映画『ボヘミアン・ラプソディー』を駆け込みで観てきました。
映画館で観て良かった
やはり映画館に足を運んで観てよかったと思いました。テレビやDVDで観てもその魅力は、半減して面白くないと思います。
最強のカタルシスであり一番の見所でもある「ライブエイド」のド迫力失くしてこの映画の魅力が語れなくなるからです。
映画館の大画面と爆音でのみ、スタジアム級のコンサート会場の臨場感は体験出来ませんから。
1月に観た『アーリースター誕生』と同じく映画館で観るべき映画です。
『アリー/スター誕生』は、映画館で観るべき映画だ。でも、「Shallow」がピークかなあ
映画の醍醐味を味わえるこのライブエイドの20分は、鳥肌物です。何人もの人から聞いていただけあって、やはり映画館で観る価値がありました。
クイーンと私
『ボヘミアンラプソディー』は、ボーカル、フレデー・マーキュリーの物語でもありクイーンの物語でもあります。
50代の私にとってクイーンは、どんな存在だったか。
1970~80年、私の年代はクイーンと時代を共にし、当時をリアルに味わった世代だと思います。スター街道を駆け上がり、フレデイが亡くなるまでの最盛期が、青春時代でした。
私にとってのクイーンは、洋楽を聞くきっかけとなったグループです。中学のクラスメイトにクイーンの大ファンの子がいました。
「フレデー様、ブライアン様…」と口を開くとクイーンの話ばかり。学者、歯科医師もいるインテリグループだから他と違うなどクイーンがどれだけ素敵かよく聞かされていました。
そんな彼女の自慢は、レッド・ツェッペリンやディープ・パープルのアルバムに交じってあったクイーンのアルバムでした。
家に遊びに行くとそのアルバムを聞かせてくれ、今まで聞いたことがないサウンドに彼女が数歩先を歩いているようでした。
中学生当時の私は、レッド・ツェッペリンやディープ・パープルって何?っていう感じで洋楽は少しませた子が聞くものだと思っていました。
彼女に倣って背伸びをしたかった私もラジオにかじりついて、この頃からクイーンの曲を聞くようになりました。
クイーンの曲は、意味も分からない英語の曲だけどディープパープルやレッド・ツェッペリンより敷居が低くて聞ききやすかったです。
中学生の私にもクイーンのサウンは他のハードロックより耳に馴染みやすく心にスーッと入っていきました。
同級生に影響されたクイーンが入口になって、洋楽をよく聞くようになりました。
10代半からは、私にとって音楽と言えば「洋楽」で、他局よりチューニングが少し難しいラジオ関東の『アメリカントップ40』を毎週ラジオで聞いて気に入った曲があれば和訳などもしていました。
クイーンは、ときどき買っていた『ミュージックライフ』にもよく取り上げられていました。
ビジュアル的にも足が長くて、フリルの衣装、長髪の姿は、まるで、少女漫画の王子様。なのに危険な香りもする。おまけに歌も上手。
何から何までかっこよくて、当時の日本の女の子達に受けするのも当然という感じでした。
メンバーも日本びいきで、親日派。(フレデイが、映画の中でも着物のようなガウンを身に着けていました。)
日本の女の子達が世界に先駆けてブームに火をつけた感じもあり、より親しみやすさを感じていました。
フレディ・マーキュリーの孤独
『ボヘミアンラプソディー』では、フレデイ・マーキュリーの「孤独」にもスポットを当てていました。
父との関係性、酷評、メンバーとの軋轢、仕事仲間の裏切り、恋人との別れ、セクシャリティや病魔の苦悩。
スターなのに孤独や苦悩を抱えている様子が、描かれていました。
当時は、ネットがなかったので発売日を心待ちにしていた雑誌には華やかな表舞台の記事しか載っていませんでした。当然、フレデイの苦悩など知る故もありませんでした。
後にHIVで亡くなったことを知り、驚きとともに「エイズイコール死」であった当時は、死への恐怖や病気に対する偏見など大変だったのだろうと初めて光の当たらない部分を知りました。
この映画はフレデイの「栄光と苦悩」を描いた映画ですが、あまり掘り下げて細やかな心情や内面を描き過ぎるとエンタメ性が失われてしまいます。
なので、この辺りは深入りし過ぎずバランスよく描かれていたのがよかったです。
歌の部分は、どれもいい
もう一つの主人公が、クイーンの「音楽」です。この映画のよさは、何と言ってもクイーンの音楽です。歌で聞かせる映画と言ってもいいでしょう。
名曲が出来るまでのエピソードが楽しく、曲作りの妥協を許さないある種の潔癖さも豊かな音楽性の根源になっていると思いました。
「伝説のチャンピオン」「ボヘミアン・ラプソディー」など「殿堂入り」級の曲を歌うシーンは、どれも痺れます。
ライブでの観客をどんどん巻き込んでいくフレディ・マーキュリーのパフォーマンスや個性的なファションやも絵になっています。
この映画がヒットしたのはクイーンの歌が懐かしいだけでなく、いつの時代でも色褪せない永遠のものだからではないでしょうか。
映画館を出ても頭の中で伝説のチャンピオンやボヘミアン・ラプソディーが、何度もリフレインして知らずに口づさんでいました。
しぼり菜リズム
歌以外のストーリーは、ややベタながら、短いショットの積み重ねでテンポがよくキレのあるカメラワークで飽きることはありませんでした。途中、トイレに立ってしまいその部分を見れなかったのが残念です。
1つ気になったのが、フレデイを演じたマレックの口元です。フレデイの出っ歯を強調し過ぎて、口元ばかり気になりました。
物真似グランプリではないのだから、そこまでデフォルメして似せなくてもいいと思いましたが。