偶然、いい病院だった!
急性期病院での治療が終わり、リハビリが必要な場合は、回復期リハビリテーション病院(以下、回復期リハ病院)に転院します。
父が、脳腫瘍の手術をした急性期病院で、示された転院先の回復期リハ病院は3つでした。
その中から以前、入院していた。私や母が行きやすく、駅から近い。全室、差額ベット代を取らない。という理由で現在の病院を選びました。
回復期に転院出来る期限も迫り、時間がなかったので他の病院は探さず、見学にも行きませんでした。
特に探して選んだ訳でもなかったのですが、父の場合、少ない選択肢から選んだ回復期リハ病院がたまたまとても「いい病院」だったのです。
まずは、現在入院している回復期リハ病院のよかったところをつらつらと書きました。
そして、次は回復期リハ病院探しだという方がいましたら、病院探しの参考になればと思いました。
どこがよかったのか
家族のリハビリの目標に到達するように行ってくれる
回復期リハ病院では、リハビリを行う際にリハビリの目標を設定しますが、この病院では、家族の希望をよく聞いてくれます。
例えば、嚥下障害があり、絶食を強いられていた父ですが「紅茶」が飲みたいと入院した頃よく言っていました。
それを伝えると、口腔ケアや痰の吸引をやり、ダージリングのティーパックで紅茶を作り早速、STがとろみをつけて飲ませてくれました。
そのお陰で、父は、3か月ぶりの紅茶に舌鼓を打つことが出来ました。次は、固形のものを食べたいという父の願いを受け入れてくれ、ゼリーを食べました。
毎日、甘いゼリーばかりでは飽きたというので、甘くない「おかず」のようなものを食べたいとSTに伝えるとすぐに「お楽しみ」程度ですが、お昼に惣菜を加えて出してくれました。
そのときに重症の嚥下障害の人でも安全に食事が出来る「完全側臥位法」(横に寝て食べる方法)という方法をやってくれました。
完全側臥位法は、たまたま私が、ある新聞の記事で見て、重症の嚥下障害のある人でも「食べる」ことが可能というものでした。
興味を持ちその方法を考案して実践している福村直樹医師のいる病院に問い合わせをしたら、父の主治医が、福村先生の研修に参加して知っているとうことでした。
STを通して、完全側臥位法での食事介助を頼んだらすぐにやってくれたのです。
たまたま選んだ病院で、この特殊な方法でやっていたというのは偶然というか、とてもラッキーでした。この方法でなければ、父は食べられないからです。
「お楽しみ程度」ですが、ゼリー食から始めて、「刻み食」も食べられるようになり食事のバリエーションが大幅に増えました。
先日もきゅうりの酢の物、かぼちゃの煮物、鶏のそぼろ煮をミキサーに掛けたもの、ヨーグルトなどを食べていました。きゅうりの酢の物が、さっぱりして美味しかったようです。
この病院には、お酒の好きな患者もいて、本人の希望で(院内は、アルコールは禁止なので)ノンアルコールビールにとろみをつけて飲みビールの味を楽しんでいるそうです。
このように父の場合は、「食べる」ことに重点を置いてもらうように頼みました。それに対して、職員がきちんと答えてくれ、本人の願いも叶えてくれたのです。
リハビリの効果が出た
この病院に入院している間に、父は、リハビリの効果がよく出ました。父の場合は、こんな感じです。
- 痰の吸引が減り、自分でも痰が出せるようになった。
- 車椅子に部分介助で、移乗出来るようになった。 車椅子に移乗するときの起き上がりや要所要所で手を添えたりしますが、自力で行える動作が入院時より格段に多くなった。
- 右手が、以前のように動くようにり、自分で手の爪も切れるようになった。
- 口から、食べられるようになった。
職員が、よく話を聞いてくれる
この病院では、リハビリの希望だけではなく、職員が患者や家族の話をよく聞いてくれます。コミュニケーションもよく取ってくれます。
父の病室は浴室の近くで、入浴のとき、介護士が患者の出身地や家族のことなど話し掛けているのが聞こえて来ます。
父も出身地の大曲(秋田県)の花火の話などで盛り上がっていました。4月に入った新人看護師も、積極的に父や家族に話し掛けてくれました。
患者や家族とコミュニケーションを取るように教育が行き届いているのでしょう。
在宅介護の相談を看護師としていたとき、その看護師に電話が入り話が中断してしまったときも、それを見ていた他の看護師がすぐに来て対応してくれました。その行動は、とても自然な感じでした。
分からないことや迷っているとき、看護師やST、OT、PTが声を掛けてくれることがあります。こちらから悩みや相談、質問をすれば、親身に話を聞いてくれ分かりやすく説明をしてくれます。
特に接する機会の多いST、OT、PTは、誰もが親切でとても気持ちがいいです。
連携が取れている
この病院は、多職種が連携して「チーム医療」を行っている病院ですが、職種を超えた連携がうまくいっていました。
看護師や療法士など一人のスタッフに要望や要件を伝えると、翌日には、他のスタッフも皆そのことを知っていていました。
認知症の患者に配慮
「認知症」の患者も入院していますが、歩ける場合は病棟内を徘徊し自分のベットに戻れなくなる人もいるようです。
そのため、病室の入口に大きく「○○様(患者の名前)の部屋」と名前を書いた紙を張って本人に分かりやすいような配慮していました。
認知症の患者には、擦れ違う全ての職員が必ず声掛けをしていました。
清掃が、行き届いている
院内は、清掃が行き届いていました。私は、父の見舞いに行くとトイレを必ず使いますが、どこも綺麗です。
水回り全般が綺麗で、手拭きペーパーも常備され切れていたことがありません。ベットの脇にあるゴミ箱のゴミも溜まったままということがありません。
ビニール袋やティッシュなど病院で用意してくれる消耗品も、切れていることはありませんでした。また、受付や病室の入口に消毒薬が備え付けてあり、感染症などに気を配っています。
実習生を受け入れている
この病院では、医学生、看護学生やST、PT、OTを目指す学生に門戸を開き実習生を受け入れています。高校生の職場体験も行っています。
看護師やリハビリ職員に学生がついて、仕事を教わっている姿をよく見掛けます。きっと「教育体制」が整っているだと思います。父の担当のSTもこの病院で、実習をしたそうです。
その他
この病院は、ナースステーションに活気があり看護師がテキパキと動いていました。廊下で職員とすれ違うと皆、向こうから元気に挨拶をしてくれます。
一人暮らしの人は、自分で生活出来るように商店街に買い物に一緒に行くというリハビリまでやっていました。
リハビリ、入浴や面談の時間や担当者の名前が毎日、書かれていて患者(ベットからも見える)や家族が、一目で1日の予定が分かるようになっています。
インフルエンザが流行している時期は、インフルエンザ対策として、面会に訪れる人にマスクを付けるよう義務付けています。(マスクがない人は、自販機がある)患者に感染しないような配慮がですね。
「家族指導」と称して、在宅で、患者の家族が介護が必要な場合は、食事介助、オムツの交換、車椅子移乗、痰の吸引、経鼻栄養のやり方などを教えてくれ、私も食事介助の仕方など教わっています。
回復期リハで、いい病院の見分け方
偶然、このように父は、いい病院に巡り合うことができました。この病院に4か月以上通って、いい病院とはどんな病院なのかを見極めるポイントみないなものが見えてきました。
私のように定期的に病院に通わなければ、実情は、分かり難いでしょう。一度見学しただけでは、その病院がいいかどうかは分からないと思います。
ただ、チェックするポイントがあるとすれば、以下のような感じかと思います。
行うリハビリの量を知る
回復期のリハビリテーションは、理学療法、作業療法、言語療法を、1日最大でそれぞれ3単位(1単位20分)、合計で9単位まで受けることが出来ます。
父が入院した病院は、リハビリが手厚く、総入院日目数における1日当たりリハビリ実施量は5.3単位(1単位20分)でした。私が、昼食時に行くとSTのリハビリが1時間以上行われることもありました。
入院中、行うことが出来るリハビリの量がどのくらいか、教えてもらうといいです。
リハビリスタッフの人数を確認
父の入院した病院では、55病床数に対して、STの人数が7人と多く「嚥下」のリハビリを徹底してやってもらうことが出来ました。
望んでいるリハビリに対するスタッフの人数が、どのくらいかをチェックするといいです。
ナースセンターを見て活気があるか
院内で、職員が挨拶をしてくれるか
リハビリの現場はどうか
リハビリの様子を見学させてもらえる場合は、実際、自分の目で見ておいた方がいいです。
回復期リハ病棟では、医師よりもST、PT,OTなどのリハビリの職員と接する機会が多く、入院生活でこの方達が患者の拠りどころになります。
信頼関係が出来れば、強い絆も生まれ、父のようにリハビリの成果も上がります。このリハビリの職員の対応(患者の接し方、きめ細やかさ)や雰囲気などを是非、観察しておくことをお勧めします。
ソーシャルワーカーの対応がいいか
入院相談や面談はほとんどその病院の相談員であるソーシャルワーカーが、行うことが多いと思います。
病院の窓口的な役割を果たすソーシャルワーカーの対応も重要です。その人がどんな人か、説明が分かりやすく的確か。こちらの質問にも丁寧に答えてくれるか。などチェックしておくといいです。
入院中の費用や退院後の行き先など何かと相談することが多いのが、ソーシャルワーカーだからです。その相談にどれだけ、親身になってくれるかということです。
しかし私が、この病院で、唯一不満なのはソーシャルワーカーの対応です。
私が、父の退院後の行き先について難題(面談希望の病院をたくさん出すなど)を突き付けることが多いので、これまでにしてくれ(これ以上、面談希望の病院を探すな)と釘を刺されてしまいました。
まあこれは、ソーシャルワーカーはとても忙しく、一人の患者に対して多く関われないということだと思います。
この辺りは、相性もあるので(母は、お気に入りでした)、相談しやすいかなど面談のときによく見極めるといいと思います。
院内が、清潔であるか。
院内が清潔であれば、快適な入院生活が出来ます。
掃除が行き届いていれば、衛生面の意識も高く、その他の面でも細かい配慮がされているのだと思われます。
清掃面とともに消毒薬など備え付けてあるかなどもチェックするといいでしょう。
しぼり菜リズム
医師や看護師の評判も重要ですが、回復期リハビリテーション病院の場合は、医師よりも接する機会の多いST、PT、OTなどのリハビリ職員が入院生活の「切り札」となります。
病院見学に行く際は、リハビリ関係の職員の様子は是非、チェックすることをお勧めします。