差額ベット料を請求され困った
本人や家族が、病院に入院したときに高額な「差額ベット料」を請求されて、困った経験がある方はいませんか。
父も数年前、病院に入院したときに、大部屋が満床と言われ、やむなく個室に入り高額な差額ベット料を請求されました。
領収書を見て、まるで高級ホテルに連泊しているような金額にビックリしました。
差額ベット料とは、保険のきかない医療費(部屋代)です。
個人の希望により個室など特別な病室を利用すると、大部屋の入院料との差額が全額自己負担になるのが「差額ベット料」です。
個室の場合は、1日平均7,797円です。高いところは、約38万円でリゾートホテルの豪華スイートルーム並みです。
大部屋がいっぱいという理由で、差額ベット料は請求出来ないと明記
この差額ベット料に関して厚生労働省は、2018年の診療報酬改定に伴い、差額ベット料の新たな「通知」を出しました。(保 医 発 0 3 0 5 第 6 号 平 成 3 0 年 3 月 5 日)
通知は、「患者に特別療養環境室に係わる特別の料金(差額ベット料)を求めてはならない場合」として3つあげています。
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その中の⓷で初めて、「特別療養環境室以外の病室の病床が満床であるため、特別療養環境室に入院させた患者」は差額ベット料を請求出来ないと明記されたのです。
「特別療養環境室」とは、差額ベット代の必要な部屋のことです。
つまり
「大部屋がいっぱい」という理由では、差額ベット料を請求出来ない |
とするものです。
病院が差額ベット料を請求出来るのは、患者がそのベットを希望した場合です。事前に内容を説明し、「同意書」による同意の確認がないと請求が出来ません。
治療上の必要とは関係なく「空きベットがない」という病院の都合だけでは、差額ベット料を請求出来ません。
差額ベットの徴収は「患者の自由な選択と同意」なしではあり得ないのです。
父のように空きベットがないからという理由で、やむを得ず個室に入院して膨大な医療費が掛かってしまったという人は多いと思います。
このように患者の意に反して、「差額ベットの掛かる部屋に入院させられることのないようにしなければならない」と厚労省の今回の「通知」に明記されたのです。
サインしてしまった、支払ってしまった場合は
ただ、緊急入院して個室しか空いていないと言われ、一刻も早く治療を受けさせたくて同意書にサインしてしまい、その後差額ベット料の掛からない部屋にして欲しいと頼んだが応じなかった。
十分な説明が、ないまま同意書にサインさせられたなど納得しないまま高額な差額ベット料を支払ってしまった場合があります。
そんなときは、支払わなくてもいい場合や返金されることもあります。病院の対応に納得出来ない場合は、諦めずに次の方法を行ってみて下さい。
①地方厚生局に相談する。
【相談窓口 電話番号】
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地方厚生局は、地域の保健医療機関への指導、監督を行っています。(厚労省の通知は、地方厚生局医療課長当てにも出しています)
都道府県でも、差額ベット料の「相談窓口」を設けているところもあります。
②厚生労働省の「通知」をWEBから印刷して病院に持って行き交渉する。
- 保 医 発 0 3 0 5 第 6 号 平 成 3 0 年 3 月 5 日(16ページ(8)病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選 択によらない場合 例)特別療養環境室以外の病室の病床が満床であるため、特別療養環境室に入院させた患 者の場合)
これでも必ず返金に応じてくれたり、支払いがなくなる訳ではないので、支払う意思がない場合は、最初から「同意書」にサインしないことが一番です。
これだけは、知っておきたい3つのこと
差額ベットの掛かる部屋を希望しない場合のポイントとして、3つのことを押さえておくといいでしょう。
①同意書があると請求されることもあるので、分からなければ、その場で署名しないで、書類を一度家に持ち帰るなどして判断を保留するといいです。希望しないときは、病院と話し合いをする。
②「大部屋が空いていない」という理由では、請求出来ない。
⓷個室に入ってと言われたら、「治療上必要か」とたずねる。治療上必要であれば、差額ベット料は掛かりません。
差額ベット料がない病院がある
差額ベット代で、病院とトラブルになるのは嫌だという方は、差額ベッド代を請求しない医療機関があるので、そこを選ぶ方法もあります。
それは、日本共産党の支持団体である「全日本民主医療機関連合会」(民医連)に所属している医療機関です。
民医連の病院であれば、どの部屋も差額ベット代が掛かりません。
父は、現在、民医連の病院に入院していますが、特に共産党の機関紙「赤旗」購読の勧誘や政治的コンタクトはなく、普通の病院と変わりありません。
しぼり菜リズム
父が入院した急性期病院では、最初の数日間、4人部屋に入り2,000円程度の差額ベット料を取られました。
入院前に説明を聞いて母と相談して同意しましたが、病院側の有無を言わさぬ空気に短い期間ならと同意した感じです。
ただ、同時に差額ベット料の掛からない部屋でと釘を刺していたので、2,3日その部屋にいただけでそれ以降は、差額ベット料は掛かりませんでした。
もっとも父の場合は、「治療上必要」があり差額ベット料が掛からないICUに入院していた期間が単に長かっただけなのですが。
なので、次の病院を考えるときには全部屋「差額ベット料」がない病院を選びました。
病院によっては、差額ベット料のある部屋に入れようとする所もあるので、そういう病院かどうか事前に評判など聞くといいと思います。
参考文献:『しんぶん赤旗 日曜版 2018年5月20日号』