今回は、経験したことがある人が多い「不整脈」の見極め方についてです。
不整脈は誰にでも起こる症状です。多くの場合心配ないけれど、一部に命に関わるものがあります。
以前、検診の心電図検査で、私も不整脈を指摘された不安になったことがあります。しかし、不整脈で受診する人の9割は、心配のいらないものです。
でも心臓は、命に直結する臓器なので、不整脈でも命に関わるものもあるので注意が必要なのです。
不整脈とは
1日に約10万回。心臓は一定のリズムで「拍動」を繰り返し、全身に血液を送り出しています。
拍動の源は、心臓内の洞結節という場所から発生する電気刺激です。この刺激によって心臓の筋肉が収縮と拡張を繰り返し、拍動が生まれます。
この拍動が手首などの動脈に伝わったものが、「脈」で、回数が脈拍です。不整脈は、この拍動のリズムや回数の乱れた状態をいいます。
不整脈は、実は、自分で気づかないうちに起きていることも多く、健康な人でもよく起こります。
不整脈のタイプ
不整脈のタイプは、脈の遅くなる「徐脈」、速くなる「頻脈」、脈が飛ぶ「期外収縮」と3つあります。
①徐脈
徐脈は、心臓がどきどきと収縮運動を行う「拍動」が1分間に50回以下と異常に遅くなったり、間隔が長くなったりします。心臓を動かす電気信号がうまく伝わらないことが原因で起こります。
②頻脈
頻脈は、1分間に100回以上と拍動が異常に早くなるタイプです。
⓷期外収縮
正常な拍動の間に、ときどき不規則な拍動が現れるタイプです。
怖くない不整脈
不整脈で一番多いのは、時々不規則になったり、脈がたまに飛ぶ期外収縮です。これは健康な人でも多く発生していて、あまり心配がいらないそうです。症状のない徐脈も、心配のないことがほとんどです。
運動や緊張、お酒、素敵な人を目の前にして、心臓が「バクバク」し拍動が早くなることもありますが、これも問題はありません。
怖い不整脈
これらが怖い不整脈になるのは、症状が持続する全身に現れるときです。
徐脈では、脳への血流が不足することで、めまいや失神を起こす場合です。
頻脈では、動悸、胸の痛み、不快感、失神などが起こる場合です。心室に細動が起こる心室細動は、突然死につながる最も危険なタイプです。
心房に細動が起こる「心房細動」は、慢性化すると重症の脳梗塞を起こす場合があります。
放っておいていい不整脈とこのように、命に関わる怖い不整脈をしっかり見極めることです。
しかし、問題なのは、不整脈の自覚症状と危険度は必ずしも一致しないことです。無症状だから安心だともいえないし、症状がひどいから重症だともいえないのです。
同じ種類の不整脈でも、人によって症状が強かったりなかったりします。同じ人に同じ不整脈が生じても、症状が出たり、出なかったりするのです。
検査が大事
不整脈のある人は、自覚症状で危険度を測るのは危険なので、循環器内科を受診します。
心臓の筋肉の電気の流れを波形に表す「心電図」の検査が必要となります。普通の心電図を中心に、24時間心電図検査、運動負荷心電図検査などの検査を行います。
私は、以前胸の痛みを感じて、24時間心電図と運動負荷心電図の検査をしました。24時間心電図は、短時間の心電図検査では診断がつかないので、携帯用の装置を身につけて、日常生活の心電図を記録する検査です。
運動負荷心電図は、ワーキングマシンのような動くベルトの上で、歩きながら負荷を掛けて心電図を検査しました。私は、2つの心電図検査では、特に問題はありませんでした。検査自体も痛くなく受けられます。
不整脈の原因となる他の心臓病の有無を確認するため、心臓の超音波検査を行います。必要に応じて高血圧、糖尿病、甲状腺機能亢進症なども調べます。
不整脈の背景に別の病気が、隠れているかもしれないからです。
自分で不整脈に気づくには
検査をするといっても、自分が不整脈かどうか、不整脈にどうやって気づくことが出来るのか?
自分が不整脈かどうかは、自分で毎日、「脈」を取りリズムをチェックすることでわかります。
医師である知り合いの知人は、胸が痛くて自分で脈を取ったら、ときどき脈が飛んでいて不整脈があることを知りました。検診の心電図検査だけでは、不整脈がわからなかったのです。
自分で、脈を取ることで病気を発見することが出来ました。
毎日血圧を測っている人は、血圧計に表示される脈拍数も記録しておきます。脈拍数に変動があれば症状がない不整脈を見るける手掛かりになります。
脈の乱れのほかに、めまい、だるさ、動悸、息切れ、失神、胸の痛み、不快感などの症状のある人は必ず受診して下さい。
健康診断で、不整脈と指摘された場合は、一度再検査を受けましょう。心配のない不整脈だとわかることも大切です。
不整脈を自分で、チェックする方法
自分に不整脈があるかどうか、チェックする方法です。
簡単に短時間に出来ますので、毎日の習慣にするといいでしょう。
リズムと回数をチェックする
下の図のように、脈のリズムと回数をチェックします。
正常の場合は、規則正しいリズムで、1分間に50~100回の脈拍数となります。リズムが、不規則だったり、飛んだり、回数が早かったり、遅かったりすれば不整脈を疑います。
④不規則なタイプの心房細動は、弱い脈拍が不規則なリズムと回数で起こり、心室細動は、脈拍が取れなくなります。
この場合は、要注意ですので即、医療機関を受診しましょう。
「脈拍」の取り方
不整脈があるかどうか、リズムと回数を頭に入れて自分で、脈を取ってみます。
脈の取り方は、人差し指、中指、薬指の3本の指の腹の部分で、手首の親指側を触れます。少し強めに押すようにすると脈を感じやすいです。
手首で脈を取りにくい場合は、首の頸動脈(けいどうみゃく)に同じ3本の指を当てるといいです。私は、頸動脈の方が脈がわかりやすいです。
朝目覚めたとき、夜寝る前に安静時に約10秒間取るといいです。初めのうちは、1分くらい脈を取り、慣れたら10秒くらいで、取るといいです。
寝る前にやってみました。「トン・トン・トン・トン」とリズムは、正常でした。
1分間で、脈拍は70回でした。規則正しいリズムで、1分間に50~100回が正常です。安静にしているときの心拍数は、男性で60~70程度、女性で65~75程度です。
ときどき思い出したようにやるくらいなので、自分の健康をチェックするには、毎晩続けようと思います。
定期的に脈を取ることは、自分の体の異常を知ることが出来ます。また、健康状態を知るバロメーターにもなるので、是非やってみて下さい。
まとめ
不整脈を知ることは、危ない不整脈を見つけることにつながります。
不整脈に気づくためには、自分で定期的に「脈」を取ってリズムと回数をチェックすることです。脈の乱れと症状があれば、医療機関を受診して下さい。
検査で、「心配のない不整脈」だとわかることも大事です。