私の記憶遺産【としまえん】。としまえんの「おもいで」綴りました
私の記憶遺産【としまえん】。としまえんの「おもいで」綴りました2
からの続きです。
アフリカ館
としまえんで、一番好きだったアトラクションが「アドベンチャーゾーン アフリカ館」で、通算30回位は乗ったでしょうか。
としまえんに行けば必ず乗り、混んでいなければ2回乗ることもありました。
でも、10年程前にとしまえんに行ったときにアフリカ館がなくなっていたのがショックでした。
アフリカ館がとしまえんの「箱モノ」の中では、一番大きかったと思います。
その広大な跡地は、他の施設か駐車場になっていてしばらく、その光景が信じられず茫然としていました。
初めてアフリカ館を見たのが50年近く前で、巨大な施設の中をガイド付き(音声)のジープに乗ってアフリカを「疑似体験」していく乗り物というのが珍しくいつも行列が出来るほど人気でした。
そこで、懐かしさもあって、自分の記憶に残すためにもアフリカ館の「行程」を思い出しながら書いてみました。
(何度も乗ったけれど、最後に乗ったのが20年以上前なので、順番などが違うかもしれません)
行程
エジプトの空港に到着後、古代エジプトのクレオパトラ達上流階級の華やかな晩餐が繰り広げられる宮殿から、趣が変わって砂漠のオアシスの町みたいな所へ進みます。
そこには、飢えて餓死寸前の人達がいて、(骸骨もあった?)前のクレオパトラの「贅沢三昧」を見たせいか、子ども心にこの人達が何かを訴えているようで怖かったです。
マサイ族の集落に進むと、マサイ族が打楽器のリズムに合わせジャンプして踊り、私達を歓迎してくれます。
突進してこちらに迫ってくる勢いの象や肉を喰らうライオンなど「サバンナサファリ」を楽しんで、いよいよ密林ジャングルの中に分け入って行きます。
頭上をジャガーが横切って、ジャングルの「洗礼」を受けます。
(横切ったジャガーが、元の位置に戻るところも見えたりしてご愛敬。)
うっそとしたジャングル中に川が流れていて、川に掛かった「祖谷(いや)のかずら橋」みたいな植物の蔓で作られた今にも壊れそうな「吊り橋」がありここを車が、渡ります。
この橋の上を通ると橋が揺れ、ちょっとしたスリルを味わうことが出来ます。
橋の横には、瀑布というくらい迫力満点な大きな「滝」があり、下を覗けば滝つぼには動物の死骸みたいなのがあったりして飽きません。
ジャングルの奥地では、仮面を被った先住民族が吹矢で威嚇(音声だけ)してきます。
その後は、ワニやカバ、ヘビ、ゴリラとお馴染みの密林動物を堪能して最後は、羽田の空港の到着ゲートへ滑り込みます。
基本、館内では、前後の車両も見えずほぼ自分達だけの世界ですが、前の車両が見える場所が2か所くらいあって、そろそろ見える頃だと変なところでワクワクしていました。
客室乗務員が「サヨウナラ、サヨウナラ」と手を振るともう終わってしまうのかと感傷的になり、目が眩む明るい館外に出ると宴の後のように現実に引き戻されて一抹の寂しさを感じました。
何度乗っても飽きない魅力
アフリカ館の変わり映えしないジオラマや仕掛けでも、何度乗っても飽きることがありませんでした。
アフリカを探検するという「ストーリー仕立て」になっていて、何度も乗ると次は、どんな仕掛けで何が出てくるか分かっているのでそれを確認する楽しみがありました。
未知の場所であるアフリカの風景やジオラマや仕掛けなどの演出が小さい頃は、斬新でハラハラドキドキしました。
人形や動物など動く仕掛けがこれでもかというくらい随所にあって、それだけでも楽しかったです。
一番好きな場所が、吊り橋を渡るあたりで、高い天井を生かした館内の落差のある滝がリアルに再現されて、水が落ちる音や瀑風、水しぶきなどで冷涼感を体感出来、今思うとパワースポット的な場所でした。
大人になってからは、昭和の「アフリカ」をステレオタイプ化した風景や仕掛けが、かえって最新のアトラクションよりアナログ的な「味」があり好きでした。
アフリカ館は、独特な雰囲気や臭いみたいなものがありとしまえんの中でも「異空間」でした。
その異空間を入口から出口まで、ドアツードアで労せず乗り物に身を任せて楽しめるのも魅力でした。
そんなアフリカ館も新聞の記事によると1969年当時、3億円掛けて作られたとあり、それだけに巨大な施設や凝った仕掛けを維持するのが大変でなくなってしまったのかと思いました。
私の記憶遺産
としまえんは、いつでも行ける、あるのが当たり前みたいな遊園地で、なくなってみると身近な人が亡くってしまったような「喪失感」があります。
芋の子を洗うような人でごった返したプール、冬以外は、何列も出来る乗り物までの行列、園内を埋め尽くす花火を見る人達…乗り物も一番、充実していて、としまえんの全盛期は、私が通い詰めた1970年代、80年代だっかなあと思います。
園内は、ディズニーランドのように広過ぎず、大混雑もないので沢山の乗り物を楽しめ、ファミリー向けの乗り物も多く春や桜、夏は、紫陽花に緑もあり都会のオアシスのような存在で幅広い年齢層に愛されていました。
私の60年近い思い出が詰まったとしまえんは、思い起こす度に暖かくも懐かしい気持ちになれるいわば私の「記憶遺産」みたいな遊園地なのです。