写真は、行者ニンニクです。
東北の春は、山菜三昧-山菜のリレー-
岩手に住んでいる頃、春は毎日のように山菜を食べていました。まず、雪が解けて顔を出す一番走者は、ばっけ(岩手のフキノトウの方言)です。道路の脇や野原と何処にでも生えているのであまり有難味がないです。
でも、ばっけの若芽を天ぷらにして食べると、そのほろ苦さと相まって長らく待った春の訪れを感じます。ピリッと辛いばっけ味噌を作り、おにぎりの芯にすればいつもと違うお昼です。
春の夕食の支度は、忙しい
夕方になると仕事帰りに家族が、どこからか山菜を採って来ます。天ぷらにしたり湯がいたり、塩漬けにしたり今晩の夕食に一品に加えるためににわかに忙しくなります。山菜の季節、春の夕食の準備は忙しいのです。
家族が、タラの芽や細くて柔らかいフキなど毎年決まった場所から採ってくるのですが、その場所を知りません。自分のテリトリーがあって、誰にも教えないのです。
春の通過儀式
山菜のリレーは、コゴミ、行者ニンニク、タラの芽、フキ、ウルイ、シドケ、ミズとバトンが渡されます。ウルイは、癖がなく歯触りとても良くてキュウリなどと浅漬けにして食べると美味しいです。
庭に葉ワサビがあり、絶やさないようにしていました。湯がいて、粕と和えて食べるとワサビの辛みがツーンと鼻に抜けます。このツーンとした辛み(辛ければ辛いほど家族が喜ぶ)が、春の通過儀式で湯がき方によっては、辛みが出ないこともあり、いかにこの辛みを出すかが腕の見せ所でした。
東北は、ネマガリダケ
東北と言えばタケノコは、ネマガリダケ(根曲がり竹)です。ネマガリダケは、山に入らないと採れないので、家では庭のタケノコを食べ切れないほど掘って、その生命力を頂きます。掘り残したタケノコは、あっという間に伸びて竹藪になってしまいます。そういえば北東北にあまり竹藪は、なかった気がします。タケノコもネマガリダケを好んで食べるので、あまり食べないようでした。
雪国の恩恵
これから美味しい山菜は、ワラビです。特に岩手でも秋田に近い西和賀町のワラビ「西ワラビ」は絶品です。この「西ワラビ」は、雪の多い地域ならではの最大の恵みで筋がなくて、トロッとした粘りが特徴です。湯川温泉に行ったときに川尻の商店で購入していましたが、このワラビを食べたら他のワラビは食べられません。
山菜の中には、ミズ(ムチン、ビタミンB1、B2、C)のように高い栄養価のあるものや抗酸化作用のあるものもあります。山菜とともに春を頂くことで、植物と一緒に体が目覚め冬に貯め込んだ毒素を排出します。東北は、雪が多く冬が長い分、栄養価が高く美味しい山菜が採れます。春から夏に掛けて、山菜の恩恵を大いに受けることが出来るのです。