「開館20周年記念展 コスチュームジュエリー美の変革者たち シャネル、スキャパレッリ、ディオール 小瀧千佐子コレクションより」 美の変革者たち(パナソニック汐留美術館)に行きました。
コスチュームジュエリー
まず、「コスチュームジュエリー」って何かと調べると
「本物の貴金属や宝石は使用せずデザイン性にこだわったイミテーションの装飾品のこと」とありました。
ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドの貴石や半貴石、金やプラチナを使用するファインジュエリーの代わりにメッキ加工を施した合金を使用したり、宝石の代わりにガラスや樹脂が使用されたりしたものです。
コスチュームジュエリーは、本物の貴金属使わない代わりにガラス、ビーズ、樹脂、羽のような様々な素材を使用出来るので、素材の既成概念から解放されたデザイン性や衣服との組合せによる魅力を発揮することが出来ます。
コスチュームジュエリーは、パリのモード界では不可欠の要素となり、やがてアメリカへも伝わりました。
今回は、コスチュームジュエリーのコレクターであり研究者の小瀧千佐子さん監修のもと、小瀧さんが約40年をかけて集めたコレクションを中心にオートクチュールのためのコスチュームジュエリーなど約400点の作品が展示されています。
小瀧千佐子さんのお名前は、初めてお聞きしましたが写真を拝見するとどれも素敵にジュエリーを纏っていて、こんな風にさりげなくかつ印象的にジュエリーを身に着けるのかとこれは、お手本にしたくなりました。
シャネルとスキャパレッリ
コスチュームジュエリーも洋服と同じように、オートクチュールドレスのために作られた一点物、プレタポルテ用に限定された数だけ作られたもの、そして大量生産された広く一般向けのアクセサリーがあります。
装飾的なイメージがあるため日常使い出来ないのかと思っていましたが、一般向けのアクセサリーだたったら使えそうですね。
歴史的には、20世紀初めに女性ファッションをコルセットの拘束から解き放ったポール・ポワレが始まりとなり、「シャネル」によって広く普及
コスチュームジュエリーの存在を世に広めた第一人者が、ココ・シャネルということで特に私は、シャネルのジュエリーが好きなので、シャネル作品の前では、思わず目がハートになりました。
メゾン・グリポワ制作によるシャネルのジュエリーは、ロゴが入っていなくてもメタルなお花はシャネル
何度もリバイバルする1950年代の「カメリア」モチーフのブローチの本質は変わらない。
ロベール・ゴッサンスのネックレスも金細工の装飾が、やはりシャネル
ネックレスのチェーンの編み方もシャネル仕様で、現在まで、シャネルの精神が連綿と続くようです。
シャネルのジュエリーは、独身時代に少しづつ揃えたけど、中には壊れてしまったものがあるけど、もう、30年以上使っていて
18Kとか宝石とか使っていないけれど錆びることなく使えているので、やはりシャネルの技術と素材は確かなのかと思いました。
シャネルが強く意識したのがライバルであるエルザ・スキャパレッリです。
ここで、初めて名前を聞いたデザイナーですが、結構、有名だったのですね
ピンクゴールドの葉っぱが幾重にも重なったこの三連のネックレス「ネックレス「葉」」と葉をモチーフにしたクリップが印象に残り、ジュエリーにアートを持ち込んだのも彼女ならではものです。
実際に身に着けると葉のひとつひとつが立ち上がるそうで、想像するのも楽しいです。
調べるとスキャパレッリは、ショッキング・ピンクとを発明し、服も前衛的だったりしてファッションとアートを融合させたスタイルで一世を風靡させたようです。
1930年代、シャネルやスキャパレッリのように富や地位の象徴ではなく、トータルで美しい装いのひとつとしてジュエリーが活躍したのが分かります。
シャネルやスキャパレッリがディオール、バレンシアガ、ジバンシィのハイブランドのジュエリーからは、現代まで受け継がれるブランドとしてのポリシーやテーマを感じられます。
躍進したヨーロッパのコスチュームジュエリー
老舗メゾン実践によってコスチュームジュエリーはどんどん多種多様に進化し、次第に量産していきます。
これを担ったのが、工房で、一流ブランドからの依頼を受けジュエリー工房の熟練した技術によって制作された作品は、ヨーロッパの伝統的美意識を感じます。
ミラノのコスチュームジュエリー、コッポラ・エ・トッポ 「チョーカー「花火」」 は、クリスタルガラス、ガラスビーズを使い軽やかで遊び心があります。
50年以上前の作品も多くどれもフレッシュな輝きを失っていないは、正に「本物」のジュエリーといえるでしょう。
これらのものは、身に着けることが出来るアート作品ばかりですが、やはり実際に身に着けたところを見てみたいものです。
アメリカのコスチュームジュエリー
先駆者のポール・ポワレの「夜会用マスク・ブレスレット「深海」」なんかは、どちらかというと実用的というより鑑賞するジュエリーでしたが、時代を追っていくと実用的なジュエリーが出てきた印象があります。
特に、第二次世界大戦後にはアメリカでの需要が増し数多く制作され多くの人々が手に取るようになります。
宝石や貴金属ではないガラスや模造真珠といった素材では、歴史あるヨーロッパで「ただの代用品」でしたが、歴史の浅いアメリカでは先入観や固定概念がないために素直に受け入れられさらに素材も表現も自由なものでした。
デザインはかなり大胆で、デザイナーの個性が現れる楽しい物が多く、ビーズのネックレスからブロンズ、フェルトや木、プラスチック製と素材も多様化して見ていて面白かったです。
コスチュームジュエリーの女王ミリアム・ハスケルの花や植物をモチーフにしたものが本物の宝石を模倣したジュエリーとは違うスタンスで印象に残りました。
コスチュームジュエリーは、ハリウッド女優などセレブ達・今でいうインフルエンサーが身に着けることによりさらに普及し一般の人達も気軽に身に着けるようになりました。
ジャクリーン・ケネディ・オナシスやダイアナ元英皇太子妃が顧客だったケネス・ジェイ・レーンの作品
赤と緑のカボションガラスにラインストーン埋め込んだケネディ大統領夫人ジャクリーヌのネックレスです。
彼女のエレガントな着こなしには、ちょっと華やかな印象ですが、服がシンプルな分小物やアクセサリーでアレンジをするジャッキースタイルなので、TPOに合わせて上手く身に着けていたのでしょう。
今では、コスチュームジュエリーは、ハンドメイドから大量生産されたものまであり社会進出してきた女性達はもちろん老若男女問わずが気軽に楽しむものとなりました。
それにしても同展のヴィンテージ作品は、宝石や金のように価値ある素材はいっさい使われていないにも関わらず、こうして100年近くの時を越え現代まで残っているのは卓越した技術と素材のよさ故であるのでしょう
高価な素材で作られたハイジュエリーとは異なるけれどデザイン性を重視したアクセサリーは、目の保養になりました。
ジュエリーも洋服同様、自己表現のひとつだと今回、気付き
身に着けているもので知らず知らずに主義主張が表れてしまうから、これからは日々のジュエリーは、気合を入れて選んでみようと思います。
しぼり菜リズム(まとめ)
「開館20周年記念展 コスチュームジュエリー美の変革者たち シャネル、スキャパレッリ、ディオール 小瀧千佐子コレクションより」 美の変革者たち(パナソニック汐留美術館)に行きました。
「コスチュームジュエリー」は、本物の貴金属や宝石は使用しないデザイン性にこだわったイミテーションの装飾品のことで、素材の既成概念から解放されたデザイン性や衣服との組合せによる魅力を発揮することが出来ます。
歴史的には、20世紀初めに女性ファッションをコルセットの拘束から解き放ったポール・ポワレが始まりとなり、「シャネル」によって広く普及し、シャネルやシャネルのライバル・スキャパレッリのように富や地位の象徴ではなく、トータルで美しい装いのひとつとしてジュエリーが活躍したのが分かります。
老舗メゾン実践によってコスチュームジュエリーはどんどん多種多様に進化し、次第に量産していきこれを担ったのが、工房で、一流ブランドからの依頼を受けジュエリー工房の熟練した技術によって制作された作品は、ヨーロッパの伝統的美意識を感じます。
第二次世界大戦後にはアメリカでの需要が増し数多く制作され、歴史の浅いアメリカでは先入観や固定概念がないために素直に受け入れられさらに素材も表現も自由なものでセレブをはじめ多くの人々に愛されました。
今では、コスチュームジュエリーは、ハンドメイドから大量生産されたものまであり社会進出してきた女性達はもちろん老若男女問わずが気軽に楽しむものとなりました。
同展のヴィンテージ作品は、宝石や金のように価値ある素材はいっさい使われていないにも関わらず、こうして100年近くの時を越え現代まで残っているのは卓越した技術と素材のよさ故であるのでしょう。
■コスチュームジュエリー 美の変革者たち
- パナソニック汐留美術館 2023年 10月7日~12月17日
- 京都文化博物館 2024年 2月17日~4月14日
- 愛知県美術館(予定)2024年 4月26日~6月30日
- 宇都宮美術館 2024年 9月8日~12月15日
- 札幌芸術の森美術館 2025年 4月19日~6月22日(予定)