(アーテイゾン美術館)
「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」と(アーテイゾン美術館)特別展「古代メキシコ —マヤ、アステカ、テオティワカン」(東京国立博物館)へ行きました。
抽象画
「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」(アーテイゾン美術館)
抽象絵画の歴史が辿れる展覧会で出展作品は、約250点もあります。
アーティゾン美術館所蔵品が約150点あり今回、95点新たに収蔵し近年は、「抽象画」に力を入れている美術館となっています。
セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代までの抽象絵画の進化と展開を見ていく展覧会でしたが、とにかく作品の数が多くて、最後の方はもうお腹一杯という感じでした。
抽象絵画は苦手ですが、印象派のモネや後期印象派のセザンヌ、マテイス、ブラック、ミロなどの抽象画前夜の辺り作品は逆に好きです。
特にマテイスの何かを主役にするのではなく、全体の調和を考えたハーモニーを重視し「色」の美しさを際出せる表現が好きで抽象画過ぎないほどほど感がいいです。
初期は、あんなに絵が上手かったのに?!「色彩の魔術師」マティス
リアルに近いものがよいとされ色も実物に近い方がいいとされた絵画の歴史を打ち破り、現実の対象を簡略化したセザンヌを抽象画の開拓の祖と考えマテイスらキュビスムの画家を刺激しました。
抽象画の流れは、ピカソ、ブラックのキュビスムに導き具象を一度壊して再構築した表現へ
キュビスムは『ピカソとその時代ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』を見てほんの少しだけ分かった気になりましたが、それ以降のものはよく理解出来ないというか何がいいたいのか分からないものが多いです。
ピカソ、クレー、マティス。難しい「キュビスム」にもちょっと触れて
ただ、リヒターを見に行ったときホロコーストを題材にした「ビルケナウ」のように、どのように描いていったという過程とか画家の強い思いに触れたストーリーのあるものは、何を描いたか一見分からないものでも心を奪われます。
クレーのように詳細までリアルに描いたものより説明的過ぎず心地がいいものもあります。
まあ、私の勉強不足なのでしょう。
マテイスのように実際の対象物(具象)から抽象へどういった経過を経たのかが分かればもっと親しみが湧くかもしれません。
でも、抽象絵画の歴史的な節目となったアーティストの作品や日本の代表的な抽象画、現代の抽象絵画の多様なアプローチに触れることが出来、新たな表現には抽象絵画の可能性も感じられやはり見るべきものが多い展覧会には違いないです。
■「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」
- アーテイゾン美術館
- 2023年6月3日(土])~ 8月20日(日)
古代メキシコ
特別展「古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン」(東京国立博物館)
16世紀スペインに侵略されるまで、紀元前から数千年に及ぶ間、様々な古代都市が生まれ独特の文明を築き繁栄した「古代メキシコ文明」
その中から「マヤ」「アステカ」「テオティワカン」という代表的な3つの文明に焦点を当て注目の出土品を展示した展覧会です。
2000年続いた「マヤ文明」は、日本の弥生・古墳時代の頃には、暦や文字、高度な数学、天文学、農業の高度な知識や技術があり、建築物や美術品も精巧で、中央集権的な政治組織を持ち、豊かな宗教儀式やピラミッドや神殿を含む壮大な建築物もあって驚かされます。
(日本の弥生時代も劇的な変化があり、米作りの普及や鉄器の使用、集落や墳丘墓が築かれ社会的階層が出来たり、地域的な交流や文化も生まれましたが)
「テオティワカン」は、日本では古墳時代後期から飛鳥時代
「アステカ」は、鎌倉時代から戦国時代に当たり、どちらが先進的というより文明は地理的、文化的、社会的な要素が異なると全く異なる特徴をもって発展をするのだと思いました。
4大文明からも遠く接触もなかった地で、高度な文明を築き繫栄した古代メキシコ文明
独自の環境から生み出された死生観と造形美を140点余りの展示物を見ることで古代メキシコをほんの少しだけど体感することが出来ました。
今回、気になったのがコレ
「赤の女王」の埋葬の様子を再現した展示です。
パレンケ遺跡で発見された墓の中に葬られた女性の遺体で、マヤのパカルの妃である可能性が高く真っ赤な辰砂(しんしゃ)で覆われていたので「赤の女王」と呼ばれています。
赤の女王に見立てた赤いマネキンに彼女の墓の出土品を装着させ、発見当時の石室をイメージした空間で展示しています。
マスクは孔雀石、瞳には黒曜石、白目にはヒスイが施され、死後の世界のために収められたヒスイの冠や玉髄の首飾りといった豪華な装飾品
その工芸技術も高く、この女性の生前の地位はかなり高かったと思われマヤ文明の繁栄ぶりを物語っています。
この土偶のような人形は?
チャクモールの像で、マヤの王は神のために「生贄(いけにえ)」の体の中から「心臓」を取り出し、この台座になったお腹の上に乗せ神への供物としました。
一見こどものように見えた像の上に生きた人の心臓を供えていたなんて現代の感覚では、到底考えられないですね。
いかに、当時の人々がコントロール不能で圧倒的な自然や神への畏敬、畏怖の念が強かったか
日本でも卑弥呼が死去したとき、およそ100人もの人殉葬されているとかで、生贄文化ショッキングです。
そういえば、当時、「球技」が盛んに行われ、球技が戦争の代わりだったり、支配権を獲得したり、外交を繰り広げたりしていました。
実際に球技に使ったボールも展示されて、この球技で負けた者が生贄になることもあったそうで死を掛けて戦う競技というのも壮絶です。
ある意味、生贄に選ばれるのは名誉なことで、有能な戦士が生贄になることも多かったそうで現代の尺度では測れないものがあります。
心臓といえば、この金のアクセサリーは心臓だそうで
アステカ文明のテンプロ・マヨール大神殿の最近の発掘調査で見つかった金のペンダントです。
(金は、この地では採れないので交易で中南米から持ち込まれたようです)
内臓をモチーフとしたアクセサリーといえば、やはり「心臓」で神への生贄もあるように心臓は、生命の根源であり「生」そのものといえるからでしょう。
そして、出土品で、頻繁に出て来るWordが「トウモロコシ」
「トウモロコシ神」とかトウモロコシが描かれた出土品が多くあり、古代メキシコ文明は、人々の主食だったトウモロコシとの密接な関係が分かります。
マヤ神話では人間はトウモロコシから作られ、アステカ神話では人々が生きるのに不可欠なものとして神よりもたらされたとされていました。
主食が小麦ではなく現代でもタコスやトルティーヤの原料となっているトウモロコシが、文化や宗教にも深く結びつき生活の一部としてアイデンティティにまでなっていたのはメキシコの地ならではでしょう。
■特別展「古代メキシコ —マヤ、アステカ、テオティワカン」
- 会場:東京国立博物館
- 会期:2023年6月16日(金)~9月3日(日)
しぼり菜リズム(まとめ)
「ABSTRACTION: 抽象絵画の覚醒と展開 〜セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ〜」アーテイゾン美術館で開催された抽象絵画の展覧会
展示された作品は約250点もあり、その中にはアーティゾン美術館の所蔵品が多く、アーティゾン美術館が「抽象画」に注力していることを感じさせます。
展覧会では、セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代までの抽象絵画の進化と展開が紹介されました。
私は抽象絵画が苦手ですが、印象派のモネや後期印象派のセザンヌ、マテイス、ブラック、ミロなど、抽象画が広まる前の作品には逆に魅力を感じます。
抽象絵画は、かつては写実的な作品が好まれ、実物に近い色彩が求められる時代でしたが、セザンヌが現実の対象を簡略化することで抽象画の先駆者となり、詳細な描写よりも説明的ではない心地よさを表現しました。
キュビスムのピカソやブラックは、具象的な表現を壊し再構築することで新しい表現方法を生み出しました。
その後の抽象画は理解が難しく、何を表現しているのかよく分からなく勉強不足を痛感しました。
「古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン」展(国立博物館)は、古代メキシコ文明の代表的な3つの文明であるマヤ、アステカ、テオティワカンに焦点を当てた展覧会です。
展示品は約140点で、これらの文明の独自性や造形美を体感することが出来ます。
マヤ文明は暦や文字、数学など高度な知識や技術を持ち、壮大な建築物や宗教儀式も魅力的です。
展示では「赤の女王」のマスクや装飾品、生贄の台座であるチャクモールの像、アステカ文明のテンプロ・マヨール大神殿で発掘された心臓をモチーフにした金のペンダントなどが気になりました。
古代メキシコ文明の豊かな文化と生活の一部である「トウモロコシ」の重要性も分かりました。