コロナ禍の買いだめ
3月初旬の「一斉休校」では、外出自粛の要請はまだないにも関わらず子どもの昼食用としてのカップ麺や袋麺、パスタの「買いだめ」が起きました。
小池百合子東京都知事が「ロックダウン」を口にした3月下旬には、食品が買えなくなるかもしれないと考えた多くの人が買いだめに走りました。
緊急事態宣言発令前夜、主婦がスーパーに押しかけて、買い物客の長蛇の列が発生し、麺類のみならず、冷凍食品、缶詰にお米や納豆まで、食品という食品が買い占められて棚が空になりました。
トイレットペーパーやティシュペーパーが、一時的に消えマスクや消毒液はその前からすでに手に入らなくなっていました。
マスクを作るためのガーゼの布やゴム紐、挙句の果ては、赤ちゃん用の沐浴用ガーゼがマスクを作るために買い占められて売り切れなんていうことも。
母乳パッド(マスク用?)やお尻拭きまでも手に入らなくなったと乳児のいるお母さんの新聞の投書もありました。
最近では、巣ごもり需要で家でケーキやクッキー、ホットケーキやお好み焼きを焼くことが人気で、「粉もの」が不足してネットでの高額取引が問題になっていました。
海外では、自給自足で、野菜を作ろうと野菜の苗やひよこを育てて、産んだ卵を食用にしようとひよこやそのエサが品薄に、ロシアでは蕎麦の実の買い占めが起きているという記事もありました。
我が家では
小池東京都知事が、ロックダウンという言葉が頻繁に使うようになった4月の上旬、我が家の米がなくなりそうになり
そのタイミングで、米を買いに主人にスーパーに行ってもらったらお米の棚が空っぽで全て売り切れだったということでした。
同じスーパーで、前夜、お米を一人で、5袋もカートに積んでいた女性がいたと主人に聞き、お米が買い占めが起きているだと思いました。
お米がないと困るので、翌日、主人と私でスーパーを数件はしごをするも全て売り切れ。
あちこち歩いて、2kg(700円)の米をやっと購入しました。
以来、お米は、潤沢に供給可能と言われても店頭にないのを目の当たりにすると心配で買ってしまうようになりました。
知人にお米を5kg分けてもらい、ネットや生協の宅配でお米があれば購入して、一時期、3人家族の我が家には30Kg以上のお米があり、これをどう消費しようか悩みの種になってしまいました。
お米の他に、ネットで消毒液やマスク、石鹸、ガーゼなどのコロナ関連商品を探すために終日、時間を費やしたり、強力粉を買うために何度もスーパーに通ったり、パスタや麺類を買うために何軒もお店をはしごしたことがありました。
何故、買いだめをするのか
このような「買いだめ」は、何故起きるのかを私なりに考えてみました。
エンターテインメント要素がある
買いだめ騒動は、「エンターテインメント的な要素」があるので皆が参加する高揚感、買えたときの達成感があるのではないかということです。
1970年台のオイルショックによるトイレットペーパー不足で、母に連れられてスーパーのトイレットペーパーや洗剤や砂糖を買いに出掛けたことがありました。
このときに買い出しの列に並んで、子どもごごろに「高揚感」や「イベント感」があった記憶があります。
オイルショック時にトイレットペーパー(洗剤や砂糖のときもあり)を一人一袋しか買えないところに子どもの私でも(一袋持ってレジに並び)役に立てたという喜びもあり達成感もありました。
特にコロナ禍のような不安感が強いほど「興奮状態」になるので、「蜜」を作りながらもマスクを求める列に並んでしまうのでは、このような高揚感や達成感もあるからではないでしょうか。
不安
コロナの感染拡大での「非日常」の環境で、「不安」が高まるばかりです。
特に自粛前は、これから何が起きるか不安で、その不安な気持ちを埋めるために「安心」の出来る何かを手に入れようとしのではないかと思います。
品薄の恐れのある「特定の商品」を買うことで安心感を得るというのもその1つです。
それを手に入れることで、特に先が見えない場合は、行動する方が落ち着くのだと思います。
マスクの列に並ぶことで、じっと家にいるより努力で成果が得られれば、一時不安を忘れられます。
私は、有名人のコロナ感染死を知ってからは、「マズロー欲求の5段階」のうちの食欲や睡眠欲などの「生理的欲求」の次の「生命を維持したい」「危機を回避したい。安心安全に暮らしたい」という「安全の欲求」が高まりました。
「命」を守るためにマスクや消毒液、ハンドジェルなどを必死で求めるようになりお金を費やしました。
「自己実現欲求」や「承認欲求」の高次の欲求より、「安全の欲求」にお金を費やそうとしていたのです。
その時期は、それらの命を守る商品が手に入りにくいまたは、高額で取引されていたので時間があれば少しでも安い商品があればとネットばかり見て見つけると注文していました。
まずは、身の安全を守りたいという「安全の欲求」が、半ば買いだめのような行動になってしまったのです。
特に次亜塩素酸水、ウオッカ、ポリプロピレン、業務用洗剤など消毒関連商品を買い集めました。
消毒液は、時間が経つと効果が薄れるかもしれないのに買いだめに走ったのは、生命を脅かす不安感があったからだと思います。
この時期は、こういうことを皆がすれば、「市場から商品が、消えてしまう」という「想像力の欠如」と「判断力の低下」もあったような気がします。
生活必需品の中でも代替出来ない
4月にトイレットペーパーやティッシュペーパーがスーパーの棚から消えたように「トイレットペーパー」は、買い占めが起きやす商品です。
マスクや消毒液ののように直接、コロナに関係がないトイレットペーパーやティッシュが何故、買い占められるのか。
それは、トイレットペーパーやティッシュは、生活必需品の中でも「代替出来ないもの」だからです。
食品ならば、例えばお米がないなら麺にするとかパンにするとか他のもので代わりになりますが、トイレットペーパーやティッシュの代わりになるものは思いつきません。
普通の紙をトイレットペーパーやティッシュの代わりに鼻をかんだりトイレでは使うことは出来ませんよね。
トイレットペーパーこそ生活に直結していて、「ないと困る」最たるものだからなくなってしまうと困るものなのです。
だから、店頭から消えそうになれば、例え家に在庫があっても手に入れようとしてしまうのだと思います。
利己的な行動
マスクや消毒液、ハンドソープ、お米にトイレットペーパーが「ない」と思うと必死に手に入れようとします。
私も十分なストックが、あると分かっていてもお米や消毒液など通常より多めに購入してしまいました。
スーパーや食料品店は、営業をすると言っていたのに緊急事態宣言発令前に買い物かご一杯にカップ麺や冷凍食品を詰め込んだ人でごった返していたのは
「食べ物がなくなることはないと思うが、万が一のことを考えるとつい買ってしまう」
「買いだめで、社会がパニックになるのは避けるべきだと思うけど…」
といつもより多めに買うという人がたくさんいたのだと思います。
ある種利己的な行動・過剰な消費が結果として、商品の品薄に拍車を掛けていたのです。
日常食品の品薄感はかなり解消されましたが、続くホットケーキミックスや強力粉の品切れ状態はなかなか改善されませんでした。
私は、週に一度、パンを焼いているので、一時は、強力粉(国産)を求めてコープに通っていました。
が、この時期、手に入らないことが多く、ないと思うとどうしても欲しくなります。
だから、見掛けたときは、2つ3つと余分に購入してしまいました。
自粛時期は、楽しみは「食」しかなかったので、少しこだわりのあるものお腹を満たしたかったというのもあり「過剰消費」になってしまったのです。
デマを信じる
SNSでのデマの拡散で、「デマを信じて、買いだめする人」が一定数いたのだと思います。
そして、「デマを信じて買いだめするであろう人がいるので、警戒して買い急ぐ人」も加わり結果、買いだめする人が増えるという悪循環が生まれました。
「デマによって店頭からなくなる前に、自分も一袋買っておいた方が良いかな…」とその一袋を皆が買うことで棚から商品が消えていくのです。
しぼり菜リズム
買いだめの心理は、刺激を求めて、不安感、利己的な行動、デマを信じるなどあります。
お米やトイレットペーパーは、コロナと無関係と頭で理解しても多くの人が買いだめをするとたちまち買えなくなります。
私も品薄商品を見つけると在庫があるにも関わらずつい買ってしまうことがあります。
逆に一人ひとりが冷静な判断力を持ち不必要な買いだめをしなければ、トイレットペーパーやティシュペーパーの様に早く商品は戻るで、次の教訓に生かせればと思います。
でも、歴史は繰り返すのかな。