入院している父の3回目の医師との面談があり母、妹、弟、私の4人で行きました。
中心静脈栄養で、避けられない敗血症
父も車椅子で、途中まで参加しました。主治医から言われたのは、高濃度点滴の「中心静脈栄養」をしている父が「敗血症」になったということでした。
「人工栄養」を余儀なくされた父は、「胃ろう」ではなく「中心静脈栄養」で生きながらえる
中心静脈栄養は、太い静脈に必要な栄養素とカロリーを同時に直接入れます。
中心静脈栄養は、栄養を確実に血液や細胞に入れることが出来るので「嚥下機能」の落ちた父には命綱となります。
と同時に中心静脈栄養は、細菌が入りやすく敗血症になるリスクが高いのです。
敗血症は、血液に細菌が入って全身に回り、重い症状になった病気です。そのままにしておくと命に関わります。
父は、1週間、抗生剤を投与して寛解しました。数日前に40度の熱を出したと聞いていたので、肺炎か敗血症になったのかと心配していたのですがやはり、敗血症だったのです。
敗血症で、機能低下
中心静脈栄養の最大の欠点は、点滴ルートからの感染リスクが高く、血液に菌が入りやすいことです。
父は、血管に細菌が入り、感染症の敗血症になりました。敗血症は、中心静脈栄養では、避けて通ることが出来ない合併症なのです。
敗血症になると機能低下は、避けられません。父は、リハビリで、向上した機能(体、嚥下、判断能力)が緩やかですが落ちてしまいました。
リハビリは再開しましたが、これによりリハビリの目標を下方修正して、バーの位置を下げました。お楽しみで、食べていたゼリー食も中断です。
落ちた機能は、なかなか上がらないということで、リハビリをやっても、「介助量」の軽減になるけれど「自立」は難しいということです。
父の場合、嚥下機能も悪く、内視鏡検査で咽頭に呑み込めずに残ったものが多かったそうです。嚥下能力の回復も困難だということでした。
中心静脈栄養では、敗血症は避けられません。主治医の話では、1か月か2ヶ月でなる人が多く、3か月目で敗血症になった父は奇跡的だというのです。
経鼻栄養をやってみる
主治医の話では、中心静脈栄養ではほとんどの人が敗血症になり、1年もつ人はほとんどいないそうです。
そして、一度、敗血症を起こすと再発しやすいということです。在宅になっても、敗血症のリスクがあり、また急性期病院に入院する可能性があるということです。
父が家に帰っても一時繋ぎで、在宅の期間もそう長くはないかもしれないということでした。
父は、血管が糸のように細く皮下点滴が難しく、蛋白製剤も中心静脈から入れています。
中心静脈栄養と、蛋白製剤など併用して、もう1本横から入れると雑菌が入りやすく感染症のリスクがより、高くなるということです。
そこで、以前やっていた「経鼻栄養」を試しにやってみてはどうかという提案が、今回、主治医からありました。
面談の場に父もいたので父の了解を得て、経鼻栄養を試しにやってみることになりました。経鼻栄養は以前、気分が悪くなったり、下痢をしたりして胃腸に負担が掛かり止めました。
今回も経鼻栄養で、同じ症状が出ればで続けて出来ないということです。経鼻栄養は、鼻にチューブを入れて、栄養を入れます。
中心静脈栄養に比べて、感染症のリスクがなく安全です。しかし、鼻にチューブを入れるので、本人に違和感があります。
栄養が消化管を通るので、胃腸が弱い父には続けるのは難しいのではないかということです。経鼻栄養では、痰も多くなるそうです。
もし、経鼻栄養でも栄養は足りないので、中心静脈栄養も併用することになるということでした。
ただし、経鼻栄養で十分な栄養が摂れるようになけば、中心静脈栄養は外せるといことです。
父の場合は、胃腸に問題があるので、8割は無理だろうということでした。(十分な栄養を入れると、下痢をしやすくなる)
もし、中心静脈栄養から経鼻栄養にうまく移行出来れば、敗血症のリスクがなくなるので、「命」が伸びるということなのです。
しぼり菜リズム
中心静脈栄養を続ければ、敗血症を繰り返す可能性があります。
そうすれば、命の危険や本人の「生きる質」(QOL)も下がります。父の生活するための様々な機能は、どんどん低下していきます。
敗血症を繰り返すようだったら、点滴を抜いて「看取り」という選択が本人のためにもいいのではないかということでした。