#リモラブ~普通の恋は邪道~
日本テレビドラマ『#リモラブ~普通の恋は邪道~ 』(水曜夜10時~)右肩上がりに面白くなってきました。
脚本が大好きなNHK朝ドラ『スカーレット』の水橋文美江先生で、大好きなスカーレットの八郎さんを演じた松下洸平が出演するので見ない訳にはいかないと見始めた感想です。
オンライン上で知り合ったで見ず知らない者同士が意気投合、LINEのやり取りを通して恋愛に発展していく物語です。
リモートの日常的な何気ないやり取りで癒されて、お互いの心の距離を縮めていくうちにお互いがかけがえのない存在になっていく様が自然な流れに感じます。
(ほんの数文字の短い文章のやり取りでも、内面や人間性って出るのだなあと思いました。)
まあ、返って見ず知らぬ相手だから武装せず「素」の自分を出せることもあるので二人のやり取りが、非常に居心地がいいのです。
ところが、見ず知らずの者同士だったはずが、同じ会社で働く産業医大桜美々(波留)と社員青林風一(松下洸平)で、既に面識もあったのです。
これに気付いてから現実の相手への戸惑いやギャップが出るも、現実の人となりを知っていくうちに特に美々先生がライン上の「檸檬」ではなく「青林風一」に惹かれていく過程が丁寧に描かれているので美々先生の気持ちに共感出来ます。
リアルに接しているのにお互いが知らない状態。
(リアルでは、お互い恋愛対象ではない)
「檸檬=青林」と知ってからの美々先生の反応と心境の変化。
(「エーッ!あおばやし~。青林だけは、嫌っ!」→→既に青林に恋する美々先生)
「草餅=美々先生」と知った青林の反応やそこからの展開、現実の場での「生草餅」「生レモン」のやり取りや美々先生の心の声が面白かったです。
ただ、6話終了時点では、「ごめんなさい」から「好きに決まってるじゃないですか」と青林が美々先生をどうして好きになっていったのかはよく分からないのでこれから描かれていくのかもしれません。
青林の「ごめんなさい」は、いきなり美々先生こと「草餅」から好きだと言われても段階を踏まないと前に進めないという不器用な性格なので受け入れられなかったと想像します。
このドラマ、主人公の恋を誰も邪魔しないで、皆が楽しそうに応援してしているところがいいですね。
自分のことはさて置いて人の話を親身になって聞く優しさや先のことまで真剣に考える誠実さが青林にあるから、同僚の五文字(間宮祥太朗)もさっさと美々先生から身を引いて青林を後押しているのだと思います。
(五文ちゃん、青ちゃんのこと人間として好きなんだよね。)
擦れ違いながらやっと恋の「スタート地点」に立つことが出来たけど、ピュア過ぎる二人の恋愛はどうなってしまうのかちょっと心配で、一筋縄ではいかぬ水橋脚本では、まだ一波乱ありそうな予感がします。
出ている役者さん皆さんが演技が達者な方ばかりなので、軽いノリの部分があっても決して、軽々しくなりません。
一見コメディタッチでも、繊細な人間模様はしっかりと描かれています。
上から目線のこじらせ女だけどやっぱり可愛い波留、マスク効果でギラギラ感が中和され、少し引いたこの役がいい感じで好きだよ間宮祥太朗。
江口のりこのセリフにしみじみとして、及川光博とどうなっていくのか楽しみです。
ストーリーテラーの新人看護師八木原君ことジャニーズ髙橋優斗も悪くないし、その彼女の福地桃子の声がチャーミング。
どんな役でもこなす川栄李奈、大器晩成型か渡辺大…。
何より、出てくる人達の「会話劇」が面白いので、あっという間の1時間です。
コロナかを逆手に描く
コロナ禍の中『#リモラブ』は、この状況を逆手に取ったドラマになっています。
ドラマの中でまでマスク姿は見たくないなどと言わせないないほど「マスク」の使い方もいい。
目元しか見えないマスク姿の波留って、「目力」があってこんな目が綺麗だったのだと改めて認識し、他の役者さんも目できっちりと演技をしているので、マスクをしていても表情が分かります。
青林が、美々先生のマスクを外して表情を確かめようとしたシーンは、マスクを外した美々先生の顔が、「メガネを取ったら可愛かった」みたいに恋心もあってかよけい可愛らしく新鮮に見えました。
青林の「失礼します」って声掛けて手を消毒した上で美々先生のマスクを直すシーンもキュンときて、withコロナだからこんな素敵なシーンが生まれたのだと思いました。
二人並んでラーメン屋台の丸椅子に座ったときもソーシャルディスタンスで、お互いが少し距離を空けるも思い直してほんの気持ち青林に近づく美々先生のいじらしさもよかったです。
美々先生のマスクも毎回、服装とコーディネートされてとってもお洒落。
次は、どんなマスクをするのか楽しみです。
独り身の美々先生が「ソーシャルディスタンス」によってより孤独を感じ、人との触れ合いを求めたいという心境の変化もコロナ禍だからのものです。
劇中のSNSでの出会いもコロナ禍で生まれたもので、SNSの文字のやり取りは、「文字」だけなのにしっかり気持ちがこもっているのも「内証的な時間」が増えたからなのか。
実際の距離は離れていても心が寄り添うという心の「蜜」が生まれやすいのもこういう状況だからだと思ってしまいます。
大人女子を落とす松下洸平の魅力
「水橋×松下」が、楽しみで見たドラマですが、やはり『スカーレット』で松下洸平の魅力引き出した水橋脚本だけあって今回も期待を裏切りませんでした。
4話辺りから松下洸平の本領が発揮され始め、6話で彼の魅力が炸裂しました。
最後の美々先生に迫られての青林のシーンは、松下洸平の魅力を知り尽くしての脚本と演出としか言いようがありません。
美々先生の告白に好きになるなら「結婚にこだわるとか、短い髪を結ってあげるはどうするの」など青林が、面倒くさいこと並べていると業を煮やした美々先生の迫力のある「壁ドン」。
その迫力に驚いて合林は「好きです」とつぶやき、目を潤ませながら真剣な表情で美々先生の腕を掴んで今度は、態勢を入れ替えます。
(ここのところ相手を慈しむ気持ちに溢れているから、腕を掴むではなく「静かに優しく触れながら態勢を入れ替える」かも)
青林は左手の長い指をそっと壁につけ、美々先生を見つめながら「好きに決まってるじゃないですか」と応える。
これ、いわゆる「逆壁ドン」(壁ドン返し)ということらしくて、このときの青林は、優柔不断で頼りない青林から既に男の顔(男)になっていて、そこには、そこはかとない「色気」が漂って…アンタどこからその色気を持ってきたのかいというくらい一瞬にして(この色気に)落されてしまうのです。
(落ちるのは「沼」で、スカーレットでは、「八郎沼」だけど今回は、「青林沼」か、「洸平沼」か)
普段は、頼りなくてヘタレ気味なのにここ一番というときに滲み出る大人の色気は、『スカーレット』の「キスはいつするんやろ?」「抱き寄せてもええですか」で遺憾なく発揮されていましたが、今回の逆壁ドンでも出してくれました。
(やっぱり、水橋先生の「当て書き」なのかと思ってしまうほどここでの青林は、松下洸平でなくてはならないほど適役です)
女性の方から壁ドンされてしまう松下洸平は、美々先生や貴美子のような男勝りのヒロインと相性がよく、性格の強いヒロインが「男」青林、八郎の前では、とてつもなく可愛くなっていまうから不思議です。
青林も八郎も「よい人感」溢れる人物ですが、犯人役をやってもいい人に見えてしまうの松下洸平は、中身(性格のよさ)がそのまま役に出てしまうのはないかと思ってしまいます。
きっと、素の彼は、誰にでも分け隔てなく接する人だろうし(私のような目上のおばちゃんにもきちんと接してくれるのだろう)、優しくて誠実な人なのかなあなど勝手に想像して、彼には、みんなに可愛がられて欲しいとかいい人と結婚して欲しいなど親戚のおばちゃん、いや母親目線で応援したくなってしまうのですね。
こんな風に普段は、息子(甥っ子?)なんだけどドラマみたいに急に色気出してくると大人女子の私もすっかり自分がヒロインになりきって「恋人目線」で見ているから手に負えない子なのですね。
そんなところが、大人女子のツボにハマりミルクボーイのオカンちゃんみたいに私くらいの年齢層のファンも多いのではないかと思います。
今回、ベトナム語、モンゴル語、ヒンディー語、ジャワ語(本当にそうなのか分からないけど)とマルチリンガルぶりを披露したけど、この方音楽やっているからきっと「耳」がいいんでしょうね。
だから、それ風にしゃべっているように聞こえ、「関西弁」にしても東京出身だけど関西人みたいに完璧だったのでしょう。
よく彼を評するときに「地味だけど〇〇」とか「華はないけど〇〇」って頭に「地味」みたいな書かれ方をしますが、最初は正直『スカーレット』でもこんな地味な人が喜美子の夫役が務まるのだろうかと思ったことがありましたが、結果、見事に裏切られたのでした。
『スカーレット』で、すでに補正が掛かっているからか、このドラマでは、最初からダースホース的な立ち位置にいるもオーラがあり若いから顎のラインが綺麗で、十分イケメンに見え、波留の相手役を確信していました。
青林に期待して見ていなかった人もキチッと色気出してきた6話辺りで、松下洸平が波留の相手役だと納得したのではないでしょうか。
しぼり菜リズム
ドラマ『#リモラブ』が、回を重ねるごとに面白くなってきました。
リモート恋愛、ソーシャルディスタンスなどコロナ禍を逆手に取ったドラマになっていて、「水橋×松下」の魅力が遺憾なく発揮されています。
マスク姿でも芸達者な役者さん揃いなので、感情の機微が伝わりコメディタッチなのにしっかりと人間模様を描いています。
6話でスタート地点に立ったばかりの「草餅」こと美々先生と「檸檬」こと青林の恋愛、このピュアなカップルの行方はどうなっていくのか。
一筋縄ではいかぬ「水橋劇場」では、まだまだ一波乱ありそうです。