空也上人像
そうそうこれ日本史の教科書にあったね。
口から「南・無・阿・弥・陀・仏」という文字を吐き出しているインパクトがあるの像が、「空也上人」像です。
空也上人というえば、この「空也上人像」です。
空也上人像と同じ六波羅蜜寺にある「平清盛坐像」も「清盛」といえばこの像のである。
中学か高校生の頃、教科書の偉人の肖像画や像によく「落書き」をして、気になる人物に鉛筆で髪の毛や髭を描き足したりしていました。
空也上人の民衆のために念仏を吐き出している姿が健気で、小柄で「小学生」のように見えした。
なので、二宮金次郎は「薪」を背負っているけど、太鼓を叩きながら念仏を唱えている小学生の空也上人には、ランドセルを背負わせたくて描いてみたけど上手く描けない。
仕方がないので、頭に『もーれつア太郎』の「ケムンパス」(知ってます?)を乗せた記憶があります。
(それだけ、親しみを覚えたので落書きしたかったのでした)
同じ会場に展示されていた平清盛(「平清盛坐像」)にも落書きをしました。
(教科書のね)
「平家でない者は、人ではない」なんて言ったものだから…
(あッこれは、清盛の義理の弟の言葉でした。)
『平家物語』の影響で、平清盛は、空也上人のように親しみが湧かず不遜なイメージがあったのでおでこに、「怒りマーク」を入れたかな。
(「怒りマーク」がこの頃マイブームで、気に入らない偉人のおでこによく描いていました。)
(ゴメンナサイ!)
空也上人の首から銅鑼を提げて、念仏を唱えている姿が面白く、「ゆるキャラ」にでもなりそうです。
と思っていたら空也上人の「フィギュア」がありました。
(ネットで、コスプレもあった。)
この空也上人像に会いたくて行ったのが、特別展『空也上人と六波羅蜜寺』(東京国立博物館)です。
そこで、空也上人のフィギュアを売っていました。
空也上人
こんな親しみやすい空也上人というどういう人物だったのだろうか。
空也上人は、平安中期、「念仏の祖」として極楽浄土を願う「南無阿弥陀仏」を唱えて人々に念仏信仰を広めた六波羅蜜寺開祖の僧です。
当時、京都に流行り病が蔓延していて、空也上人は、疫病がおさまり世の中が穏やかになるように祈って、十一面観音菩薩立像を造像しています。
銅鑼みたいなものを持っているので、「踊念仏」でもやるのかと思って調べてたら、空也上人が始め、「一遍上人」の時宗で盛んになり庶民に浸透していったようです。
この念仏信仰は、鎌倉仏教の浄土信仰へとつながる源流です。
踊り念仏は、群集が念仏を唱えながら鉦(かね)や太鼓で踊るものです。
空也上人は、布教だけでなく、橋を架けたり、井戸を掘ったりし、「市聖(いちのひじり)」と呼ばれ民衆から慕われていました。
小柄だった
『空也上人と六波羅蜜寺』展で、「空也上人像」とご対面しました。
正式には「木造空也上人立像」で、重要文化財として国が指定し六波羅蜜寺が所蔵、運慶の四男康勝の鎌倉時代の作品です。
今回の展示で、50年ぶりに六波羅蜜寺から東京へ来ました。
同展にあった「平清盛蔵坐像」のように僧侶の肖像彫刻は坐像で表すものが多いけど、これは立像で珍しいとのことです。
お寺の安置では、正面からしか拝観出来ないが、今回の展示では360度見ることが出来ます。
最初の印象は、やはり、想像したように小学生くらい小さかったです。
像高122.4cmの寄木造りで、身長が、150㎝の私より小柄です。
首か下げているのは、鉦(かね)という芝居の囃子(はやし)などに使う金属の打楽器で、ゴングのようなものです。
鉦を叩く撞木(しゅもく)を右手に、左手は、鹿の角のついた錫杖を持っています。
胸元がはだけ鎖骨が浮き出て、身なりは質素です。
布教のため京都の街や諸国を歩き引き締まった細い足に草鞋履きといういでたちは、ストイックな修行僧そのものです。
こんな御姿でも、空也上人は、自らの出生を語ることはなかったものの、皇室の出(醍醐天皇の私生児だという説も)という噂があります。
真偽は不明ですが、高貴な家柄の出身だったかもしれません。
死後200年経って作れたので、伝承をお姿にしたのでしょう。
とかく偉人は、後付けされ盛られがちだけど庶民的な御姿なのが好感が持てます。
口から出ているのは、念仏を唱えるさまを表現した「南無阿弥陀仏」の6字を表す6体の「阿弥陀仏」でした。
これは、唱えるとその一音一音が阿弥陀仏になったという伝説を彫刻化したもので、当時としてはかなり「前衛的」な作品だったでしょう。
(今だったら、インスタ映えしますね。)
「めざし」のような6体の小像は、口から針金で繋がって出ています。
6体の像は、小さくてよく見えませんでしたが、帰って写真で見ると阿弥陀仏が1つ1つ彫られていました。
若い頃は、お爺ちゃんだと思って見ていましたが、老境の入口にいる今の私と同じくらい年齢だろうかと思いました。
念仏が聞こえ、今にも動き出しそうな御姿に凛とした威厳もありますが、近寄り難い平清盛像より、親しみが湧きます。
でも、お顔は「苦悶」の表情を浮かべているように見え、一切衆生の苦悩を荷負っているからと想像しました。
しぼり菜リズム(まとめ)
口から「南・無・阿・弥・陀・仏」という6文字を表す阿弥陀仏を吐き出しているインパクトがあるの像が、歴史の教科書で見知った空也上人像です。
この六波羅蜜寺の「木造空也上人立像」を『空也上人と六波羅蜜寺』(東京国立博物館)に見に行きました。
空也上人は、平安中期、「念仏の祖」として極楽浄土を願う「南無阿弥陀仏」を唱えて人々に念仏信仰を広めた六波羅蜜寺開祖の僧です。
空也上人は、布教だけでなく、橋を架けたり、井戸を掘ったり民衆から慕われていました。
鎌倉時代に作られた実物の像を360度の方向から見て、像高122.4cmと想像通り小さいというのが最初の印象です。
首から鉦(かね)を提げ、鉦を叩く撞木(しゅもく)を右手に、左手は、鹿の角のついた錫杖を持っています。
胸元がはだけ鎖骨が浮き出て、身なりは質素、布教で、諸国を歩き引き締まった細い足に草鞋履きといういでたちは、ストイックな修行僧そのものです。
念仏が聞こえて、今にも動き出しそうな御姿に凛とした威厳もありますが、近寄り難い同展覧会にあった平清盛像より、親しみが湧きます。
お顔は「苦悶」の表情を浮かべているように見え、一切衆生の苦悩を荷負っているからと想像しました。
■特別展『空也上人と六波羅蜜寺』
- 東京国立博物館
- 3月1日(火)~5月8日(日)