翔んで埼玉
何を隠そう。いや隠すことなどないのだが私は、「元」埼玉県民。
プラス昔、漫画『パタリロ』を読んで魔夜峰央のファンだったので、魔夜峰央原作の映画『翔んで埼玉』を観て来ました。
埼玉県に10年ほど住んでいたことがある元埼玉県民として期待して観に行ったのですが、まあ普通でした。
もっとゲラゲラ笑うかと思ったのですが、少し前にテレビで観た『カメラを止めるな!』の方が目一杯笑えました。
期待し過ぎたのかなあ。
でも、気を取り直して埼玉県民だったからこそ楽しめた自虐ネタも沢山ありました。
楽しめたローカルネタ
『翔んで埼玉』では、元埼玉県だったから楽しめたネタがありました。
ゲラゲラと笑う感じではなく、クスクスと笑う小ネタです。
私が「ツボ」だったネタをいくつか。
池袋ネタ
東上線沿線に住んでいた私は、「池袋」は欠かせない存在でした。
だから、東武、西武デパート、パルコが夜景に浮かび上がるデフォルメされた池袋の夜景が出てくるあのシーンはツボでした。
子どもの頃、おめかしして行ったのは池袋です。
池袋は、埼玉県民にとってハレの場所。特に池袋の東武デパートは、子どもの頃、キラメキの場所でした。
池袋に行ったときは、周りは都民ばかりだと思っていたので、東京都民のフリをしていました。
でも、映画によると池袋は埼玉の植民地で、埼玉の一部らしいので私のような埼玉県民がいかに多かったことでしょう。
なんとなく予感はしていましたが、「池袋」は、やっぱり「埼玉」だったのかと映画で気付いたのでした。
埼玉県民のソウルフード山田のうどん
埼玉発祥のやじろべえ「山田のうどん」が出てきましたが、この山田のうどんが大好きでした。
私にとって山田のうどんは、小学校の給食の救世主でした。
当時の学校給食は、ご飯などなく、主食はパサパサしたコッペパン中心で給食が苦手でした。
そんな中、時々出る山田のうどんは、最も楽しみな献立でした。
茹でたうどんがビニール袋に入っているいわゆる「ソフト麺」というもので、アルマイトの器に具入りのスープを注いでもらい、その中に自分でビニール袋から麺を出し入れて食べるのです。
これを「先割れスプーン」で食べていました。スープがカレーのときもあり、これがまた、美味しい!
ソフト麺イコール山田のうどんで、給食で一番好きなメニューでした。
そんな楽しみなうどんの献立でしたが、クラス全員分のうどんのスープの入った食缶を給食当番の子が、専用のリフトから教室まで運ぶときにひっくり返してしまうことがありました。
(よくありました)
その日は、汁が極端に少なかったり全くなかったりして、麺だけ食べることもありましたがそれでも美味しかったです。
そんな山田のうどんは、東京に来て初めて埼玉にしかないと知りショックでした。
東京の給食で、山田のうどんがなかったもので
山田のうどんは、埼玉県民の「ソウルフード」だったのですね。
目立たない与野
一時期、プライベートで浦和や大宮、与野に通い詰めていたので「浦和」vs「大宮」の下りが面白かったです。
そして、浦和と大宮が喧嘩している間を「与野」が仲裁しようとして、逆に叱られて「お前は引っ込んでろ」と言われるところもツボでした。
浦和と大宮に挟まれて、ひっそりとした存在の与野らしいと思わず笑ってしまいました。
その他
車の中の菅原家のやり取り最後の「着地」が「春日部」というのが笑いました。
この映画の行きつく先が、春日部だったのか。
と書いていて、地理的な情報や電車の情報など理解していないと笑いが半減してしまうローカルネタなのかと思いました。
関東各県の地理や関係性を知る私は、これらの内輪ネタ、ローカルなギャグが結構、面白かったのです。
埼玉に住んでいたから言える
この映画は、ヒエラルキー的に最下層の埼玉を貶めているだけの映画ではなく、実は「郷土愛」溢れる映画です。
実際、埼玉に住んでみて、地域や時代もありましたが、東京に比べて人情にあつくご近所、隣の家にはテレビを見に行ったり、本を借りに行ってその家でそのまま読んでいたり、家にも頻繁に近所の子ども達が行き来して日常的に遊んでいました。
同じ町内ではどこに誰が住んでいるのか、その人がどんな人なのかほとんど分かり、人間関係が濃密。
埼玉に住んでいた子ども時代は、思い出深くてそれは、楽しかったです。
そして、割と地元愛も強い人が多かったような気もします。
その証拠に同級生のほとんどは、今でも埼玉にそのまま住み続ける埼玉県民です。
結婚後も同じ埼玉県内に住んでいたり、やはり埼玉は住みやすいのですね。
映画のように新婚生活は、春日部というのは案外、正解かもしれません。
子育てをするのにも埼玉は、最高なのです。
しぼり菜リズム
豪華な衣装やセットは、映画ならではでよかったです。
そして男の子の役の二階堂ふみが、可愛かったです。
まさかの千葉県人の母親、麻生久美子の突然キレる演技も楽しかったです。
豪華なキャストやセット、衣装で金が掛かっているのかなあ。
ただ、最後の方の戦闘シーンなどは壮大過ぎて中途半端だったです。
魔夜峰央の世界観を舞台演劇にすれば、また面白かったかもしれません。
「さいままんぞう」の歌が出てきたのに、個人的に小学校でよく歌わされた「埼玉県歌」が使われなかったのが残念。
「おぉーお、おぉーお埼玉、輝くさいた~ま~~」(「おぉーお、おぉーお、さいたま~♪、かがやーくさいた~まー(やはり、臭いたまだったの?)」)