脳梗塞は、早期発見が重要
脳の血管が詰まり、麻痺や寝たきりの原因になるのが「脳梗塞」です。
今年5月に亡くなった歌手の西城秀樹さんやタレントの磯野貴理子さんが、脳梗塞に襲われました。
日本で寝たきりの原因の1位は、「脳卒中」(主に脳出血、くも膜下出血、脳梗塞)です。その中でも脳梗塞の占める割合は、7割を占めます。
脳梗塞は、脳の血管に血の塊である「血栓」が詰まる病気です。
脳の血管が詰まることで、酸素や栄養が届かなくなり脳細胞が壊死(えし)して、手足の麻痺や言語障害などさまざまな症状が出ます。
脳梗塞は、「早期」に発見出来れば、命を落とすことなく後遺症も軽くなります。そのためには、脳梗塞の「症状」や「前兆」を見逃さないことが大切です。
脳梗塞発症後24時間は、進行が早く障害を起こしている範囲が急速に広がることがあります。
発症2時間では脳の障害を受けている範囲は小さいですが、24時間後は9倍近く広がることもあるのです。
脳細胞が、壊死してしまうと元に戻りません。そのためには、症状を早く見つけて、早期の適切な治療で脳への障害を最小限に抑えることが重要なのです。
脳梗塞は、高齢者に多い病気ですが、西城秀樹さん(40代、50代の2度)磯野貴理子さん(50代)と若くても発症するので、私の世代でも決して他人事ではないのです。
FASTチェック
脳梗塞で亡くなったり、重症化して寝たきりにならないためには「早期発見」することが重要になります。
脳梗塞の代表的な症状は、「言語障害」や体の片側の「麻痺」や痺れです。他には、目まいやふらつき、視覚の異常があります。
脳梗塞で現れやすい特徴的な「サイン」があり、これを覚えておくと早期発見につながります。
それが、「FAST」というものです。
FASTとは、「Face(顔)」、「Arm(腕)」、「Speech(言葉)」、「Time(時間)」のかしら文字を取った略語で、この4つの項目の症状を覚えておくと自己判断に役立ちます。
脳梗塞の治療は、一刻を争います。
時間が経てば経つほど後遺症も重くなるので、これによりその後の人生の明暗を分けてしまいます。自分や大切な人のためにもこのFASTを是非、覚えておきましょう。
F ――Face顔の麻痺
片側の麻痺が起きると顔の表情が歪んだり、左右が違って見えます。
A――Arm(腕)
両腕を前に伸ばすと片方だけ掌が内側に向いて腕が、下がってきます。
S――Speech(言葉)
ろれつが回らなったり、言葉が出なくなり話が出来なくなります。「今、何時ですか」など短い文章が言えなくなります。
T――Time(時間)
顔、腕、言葉の3つのうち1つでもサインが出たら、Time「時刻」を確認してすぐに(1秒でも早く)「救急車」を呼びます。
この中の「FAS」は、脳梗塞の警告ともいえる3つのサインですので、これを見逃さないことが早期発見につながります。
早期治療へ
脳梗塞の「治療」は、一刻を争います。3つの症状のサインが1つでもあれば発症時刻を確認してすぐに救急車(119番)を呼びます。
脳神経内科、外科など専門医のいる医療機関に搬送してもらい適切な診断と治療をしてもらいます。救急車が来るまでに行うことは、以下のことです。
- 意識がある場合は、吐いたもので気道が塞がれないようその場で横になります。
- 体の片側に麻痺があれば、麻痺側を上にして寝かせます。
- 呼吸がしやすいように衣服を緩めます。
救急搬送される場合に救急隊員には、病状を的確に伝えることが重要です。
「突然、言葉が出なくなった」「嘔吐した」など病状を具体的に伝えることで脳梗塞と分かり、専門の救急対応してくれる病院に搬送してくれます。
「体調がよくないそう」「いつもと違う感じ」など曖昧な表現だと脳梗塞とは認識せず、救急隊員の判断を遅らせることになりかねません。
そして、救急隊員に伝えたり用意するものは以下のものです。
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脳梗塞に治療は、治療が行えるかどうかに時間的な制約があります。
詰まった血栓を溶かす「t-PA」という薬は発症から4.5時間以内しか使えません。それを超えると脳出血の副作用があるからです。
そのため発症した時刻を確認し救急隊員や医師に伝えることが重要なのです。
軽い症状でも注意
もう一つ脳梗塞で注意しなくてはならないのは、「軽い症状」をやり過ごしてしまうことです。
寝ているときに軽い症状が現れれば、朝まで様子を見ようとします。しかし、それで命を落としたり重い後遺症が残っていますことがあるで迷わず救急車を呼ぶようにします。
脳梗塞の症状が出ても短い時間で消えてしまうこともあります。
24時間以内に症状が消える脳梗塞の「前触れ」と知られる「一過性脳虚血発作(TIA)」です。
これは、脳の血管に詰まった血栓が、短時間に溶けて血流が再開したために症状が消えるのです。
しかしTIA発生直後ほど、脳梗塞が続発する危険性が高く、治療しないと3カ月以内に脳梗塞が起こる確率が15%程度あります。
このようにTIAは、前兆として重要なだけでなく、症状が消えたからと安心せず早期に治療を受ける必要があります。
しぼり菜リズム
「脳梗塞」の治療は医療技術だけではなく「時間」との勝負という側面があります。
そのために脳梗塞の予兆やサインを見逃さず、早い段階で治療をすれば後遺症を残すことなく完治させることも可能なのです。
そのためには、日頃から脳梗塞の知識を身に付けたり、情報を家族で共有ることが大切です。
50代の私でもいつ発症するかもしれず、決して無縁ではないのです。
とにもかくにも、「FAST」チェックで、脳梗塞の症状が疑われたら1秒でも早く救急車を呼びましょう!!