2月の年金が、少ない!
2月が、今年初めての年金支給月(2ヶ月に1度)でした。
年金受給者にとって、待ちに待った日ですよね。しかし、年金の振込額を見て、驚いた方がいたのではないでしょうか。
いつもより「年金額」が少ない!と。
この年金とは、老齢年金(老齢基礎年金、厚生年金)のことです。以下「年金」
2月分の年金額が減っている原因に、「所得税」が多く取られている可能性があります。年金から所得税が引かれますが、昨年より所得税額が増えたために年金支給額が減ってしまっているのです。
所得税額は、2月に届いた『年金振込通知書』の所得税および復興特別所得税額にありますので、昨年6月に届いた通知書の金額と比べて確認してみて下さい。
所得税がどうして、増えたのか
いつもと状況が変わらないのに所得税が、どうして増えてしまったかです。
これは、昨年型式が変わった「扶養親族等申告書」の影響が考えられます。
老齢年金は、日本年金機構が管轄していますが、昨年、年金機構が扶養親族等申告書の形式が「はがき」から「封筒」に変更し、記載内容も増えたことから、未提出や提出期限に間に合わない人が続出しました。
その結果、2月の支給年金から天引きされる所得税が増えてしまったという人が出たのです。
年金額が、少ない人の3つのケース
昨年8月に年金機構から送られた「扶養親族等申告書」の提出では、3つのケースが出ました。この3つのうちのどれかに該当する人が、2月の年金支給に影響が出たものと考えられます。
① 未提出
書類を全く出していない人です。
② 期限内に出していない
提出期限を過ぎて、出した人。書類に記入漏れや不備があり書類が戻されて、再提出したが期限に間に合わなかった人です。
③ 期限内に提出
申告書を期限内に出していても年金機構が委託した業者がデータの入力ミスにより、扶養親族等申告書が反映されなかった人です。
⓷の書類に間違いもなく期限内に出したのに、年金額が過少支給されては、全く訳が分からないですよね。この方達が、一番、困惑していると思います。
税控除を受けるために重要な扶養親族等申告書
問題の扶養親族等申告書とは、何なのか。扶養親族等申告書の用紙を提出しないと何故、所得税が高くなるかです。
年金収入は「雑所得」になるため65歳未満で年収108万円以上、65歳以上で同158万円以上の人には所得税がかかり、年金から天引き(源泉徴収)されます。
扶養親族等申告書を「提出した」場合と、「提出しなかった」場合では、税金の計算式が異なり所得税額が変わってしまいます。
扶養親族等申告書を提出しないと、本来受けられるはずの各種所得控除(基礎控除や配偶者控除など)を受けることが出来なくなります。
当然、「控除額」が少ないと税額は上がりますよね。
扶養親族等がいない人でも、提出しないと「基礎控除」などの控除が受けられなくなります。ただし、確定申告をする人は、出さなくても控除は受けられます。
所得控除を受ける場合には、毎年、年金機構が送付する扶養親族等申告書を記入して返送する必要があります。
しかし一昨年まで、はがきでしたが昨年は、封筒にÀ3版の用紙が入って送られてきました。
年金機構のサイトを見ると、税制改正とマイナンバーを記入するためハガキでは、記入するスペースがないという理由です。
今までの往復はがきでは「変更なし」にチェックするだけでしたが、マイナンバーや所得を詳しく書く項目が追加されて高齢者にとっては複雑な事務手続きなります。
そのため提出された書類に記入漏れなどが多く、再提出になり年金機構の事務処理が遅れて、扶養親族等申告書に記入されている内容が反映されない人が出てしまったのです。
申告書の未提出で、税や保険料が3倍に上がってしまった
この扶養親族等申告書を出す出さないでどのくらい、違ってくるのか実例でみてみます。
扶養親族等申告書が未提出だと所得税の天引きが増え、2月の年金の振込金額が減ってしまいます。
提出しないままでいると、2019年度の住民税や介護保険料に連動し、負担が3倍に増える可能性があります。
『しんぶん赤旗 日曜版』3月11日号の掲載された例を参考にさせてもらうと
夫71歳年金収入月14万円、妻70歳年金収入6,5万円の高齢夫婦世帯の例です。
扶養親族等申告書を提出していると提出してないと
扶養親族等申告書 | 提出 | 未提出 |
所得税 | 0円 | 12.3万円 |
住民税 | 0円 | 1万円 |
国民健康保険税 | 3万円 | 3万円 |
介護保険料・夫 | 4.6万円 | 7.4万円 |
介護保険料・妻 | 2.8万円 | 5.9万円 |
合計 | 10.3万円 | 29.6万円 |
『しんぶん赤旗 日曜版』3月11日号より
扶養親族等申告書の未提出により、今年の年金から天引きされる所得税は「0」円から年「12.3万円」になります。
申告書を出していれば、19年度の「住民税」は「0」円ですが、出していないと年「1万円」の住民税が課税されます。
この住民税が課税されることにより、「介護保険料」の所得段階が上がります。夫婦で、1.8倍の値上げになってしまいます。
税と保険料の世帯合計は、申告書を出せば年「10.3万」ですが、出さないと「29.6万円」と年間20万円近く高くなり、実に3倍もの負担が増えてしまいます。
所得税だけではなく、住民税や介護保険料も上がります。用紙1枚を出す、出さないで、年金収入にここまで影響を及ぼしてしまうのです。
年金生活者にとって家計を直撃する切実な問題になるのです。
2月の年金が、減っていたら
このように2月の年金が減っていたら、まず電話で相談して下さい。
専用お問い合わせダイヤル0120-051-217(平日8時30分~17時)
年金機構のホームページで20日付(年金からの所得税の源泉徴収について)で、⓷の期限内に提出したのに「未申告」となり過少支給された方は、4月の年金支給時に不足分を支給するとありました。
提出していない人は、郵送で用紙が送付されるようです。
機構は2月16日に今回の問題についてホームページで告知しましたが、報道機関への発表はしませんでした。
「平成30年2月の老齢年金定時支払における源泉徴収税額について」という見過ごしてしまうようなう地味な表記で、何これという分かりにくいタイトルです。
まあ、高齢者で、このホームページを見ている人はどれだけいるのだか。
しぼり菜リズム
実家では昨年、父の年金について、共済組合から扶養親族等申告書の用紙を送られてきていました。母もどう書いていいのか迷っていました。
母は、電話で聞きながら、用紙に記入していたようでした。母は、分からないことがあるとすぐに聞きます。
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親世代が年金の方は、
「2月分の年金、減っていない?」
と親に確認してみるといいと思います。
父の場合、共済組合が事務処理をしているので、大丈夫だと思いましたが念のため母に聞いてみました。
まだ通帳を見ていないとのんびりしたものでしたが後日、減っていないということでした。