婦人科の腹腔鏡手術
テレビの『情熱大陸』(毎日放送)で、ある医師を紹介していました。
私が入院、手術をした同じ病院、がんの部位は違えど同じ骨盤内の手術ということで食い入るように見ました。
その医師は、がん研有明病院の婦人科の医師金尾祐之先生です。
がん研有明病院は、昨年6月に入院、手術とお世話になった病院です。
金尾先生の率いるチームの子宮や卵巣のがんの手術数は、年間約1300件と全国随一の症例数と実力を誇っています。
特に「腹腔鏡下手術」(以下、「腹腔鏡手術」)を婦人科にいち早く取り入れ、好成績を残してきました。
婦人科の臓器のある骨盤内は狭く、手術は、出血や神経の損傷などのリスクと隣り合わせです。
1ミリ内か外か、という切除ラインは患者の予後にも影響します。
婦人科の腹腔鏡手術は、先生のおっしゃる「1ミリに命を懸ける」という「ミリ単位」の繊細な手術で困難が多く確かな技量が必要になるので、普及が進まず一般的ではありません。
手術の映像を見て、膀胱や子宮、卵巣といった骨盤内の臓器を摘出している私は、こんな手術をしたのだと腹腔鏡手術の画面に釘付けになりました。
同時に改めて大変な手術だったのだと、命の恩人である執刀医である主治医に感謝の念が湧きました。
金尾先生は、命を救うだけではなく、若いがん患者の「妊孕性」を重視し将来、子どもが作れるよう産めるような手術を心掛けています。
金尾先生は、合併症や術後のリスクの高い「子宮頸がんの再発腫瘍切除術」という困難を極める手術も力を入れ、余命宣告をされた患者の最後の砦にとして頼られています。
マインドも神
今回の『情熱大陸」は、神回で、神の話です。
金尾祐之先生は、ミリ単位の困難な手術を数多く手掛け患者の命を救ってきた「神の手」を持つ医師です。
でも、職人的な技量を持つことだけが「神」ではなく、「マインド」も神なのです。
婦人科では、子宮や卵巣を失うといった、精神的な喪失感がある女性特有の臓器のがんを扱います。
その精神面でのサポートも欠かせません。
映像での先生は、1時間にも及ぶ術前や術後の説明を丁寧にされて、患者や家族が納得いくまで向き合っておられているようでした。
私もそうでしたが、ちょっとした不安を聞いてくれるだけで、不安が取り除かれ安心を得られます。
そうすると、この先生に安心して身を委ねてみようと前向きな気持ちになれます。
そんな先生でも患部が放射線治療で、癒着が酷い子宮がん再発女性の骨盤内の手術では、坐骨神経と接するような患部にたどり着くも思わず「厳しい」という言葉が口をつきます。
それでも、諦めず周囲を傷つけず患部を切除。
それから、取った臓器の一部を病理に出し「転移」がないか調べます。
「陰性」だったら、患部は取り切れたので最小限の処置で終わります。
でも、「陽性」で転移があればさらに深くメスをいれないといけないので、神経を残せない可能性も出て来きます。
(神経を残せなければ、歩行障害が出ます。)
結果を待つ1時間が、とても長い。
(映像を見ているこちも固唾を飲んで、見守ります。)
ほどなく、「いずれも、キャンサーネガティブ(陰性)です。」のアナウンスが入ると
金尾先生、思わず「よっしゃー!OK!」と我がことのようにガッツポーズ。
私も先生の気概と患者に自分を重ね思わず、涙が溢れてしまいました。
このがん患者の女性は、術後1か月で、元気に退院したそうで、また、先生の手で一人の命が救われたのです。
(がんのため予後のこともあるかもしれませんが、最善の結果は出せたのです。)
お人柄なのでしょう、先生の手術を受け無事、妊娠、出産した女性が赤ちゃんを連れて先生を訪ねて来ています。
昼食のお弁当の玉子焼きが好きで、お弁当の冷えたご飯の振り掛けがしなっとなっているのが好きだと語り、飾らない庶民的なお人柄は本当に素敵です。
ちなみに手術の技術もさることながら、「何でも聞いてください」と私の質問にも一つ一つ丁寧に答えてくれる患者に寄り添うマインドを持つ我、主治医も神です。
どうして、神になったか
神の技術も持つ医師はいると思うが、心まで神というのはなかなかいないと思います。
神って、こんなところにいるものだと思いましたが、この神が、どうして生まれたのか。
ヒントになったのが
過去に先生の父親の心臓の手術を家族の目線で見ていたことです。
家族にとって医師は、神様。
藁をもすがる気持ちで、神様に委ねているのです。
こういう経験をして、「手術をする側になるのだったら諦めてはだめ」ということを父が教えてくれたと先生は、おっしゃっていました。
先生は、「パッション(熱情、受難)」という言葉を頻繁に使われています。
患者の家族目線を経験したことで、どれだけ患者を助けたいかというパッションが、モチベーションになっていったのだと思いました。
困難な手術にひるまなず「オンリーワン」の患者を助けるのは、パッションがあるから。
頭は、冷静でありながらこころは熱い。
神になれるのは、こんなパッションを持って患者に向き合うからだと思います。
第2第3の金尾先生
そんな「神」を頼って、がん研に患者が殺到してしまうのではないか。
病院が、さらに混んでしまうなんて心配しつつ…。
金尾先生は、きちんと後に続く次世代の医師達の育成にも力を注いでおられました。
骨盤の奥深く巣食うがんにも立ち向かえる腹腔鏡手術の技術の伝授、ものの育成です。
第2第3の金尾先生が、出て来て欲しいと思い、それは、時間がすぐに解決してくれるのではと思いました。
きっとパッションを持った医師が、たくさん誕生することでしょう。
最後に、川辺をジョギングをしている先生の映像が流れていました。
我、主治医もそうだと思いますが、落ち着いて机で食事を取ることは稀というお忙しい日常を送られている先生、是非、ご自身の健康に留意して頂きたいです。
そして、たくさんの患者の命を救って欲しいと思います。
しぼり菜リズム(まとめ)
『情熱大陸』(毎日放送)で、がん研有明病院の婦人科の医師金尾祐之先生を紹介していました。
金尾先生の率いるチームの子宮や卵巣のがんの手術数は、全国随一の症例数と実力があり、「腹腔鏡手術」を婦人科にいち早く取り入れ、好成績を残しています。
金尾先生は、一般の病院では普及していないミリ単位の正確さが必要な困難の多い骨盤内の腹腔鏡手術や、合併症や術後のリスクの高い「子宮頸がんの再発腫瘍切除術」を積極的に行い余命宣告をされた患者などの多くの命を救っています。
手術の技量はさることながら、患者や家族に時間を掛けて術前、術後の説明をしたり、「予後」や「妊孕性」を考慮した手術を行うように心掛けるという患者に寄り添った診療をしています。
金尾先生は、神の手とマインドの両方を持ち合わせている医師です。
後に続く次世代の若い医師の育成も行っています。
パッションを持って困難な手術にひるまなずオンリーワンの患者さんを助けるのは、患者の家族としての目線も経験しているからです。