アマゾンプライムビデオミュージカル映画傑作2選
これぞミュージカル、『Theミュージカル映画』ともいえる映画2つ(『ヘアスプレーライブ!』、『レ・ミゼラブル』を選んだので巣ごもり中の人、心が疲れてしまった人
タイプが、全然違う映画ですが、是非、この機会に見て下さい。
今回は、『レ・ミゼラブル』です。
アマゾンプライムビデオ「Theミュージカル映画」傑作2選その1『ヘアスプレーライブ!』は、こちら
映画版『レ・ミゼラブル』
(2012年イギリス)
ビクトル・ユゴーの小説が原作『レ・ミゼラブル』のミュージカル版を映画化したものです。
物語は、私にとっての児童向けの『ああ無常』の方で馴染みがあり、「一切れのパンを盗んだ罪で19年間服役したジャン・バルジャン」の印象が強烈でした。
小説の映像化ではないので、原作とはストーリーが少し違います。
ミュージカルのレミゼは、名曲揃いで、好きな歌もたくさんあるのでYouTubeで、レミゼの動画を流して歌だけ聞きながらパソコン作業をすることも多いです。
なので、色々な演者の歌を聞く機会があり比べたりしています。
この映画、セリフがほとんどなくて歌がほとんどの「オペラ」のようで好みが分かれると思います。
セリフがない分、ある程度ストーリーを知っていないと物語に入っていけないかもしれません。
The Confrontation(対決)、Fantine’s Death: Come to Me(ファンティーヌの死)、At the End of the Day(一日の終わりに)、What Have I Done(バルジャンの独白)、One Day More(ワン・デイ・モア)
楽曲の素晴らしさは、ミュージカルの中でも屈指で、数々の名曲を聞けるだけで感動します。
全ての演者が、ライブで歌いながら演じているので息づかいまで歌に入り、一瞬一瞬に魂が込められています。
役者さん達の歌に感情が乗り、歌そのものが「言葉」になっています。
ヒュー・ジャックマンは舞台を上回る演技で、歌も上手く説得力がありました。
マンスーザン・ボイルで有名な「I DREAMED A DREAM(夢やぶれて)」は、アン・ハサウェイが女優ならではの語りかけるようにリアルな感情を表現していていました。
(彼女、歌は、決して上手いわけではないのですが。)
陣地を攻められ絶対絶命の中でもバリケードを張って、旗を掲げ立ち向かって歌う「The People’s Song(民衆の歌)」は
ラスト「Finale」に続き、亡くなったバルジャン、ファンテーヌ、エポニーヌ、リーダーの学生、孤児の少年…が再び天国のバリケードの上に立ち上がり、歌うことで未来へ繋ぐ歌になりました。
注目は、「on my ow」です。
歌唱力が要されるエポニーヌは、私の中では、場の空気を変え、全てを持っていく存在感の島田歌穂が一番だけど、叶わぬ恋の心情を切々と歌い上げるサマンサ・バークスの「on my ow」もよかったです。
「歌姫」対決では、ヒロインのコゼットがかすんでしまったように感じで、この映画ではサマンサ「エポニーヌ」に軍配が上がったようでした。
荘厳で、暗い画面が多いですが映画ならではの壮大なスケールのセットや映像美が生かされてダイナミックな仕上がりになっています。
「無償の愛」「隣人を愛する」「人を許すこと」
キリスト教的倫理観で描かれていますが、この時期に「人が生きる意味」を考えるのには宗教の枠は取り払ってもいいと思いました。
革命や罪など正義のために闘う場面もあり、時代背景や環境に人の価値観によって変わる「正義」や「善悪」というものを問うてみるのもいいと思います。
どうしてもこのようなミュージカル映画は、登場人物の掘り下げが浅くなってしまい「二兎」を追うことは出来なのだと思いました。
NHKのストーリーに重点を置いたドラマ版『レ・ミゼラブル』(イギリスBBC)を観ているからか、ジャベールのきめ細やかな心理描写が少ないので、ジャベールが唐突に死んでしまった感が否めないです。
バルジャンの「愛」かジャベールの「法」か。
相いれない男の人生もこの物語では重要なので、映画ならではの表現方法で描いて欲しかったです。
でも、映画版『レ・ミゼラブル』は、歌に込めた思いが伝わり歌だけでも思い切り泣けるので、ミュージカルを純粋に楽しもうと思って観るのには最高の映画です。
しぼり菜リズム
ポップで前向きになれる『ヘアスプレーライブ!』、生きる意味を問う『レ・ミゼラブル』
ともにタイプは違いますが、「歌」そのものを堪能出来る「theミュージカル映画」ともいうべき映画です。
映画の歌の魅力、いや歌の「魔力」で、是非ともコロナウイルスのストレスを吹き飛ばして下さい。