『2gether the series』 の感想の続きです。
元祖BLものに親しんだ私が、ハマったタイの「BLドラマ」『2gether the series』その1
ここから、ネタばれ注意!
普通に見れる
『2gether the series』は、TineとSarawatの二人の主人公を中心に複数の男性同士の「恋愛」を描いています。
男性同士の恋愛といっても、擦れ違ったり、嫉妬したり誰もが経験のある普通の男女の恋愛模様と何ら変わらないので普通に見ることが出来ます。
「どうして、こんなにも苦しくて、こんなにもうまくいかないのか」
ピュアな二人だから応援したくなります。
「眠るとき、目を閉じる最後にお前が見たい。そして、目が覚めたら一番最初に、お前に会いたいんだ。」という歯の浮いたセリフも王道ラブストーリーのようで女性の私でもキュンとします。
二人が、結ばれるのが10話なので、それまで付き合っていないのにお互いの擦れ違いで嫉妬をして、拗ねたり、困らせてなかなか進展しないので視聴者をじらせます。
長く待たせて、目出度くカップルになっても誤解があって苦しむことになります。
人を愛して、その相手に好きになってもらいたいがためにしてしまうことや失敗すること、恋愛は一筋縄でいかないののだという「恋愛エッセンス」がこの作品に詰まっているので、男女関係なく共感出来るかと思います。
また、二人の恋愛を見守り、背中を押す男友達や学校や部活での人間模様も普通の学園ものとして見ることが出来るので、BLものだからという特別な構えは必要ないです。
若者らしい唐突な行動が多いのも微笑ましいです。
コミカルだったり、シリアスだったり飽きない演出やテンポのいい展開で進むので、誰でもすぐにこのドラマに引き寄せられると思います。
ビジュアルがいい
まず、180cm越えの主人公二人が、イケメン中の美男(イケメン)です。
特にナイーブで憂いがあり、一途に相手を思うSarawatは、岡田准一をベースに織田裕二、瀬戸康史、薬丸裕英を足して人数分で(?)割り、全体的に福山雅治のような雰囲気でまとめた…。
(何だか、分からないけど)
要するに超美形で、立っているだけでも絵になるのです。
おまけに擦れ違うときに甘い香りがしてきそうで、限りなく妄想が膨らみます。
Wikipediaによると小学生のときに喧嘩して作った上唇の左側と右眉(額にもあるそうです)にあるお顔の傷さえも思わず指でなぞりたくなるほどです。
私にとって、BLの美少年というと元祖腐女子の友人に誘われて観に行ったルキノ・ヴィスコンティ監督の映画『ベニスに死す』のギリシァ彫刻のような芸術品・ビョルン・アンドレセンだったけどSarawatも負けていません。
一方のTineは、素直で誰からも愛される美青年で、親しみやすい笑顔が可愛いらしいです。
(子どもは似てないと言うけれど…ちょと、嵐の松本潤に似てるかな)
二人とも超がつくほどイケメンだけど仕種がいちいち愛らしくて、まるでペットのようなのです。
私の年齢だといくら綺麗でも随分年下なので、可愛いという感じですが、彼らと同年代の家の子どももこの二人が、可愛いくてしょうがないのだと言います。
「カッコいいではなくて、可愛いい」ということで
彼女曰く「可愛いいというのは、カッコいいことが基本にあり、それに加えて可愛い」ということらしいのです。
オタクの間で、「萌え」と言うのだそうだ。
主人公の二人にも萌えますが、私は、Tineのお兄さんのTypeが、真面目で神経質な雰囲気が禁欲的な僧侶の佇まいでツボでした。
この方も可愛い!
この他の家族や友人達もイケメンや美女が多く、この中に好みのキャラクターを見つけるという楽しみ方もあります。
SNSを意識してか、SNS映えするシーンも多く
長身のTineとSarawatが、小さなソファでハグをしながら眠ったり
好きな音楽を二人で、イヤホンでシェアして聴いたりキュートなシーンを沢山、出してくれます。
Sarawatが、子犬のようにTineの頭をポンポンと撫でたり、嫌がるTineの胸を触ろうとする萌えシーンも何度見ても飽きません。
Tineが、Sarawatに失望して号泣する姿は、雨でずぶ濡れになった子犬(子猫だった?)のように切なくて、思わず抱きしめたくなります。
2度見ると
1度目は、Tine目線で見ていましたが2度目は、Sarawat目線で見ると印象が違うのだと子どもに言われて2回も見てしまいました。
(『イニシエーション・ラブ』乾くるみ著ほどではないけれど、視聴者の期待を裏切る(いい意味で)ちょっとした「どんでん返し」的な要素があります。)
確かにSarawatが、最初からTineを知っていて既に好きだったことを知ってから見ると今まで、ツンツンして素っ気ないと思っていたSarawatが、常にTineを意識しているのだというのが見え隠れします。
初見のときは見逃していたのか、Sarawatが、Tineを好きだという表情を垣間見せたり、Tineに嫉妬していたり、実は、これはTineへの告白だったのだと分かりそれが、新たな発見で嬉しいのです。
SarawatのTineへの「好き」が溢れそうになりながら、わざと突き放すような言葉だったり態度で接していたのだなあと再視聴で納得。
(想いを抑えていたのですね)
自分が思っている以上にSarawatのことを好きになってしまったTineは、どうしていいのか分からなくとまどう様子。
「Sarawatの妻」という親衛隊までいる学校一人気物のSarawatは自分には、相応しくないのではいう自信のなさも見えてきます。
そして、常に直球で、Tineに愛を投げ続けるSarawat。
それに対して、戸惑いながらも徐々にSarawatの思いを受け入れていくTine。
改めて見るとこの二人のやり取りや細やかな表情もドラマに深みを与えてくれます。
自分のために作ってくれたラブソングも、他の子を想って書いたことがあるのなら、その曲はもう特別ではなくなってしまうという失望感も痛いほど分かり、イケメン同士のイチャイチャドラマだけではないのだと思いました。
主役の二人に加えて、脇役達のサイドストーリーにも伏線が張られて、その回収を振り返りながら再視聴するとあのときのあのシーンはそういうことだったのかと感慨深いです。
脇役達も主役に絡んできて、バラバラだったものが1つの方向に集まる過程も予想外の展開(ちょっとしたどんでん返し)
それを知ってから見るとまた、違って見えて面白いのです。
このドラマは、初見と再視聴とで少し印象が変わり、2度見て楽しむことが出来るドラマでもあるのかと思いました。
タイのドラマ
タイのドラマは、初めて見ましたが、当初、慣れなかったのが合いの手のように頻繁に入る「効果音」です。
コミカルなシーンなどで、俳優の動きにつけられた効果音は、日本のドラマではあまりお目に掛からないものなので気になっていました。
でも、慣れてくると物語のテンポにも弾みをつけて小気味よく、今は、癖になってしまいないと寂しいくらいです。
また、劇中で、番組スポンサーの飲み物などの商品がそれと分かるように随所に使われ、それが重要なモチーフになっていることがあります。
(日本では考えられませんが、劇中は、まさにCMだらけです。)
でも、Sarawatからの告白にTineは、スポンサーの飲み物であるペットボトルに「Sarawatには彼氏がいます。名前はTine」と付箋に書いて張りOKの返事をしたり
Tineのファンの子からの差し入れのスポンサーのペットボトルには「彼には、恋人がいる」とSarawatが、書いてけん制したりして恋の駆け引きでの使い方にうまく使っています。
家の子どもは、その飲み物を買って部屋に飾りたいと言っていたのでその手法は、成功しているだと思います。
二人を結び付け、歌詞が気持ちを代弁してくれたり、お互いの気持ちを交換し合うシーンとしてあるバンドの楽曲が使われます。
その回に合った曲を提供するバンド(曲が先にあったのか、ドラマに合った曲を作ったのかは分からないですが)は、タイで実在する人気バンドで、タイの音楽事情やトレンドにも触れることが出来、タイがより身近な国になりました。
また、大学の女子の制服が、日本の高校の制服のようで親近感が沸き、女の子の顔も中華系なのか、日本人の顔に近い子もいてタイのドラマといってもとても入りやすいです。
しぼり菜リズム
『2gether the series』を見て、元祖日本のBLものがタイで成熟して、逆輸入されてきたのだと感慨深いです。
『2gether the series』は、俳優さん達の顔面偏差値も高く、好みのキャラクターが見つかれば、俄然、面白くなること請け合いで、元祖BLものに馴染んだ私達世代にも絶対、受けるのだと思います。
BLというイロモノというより、どちらかというと爽やか路線なので、違和感なく誰でも入りやすい作りなので是非、見て欲しいと思います。