にも戦後日本の抽象絵画として紹介されていました。
草間彌生は、渡米後前衛的な絵画を描くようになっていき、網の目のように見えるので、ネッ
ト・ペインティングと呼ばれています。
後のドットやかぼちゃに繋がる絵ですね。
モデルは、随筆家として知られた福島慶子で、クライアントの彼女は故意に、描きにくそうな細かい縞模様の「安井殺しの服」を身に漬けて安井の技量を試そうとしました。
安井もその挑戦にかえって大きな意欲をかき立てられたという
そんなエピソードを知れば絵に対して親近感が湧きます。
洋画が多いコレクションですが、屏風や掛け軸もあり専用の展示室に展示されていました。
「ブレハの少女」は、『 憧憬 ( しょうけい ) の地 ブルターニュ』(国立西洋美術館)でお会いしました。
画家達が愛したブルターニュ地方 二つの展覧会で、「ブルターニュ」の魅力を探る
ブルターニュの海岸に浮かぶブレハ島で描いた少女で、少女の鋭い眼光、乱れた髪など他の黒田作品とは異なる雰囲気の絵です。
青木繁
旧ブリヂストンの創始者である石橋正二郎が美術館創設を目指し始めた大きなきっかけが同郷の画家青木繁です。
恩師である洋画家の坂本繁二郎の「青木の作品が散逸しないよう美術館を建てて欲しい」という願いを聞きそれを実現したもので、ここから洋画の本格的な蒐集を進め、後には外国作品にも対象を広げて半世紀に渡って蒐集した石橋コレクションです。
日本で初めて国の重要文化財に指定された西洋画がこの「海の幸」です。
「わだつみのいろこの宮」は、「東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密」(国立東京近代美術館)に出展されていました。
この展覧会が開催された国立東京近代美術館は、石橋正二郎が、私財を投じて国に寄贈したという因縁があります。
石橋正二郎
名作揃いの質の高い作収蔵品だけで、立派な企画展が出来てしまう質、量が充実しています。
ルノアール、モネ、ピカソ、青木繁…何度見ても新鮮です。
これら全ての作品はこちらの美術館で購入してるそうで、石橋財団の資金力に驚きます。
今回のような収蔵作品の素晴らしい展示を見れるのは、石橋正二郎の個人的な独占欲を満足させるだけのものではなく、芸術を愛でる喜びを多くの人と共有したいと蒐集の当初からコレクションを一般公開することを念頭においていたからです。
近代的な日本人コレクターの松方幸次郎や大原孫三郎・総一郎父子のように日本の美術館の創生期を担った石橋正二郎
今、私達が豊かな美術館文化を享受出来るのも彼らの情熱に負っているからです。
モネ、ルノワール、ゴッホ。「実業家」の気骨があったから、今、【西洋美術】を堪能出来る
しぼり菜リズム(まとめ)
「マリー・ローランサン ―時代をうつす眼」と同時開催の「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 野見山暁治」(アーテイゾン美術館)に行きました。
石橋財団所蔵の「風の便り」のように風景を見たまま描くのではなく、そこから湧いたイメージで描くような作品が多く独自の画風を確立しています。
奔放な力強いストローク、色と形が溶け合うような抽象的な描き方で抽象画は、苦手だけど彼の作る色彩や構図には惹かれるものがあり見入ってしまいます。
石橋財団がコレクションするの中から選りすぐりの作品を展示する石橋財団コレクション選
セザンヌ、ゴッホ、ピカソ、モネ、ルノワール、マティス 、アンドレ・ドラン、草間彌生やミロ、ジャコメッティ、青木繁、尾形光琳…と古今東西、時代を超えたバラエティーにとんだ名作揃いで作収蔵品だけで、立派な企画展が出来るほどです。
今回のような収蔵作品の素晴らしい展示を見れるのは、創始者の石橋正二郎の個人的な独占欲を満足させるだけのものではなく、芸術を多くの人と共有したいと蒐集の当初からコレクションを一般公開することを念頭においていたからです。
■石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 野見山暁治
- 会場 アーテイゾン美術館
- 会期 2023年12月9日(土) ~ 2024年3月3日(日)
その1・その2