『パリ・オペラ座─響き合う芸術の殿堂』(東京のアーティゾン美術館)に行きました。
パリ・オペラ座
バレエやオペラの殿堂として知られる「パリ・オペラ座」は、ルイ14世によって、1669年に設立されたフランスを代表する歌劇場です。
パリ9区の絢爛な建築は、1875年に完成したもので、設計者の名に由来しガルニエ宮とも呼ばれその後、バスティーユ歌劇場が完成し2つの劇場にてバレエ、オペラの古典から現代作品までを上演していています。
私にとってオペラ座といえばオペラ座が舞台になった『オペラ座の怪人』で、四季のミュージカルを見て豪華なシャンデリアが客席に落下するシーンが印象的で、どれだけ絢爛豪華な劇場なのかと思いを馳せていました。
確かにエドゥアール・ドゥタイユのオペラ座の落成式を描いた「パリ・オペラ座の落成式」の絵を見ても内装も来賓客含めてここは、王宮かと思うほど贅沢な作りでゴージャスな雰囲気です。
このパリ・オペラ座の350年のの歴史をたどり、音楽、舞踏、美術、文学などオペラ座に関連する様々な芸術分野光を当てオペラ座を多面的に紹介するのが『パリ・オペラ座─響き合う芸術の殿堂』です。
オペラ座の芸術
オペラ座に関するものは、オペラやバレエだけではなく上演されたオペラの台本や衣装、建築図面、彫刻、絵画、版画、写真、台本、楽譜、舞台模型、衣装、ポスター、小説、戯曲、日記、歴史資料と多彩なジャンルの作品を一堂に会する本展は、とても魅力的なものです。
台本と音楽と舞台が融合した「オペラ」一つをとっても、歌手やダンサー、エキストラをはじめ、オーケストラの楽団員など大勢のスタッフで成り立つ総合芸術で、バレエも同じことがいえます。
オペラ座は、ハード面の建物だけでも素晴らしいけど、単なる「劇場」だけではない芸術の宝庫なのです。
やはり、オペラ座のツートップは、オペラとバレエです。
なので、フランス国立図書館やオルセー美術館などから来日したフランスのオペラやバレエ関係の資料を多く展示していました。
オペラやバレエに親しみのない私でもヴァーグナーのオペラのポスターや、バレエで使用された髪飾り、オペラ座の舞台衣装を手がけた森英恵や高田賢三、カール・ラガーフェルト、クリスチャン・ラクロワなど現代の有名デザイナーによる衣装デザイン画など楽しめました。
ドガとマネ
オペラ座を題材としたアーティゾン美術館、ワシントン、ナショナル・ギャラリー、オルセー美術館ほか所蔵のマネやドガ、ルノワール、シャガールなど巨匠達の絵画を展示。
音楽に囲まれた環境で育ち、観劇を好んだ印象派のエドガー・ドガは、劇場へ顔パスの出入りで舞台、桟敷席、楽屋、稽古場など、劇場のあらゆる空間を油彩やパステルで制作しています。
舞台裏に出入りしていたドガにしか描けない踊り子や歌手といった人物を取り上げた絵は、当時の表には出て来ない舞台が絵画を通して見て取れオペラ座は、劇場だけどまるで「社会の縮図」のようです。
マネはの仮面舞踏会をモチーフとした絵は、社交界のブルジョワ紳士達と高級娼婦と思しき女性達を描きオペラ座を舞台とした男女の恋の駆け引きや怪しげな出会いを描いています。
中野京子の『怖い絵』にもあったけれど、当時、踊り子は、娼婦的な面もあったと言われ、貧しい少女達は生活のためにお金持ちのパトロンに媚を売るという華やかな世界の裏側も表現しています。
オペラ座の歴史は、パリの街の歴史そのものかと思いました。
ガルニエ宮に飾られているシャガールの天井画(ポーラ美術館所蔵)で、自由で色鮮やかな画風はオペラ座のイメージとのギャップから当時は不評でした。
でも、エッフェル塔やオペラ座、「魔笛」「白鳥の湖」「カルメン」有名なオペラやバレエの名作からイメージされた人物やモティーフがシャガールならではの色鮮やかな色彩で「花の都パリ」の光の部分に心躍ります。
音楽
オペラ座で活躍した作曲家グルックやモーツァルト、ロッシーニやヴェルディ、ワーグナーの自筆譜、「オペラ座の怪人」の作者ルルーによる自筆台本もありそれぞれの個性や素が垣間見えます。
細かい音符を整然と書いた楽譜もある中、モーツァルトの文字や音符は読み難そうな印象で、返って作業中である生々しさを感じさせました。
最後に「白鳥の湖」「くるみ割り人形」「ロミオとジュリエット」「椿姫」など有名なバレエやオペラの演目のクライマックスの部分をビデオを流していてしばらく見入ってしまいました。
(意外と面白いかも。)
オペラやバレエは、堅苦しくて敷居が高いものだと思っていましたが「優雅なインドの国々」なんかは、ミュージカルを見るような感覚で楽しめ、バレエファン、オペラなどのクラシック音楽ファンだけのものでないようです。
本展覧会は、オペラ座をあらゆる角度から見る、知る、楽しむことが出来、美術ファン、バレエファン、オペラなどのクラシック音楽ファン、ファッション好きをも魅了するのはキュレーターさん(かな?)の高い企画力があってものだと思いました。
しぼり菜リズム(まとめ)
パリ・オペラ座の350年のの歴史をたどりつ、音楽、舞踏、美術、文学などオペラ座に関連する様々な芸術分野光を当てオペラ座を多面的に紹介した『パリ・オペラ座─響き合う芸術の殿堂』(東京のアーティゾン美術館)
バレエやオペラの殿堂として知られる「パリ・オペラ座」は、ルイ14世によって設立されたフランスを代表する歌劇場でバレエ、オペラの古典から現代作品まで上演します。
オペラ座に関するものは、オペラやバレエだけではなく上演されたオペラの台本や衣装、建築図面、彫刻、絵画、版画、写真、台本、楽譜、舞台模型、衣装、ポスター、小説、戯曲、日記、歴史資料と多彩なジャンルの作品を紹介するのが本展です。
バレエで使用された髪飾り、オペラ座の舞台衣装を手がけた現代の有名デザイナーによる衣装デザイン画、オペラ座を題材としたマネやドガ、ルノワール、シャガールなど巨匠達の絵画もあります。
台裏に出入りしていたドガは、踊り子や歌手を題材にし表には出て来ない舞台を描き、マネはの仮面舞踏会をモチーフとした絵で華やかな世界の裏側も表現しています。
オペラ座で活躍した作曲家グルックやモーツァルト、ロッシーニやヴェルディ、ワーグナーの自筆譜、「オペラ座の怪人」の作者ルルーによる自筆台本もありそれぞれの個性や素が垣間見えます。
■『パリ・オペラ座─響き合う芸術の殿堂』
- 会場:アーティゾン美術館
- 会期:2022年11月5日(土)〜2023年2月5日(日)