パステルカラーの「マリー・ローランサン」は、意外にもキュビズムの画家であった

マリー・ローランサン

マリー・ローランサン

「マリー・ローランサン ―時代をうつす眼」(アーティゾン美術館)に行きました。

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マリー・ローランサン(1883~1956)は、20世紀前半に活躍した画家です。

マリー・ローランサンといえば、パステルカラー調で柔らかな作風から、日本でも人気のある前衛芸術家の一人です。

どこか、いわさきちひろの絵と似ているなあと感じていましたが、いわさきちひろの画家としての原点が彼女だと知りなるほどと思いました。

「キュビズム展 美の革命」(国立西洋美術館)では、ローランサンは集合アトリエ「洗濯船」で出会った仲間達の集合肖像画を描いていて、キュビズムと彼女の繋がりを初めて知りました。

icon-arrow-right キュビズム「現実にはあり得ない」表現方法が革命的だった?。「キュビズム展」に行って

初期には、ピカソが住んでいた「洗濯船」に出入りするようになったローランサンは、キュビスムの画家として活動している時期がありました。

若きピカソやブラックと交流を深め、影響を受けた初期の作品の一つが↓

「若い女たち」

「若い女たち」1910–11年

ピカソやブラック、ジャン・メッツァンジェなどキュビスム画家の作品は、こんな感じだけど↓

ピカソやブラック

「若い女たち」は、ローランサン風のキュビスムで

背景の風景は、キュビスムなのだけど女性や犬は、流れるような曲線で描きピカソやブラックのように全てを解体している訳ではありません。

それによって、女性らしさを表現してその先の彼女の方向性が見えるような作品です。

案の定、パステル調のカラーや曲線的で女性的な芸術の追求をしていくうちにキュビスムの作風に合わなくなりグループから脱退しました。

作風・色の変化

ローランサンは、パステルカラーの似たような絵ばかり描いているイメージがありましたがこの展覧会で、イメージを覆す絵も描いていることが分かりました。

この3点は、ローランサン自身を描いた自画像です。

「自画像」 1904年

「自画像」 1904年

「田舎での集まり」

「田舎での集まり」 1908年

「帽子をかぶった自画像」

「帽子をかぶった自画像」1927年頃

どれも同一人物には見えませんよね

上から年代順に変化が如実で

1904年に描いたものと比べると1909年の急に簡素化した自画像は、ピカソやブラックと出会った時期でキュビズムの影響を受けていると思われます。

(首が長くて、モジリアーニっぽいですね)

「帽子をかぶった自画像」になると、パステルカラーを使ったローランサン独自の見慣れた作風になります。

キュビスムの作風から脱した後、戦後、離婚してひとりパリに戻ってからローランサンの画風は大きく変わります。

それまで彼女の絵に漂っていた憂いが消え、華やかで官能的な夢の世界の少女を描くようになりました。

彼女の人生や人との出会い、戦争、世界恐慌といった時代背景も加味して描き方にも変化が出てきたのが分かります。

特に色彩の変化が見て取れ

「女と犬」

「女と犬」1923年頃

キュビズム後は、ピンクやグレーに青を入れるという色味が増してきます。

「マンドリンのレッスン」

「マンドリンのレッスン」1923年

第一次世界大戦後の1920年代のパリの平和のひとときと同調するように淡いパステルカラー調に

世界恐慌や再び戦争への不安がしのび寄る1930年代には、赤や緑も加わった鮮やかで強い色調が見られます。

「手鏡を持つ女」

「手鏡を持つ女」1937年頃

このように色彩豊かなものもあり

「五人の奏者」

「五人の奏者」1935年

色調の違うグレーを使い分けながら、ピンク、青、緑、黄色、赤がバランスよく配される絵も描くようになり

ローランサンの画業をたどることでグレーを基調としたものから、徐々に絵が明るくなってい色彩が変化していく歴史を見ることが出来ました。

幅広い表現

ローランサンは、絵画制作とともに本の挿絵や舞台衣装と舞台装置のデザインし同時代の画家や彫刻家ばかりでなく、文筆家や詩人とも交流し自ら詩も発表しています。

それにしても同時代、各方面のビックネーム達との人脈作りの上手さと彼から吸収したものを芸術の糧にしていったのは見事で、彼らの影響も絵に投影され面白いです。

「椿姫 

「椿姫 第9図」1936年

80冊以上の本に挿絵を提供し「挿絵画家」としても活躍

長編小説「椿姫」の挿絵のために描かれた12点の水彩原画です。

挿画本「小動物物語集」

挿画本「小動物物語集」1926年

日本人好みの少女趣味の絵ですね。

(ちなみにマリーローランサンは、日本で一番人気があるそうです)

マリー・ローランサン

アンドレ・グルー(デザイン)、マリー・ローランサン(絵付)、アドルフ・シャノー(制作)「椅子(2脚)」1929年

背もたれ部分を描いた椅子

「花束」1939年

「花束」1939年

肖像画で人気を得て上流階級の婦人を得意としていたローランサンですが、静物画(花の絵)も描いていたのですね。

女性が芸術の第一線で活躍するのがまだ大変な20世紀前半

パステルカラーの独自の画風を生み出し、様式を模倣することなくブレない世界観を貫き絵画だけに留まらない幅広い活動を行った功績は大きいです。

しぼり菜リズム(まとめ)

マリー・ローランサン ―時代をうつす眼

マリー・ローランサンは、20世紀前半に活躍しパステルカラー調で柔らかな作風から、日本でも人気のある芸術家です。

初期には、ピカソやバラックに影響を受け、キュビスムの画家として活動するキュビスムテイストを入れながら女性や犬を流れるような曲線で描き独自の路線を切り開くようになります。

戦後、離婚しパリに戻ると絵に漂っていた憂いが消え、華やかで官能的な夢の世界の少女を描くようになり彼女の人生や人との出会い、戦争、世界恐慌といった時代背景も加味して描き方にも変化が出てきたのが分かります。

特に色彩の変化は、キュビズム後は、ピンクやグレーに青を入れるという色味が増し、第一次世界大戦後の平和のひとときと同調するように淡いパステルカラー調に

世界恐慌や再び戦争への不安がしのび寄る時代には、赤や緑も加わった鮮やかで強い色調が見られ色調の違うグレーを使い分けながら、ピンク、青、緑、黄色、赤がバランスよく配される絵も描くようになります。

ローランサンは、絵画制作とともに本の挿絵や舞台衣装と舞台装置のデザインし同時代の画家や彫刻家ばかりでなく、文筆家や詩人とも交流し自ら詩も発表しています。

女性が芸術の第一線で活躍するのがまだ大変な20世紀前半、パステルカラーの独自の画風を生み出し、様式を模倣することなくブレない世界観を貫き絵画だけに留まらない幅広い活動を行った功績は大きいです。

■マリー・ローランサン ―時代をうつす眼

  • 場所 アーティゾン美術館
  • 会期 2023年12月9日(土) -~2024年3月3日(日)
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ABOUTこの記事をかいた人

2017年現在57才 50代になって体に色々な変化が起きました。 アレルギー、腰痛、変形性膝関節症、脂漏性皮膚炎、手湿疹、眼精疲労、胃腸の不快感、開帳足等々一気に吹き出しました。 このほかに病気以前、未病のものもあるので 自分の体を見つめ直した生活を考えています。 健康、医療、病気、楽しいことも含めた日常生活を綴っていきたいと思います。 認定医療コーディネーター、ホームヘルパー びわの葉療法インストラクターの資格保有