(写真:中心静脈栄養)
回復期リハビリテーションに入院中の父の栄養摂取方法が、「中心静脈栄養」から「経鼻栄養」になりました。
経鼻栄養を試験的に行って、以前のように気分が悪くなったり、下痢をすることがなくなったので、感染症のリスクが高い中心静脈栄養を止めることにしました。
【中心静脈栄養】で、「敗血症」になった父。経鼻栄養にうまく、移行出来るといいのだけれど…
父が、経鼻栄養になったことで、退院後の受け入れ先が変わりました。その受け入れ先について、ソーシャルワーカーに聞いたり、直接病院や施設に聞いたりして調べたことを書きました。
中心静脈栄養から経鼻栄養になり変わった受け入れ先
回復期を退院した後の受け入れ先が、経鼻栄養になったことで変わりました。
中心静脈栄養のときの受け入れ先は、①在宅②有料老人ホーム⓷医療療養病棟でした。
それが、経鼻栄養になったことで①在宅②限定的に医療療養病棟⓷有料老人ホーム④特別養護老人ホームになり、⑤ショートステイも使うことが可能になりました。
ということで、栄養の摂取の方法が、中心静脈栄養から経鼻栄養になったことで退院後の受け入れ先の選択肢が増えました。
それぞれの受け入れ先の特徴
経鼻栄養の父の場合の在宅以外の受け入れ先の情報をソーシャルワーカーや病院、施設に直接聞いたことです。
医療療養病棟
医療療養病棟は、急性期の治療が終わって病状が安定していて、これ以上治療は必要ないけれども、医療的な配慮を必要とする(療養)人を対象とする「慢性期」の病棟です。
療養病棟は、極端にいえば「治療」を目的とした医療機関でありません。医療療養病棟は、急性期、回復期と違い慢性期病棟なので入院期限はありません。
病院のソーシャルワーカーの話では、医療療養病棟は「医療区分」が2か3の人が入りやすいですということでした。
中心静脈栄養は、医療区分が「3」になります。経鼻栄養は、医療区分「1」になり病院によっては受け入れてくれません。
裏事情として、区分2,3のような病状が重い人は、入院基本料が高くなるので、医療区分2,3より軽い区分1の人が入ると診療報酬が低く病院が赤字になってしまいます。
父のような経鼻栄養の区分1の患者が入れる療養病棟もありますが、差額ベット代のある部屋にしか入れない所もあります。
診療報酬が、低い代わりに差額ベットでお金を取るということです。
そして、療養病棟だと積極的なリハビリはやってくれません。「拘縮」予防の程度のリハビリです。
病院によっては、ST(言語聴覚士)やOT(作業療法士)、PT(理学療法士)のいる病院もいますが人数が少ない病院が多いです。
主治医の話では、現在の回復期病棟よりリハビリの単位が、極端に少なくなるので、寝たきり状態になってしまうことが多いそうです。
ソーシャルワーカーに聞いたりネットで調べて、医療区分1でも受け入れてくれる6つの医療療養病棟のある病院に電話して聞いてみました。
①A病院
実家から比較的近く、STがいて、リハビリ週5,6回してくれる病院ですが、差額ベット代(一番安い部屋)、医療費、食費、オムツ代、衣服レンタル代で、月34万円掛かる。
②私の住んでいる区内のB病院
空いている部屋から入れるが、差額ベットのある部屋になる可能性がある。STはいるが、現在、育休中で不在。高額な薬を使っている場合は、入れない。
⓷都内のC病院
STはいるが、リハビリは積極的にやっていない(13単位以内)。長期間入院している患者多いため空きがなく、待機していても差額ベットのない部屋だと入るのが、難しい。
④多摩地区のC病院
父の場合、医療療養病棟には該当しないが「介護療養病棟」だと入れる。
リハビリは、予防が主な目的で、OT、PT、ST合わせて週2,3回(20~40分)になるそうです。この病院では、「お楽しみ」(「お楽しみレベル」で、栄養摂取に入れない)で、ゼリー食も食べさせてくれるということです。
介護療養病棟は、「介護保険」の適用となるので「介護サービス費」が掛かります。介護サービス費は、要介護度が高くなると高額になります。
医療費、食費、衣服レンタル代、オムツ代、居住費、介護サービス費で、父の場合月26万円くらいです。
⑤実家の最寄り駅から電車1本で行ける隣県のD病院(駅から徒歩5分)
差額ベット代の掛からない4人部屋がある。OT、PTはいる。STはいないが医師の判断で、家族が食事介助出来る。費用は、医療費、衣類リース代、オムツ代で17~18万円くらい。リハビリも1単位200円でやってくれる。
もう一つの病院は、リハビリを全くやっていない病院でした。
医療療養病棟は、直接こちらから申し込むのではなく現在入院しているソーシャルワーカーを通して申し込みます。
医師の「紹介状」で、現在の病状を把握して、それを判定会議にかけて入院出来るかどうか医師の判断で決めるそうです。
受け入れが、可能であれば家族と面談してベットが空き次第入院します。
病院にもよりますが、事前に連絡すれば申し込む前でも見学は可能ということです。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム(以下特養)で、経鼻栄養でも入所できる施設があります。中心静脈栄養では、入所出来る施設はありません。
地域包括支援センターで、経鼻栄養でも可能な区内の施設を教えてもらいました。経鼻栄養可能な施設が、4か所ありました。
しかし、直接、施設に電話して聞いてみると施設の事情で現在、経鼻栄養をやっていない所があり、結局3か所しかありませんでした。
問題は、特養の場合は、看護師が日中しかいないことです。
父は、経鼻栄養の時間長く1回、2,5~3時間を1日2回やるので、24時間看護師がいる施設でないと難しいのではないかということでした。
ただ、1つの施設では、施設と提携している病院に口腔外科があり、のみ込み(嚥下)の状況を見てくれるというところがありました。摂食機能の低下している人には、いいと思いました。
電話で待機人数を教えてくれた施設では、200名の待機者がいると言われました。ただし、他の施設にすでに入所している人もいるので、キャンセルもあり実質はそれより少ない人数だそうです。
特養を希望する場合は、ダメもとでも申し込みはしておいた方がいいと言っていました。(特養の入居申し込みは並行して何軒でも出来ます)
痰の吸引や経管栄養が必要となると特養の入所には不利になります。
痰の吸引は、介護職でも出来るように制度が改善されつつあるとはいえ、医療行為なので看護師の体制が追い付かないのが現状です。
まったく受け入れされない訳ではありませんが、施設ごとである程度の枠を決めているという印象を持ちました。
有料老人ホーム
有料老人ホームも中心静脈栄養や経鼻栄養でも受け入れ可能な施設はあります。資料を見てざっと比べると若干、経鼻栄養の方が受け入れ可能な施設が多い感じがします。
全般的に「胃ろう」を受け入れてくれる施設の方が多いです。やはり、経口摂取が出来ない人の措置として、胃ろうが主流なのでしょう。
老人ホームで24時間看護師が在中して、経鼻栄養が可能で、言語聴覚士や理学療法士がいる施設も探せば結構あります。
ただ、家族が通いやすくて、金銭的に入所可能な施設はほぼないに等しいです。都内でも駅から遠く、片道1時間以上掛かる所はありました。
多摩地区や隣接県まで、広げればあることはありますが…。家族が、行くことが大変になります。
自分で探すのも限度があるので、病院のソーシャルワーカーを介して、施設を探してくれる仲介業者を紹介してもらう予定です。予算、場所や条件を伝えると探してくれるそうです。
しぼり菜リズム
父の場合、経鼻栄養に加えて、「痰の吸引」が1日2回は必要になります。
痰の吸引は、有料老人ホームでもやってくれるところは多いです。特養は、看護師がいる間は、やってくれるところもあります。
父のように要介護状態で、痰の吸引や経鼻栄養など「医療行為」が必要となる場合の退院後の受け入れ先を探すのは大変です。
特養は、このような条件があれば入所しにくく、慢性期病棟や有料老人ホームだとお金が掛かります。